シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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経済政策Ⅰ | 2024 | 前期 | 金4 | 経済学研究科博士課程前期課程 | 瀧澤 弘和 | タキザワ ヒロカズ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
EG-PO5-105L
履修条件・関連科目等
ゲーム理論の講義は、最初のうちは前提知識を必要としませんが、応用の部分では、経済学部で基礎として学ぶミクロ経済学の知識がある方が望ましいです。
また、それほど難しい数学は使用しません。論理学の記号を使用することになりますが、必要に応じて、その講義も取り入れていきます。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
伝統的なゲーム理論の概要を一通り学ぶとともに,それが経済学のなかでどのような位置を占めているのかを学びます.
このため,ところどころで実験ゲーム理論,行動ゲーム理論,認知科学などの最近の成果を差し挟んでいく予定です.ゲーム理論の経済学における位置に関しては,必要に応じて,拙著の『現代経済学 ゲーム理論・行動経済学・制度論』を参照します.
また,経済学の応用分野のモデルのいくつかと主要なアイディアについても解説し,後期の「経済政策II」に繋げていきます.例としては、産業組織論や契約理論などのトピックがあげられます。 これまでの経験に照らして,あまり速度をあげず,前期では主に完備情報のゲーム理論に焦点を当てて,じっくり進んでいくのがよいようです.ここまででも応用を志す人にとってはかなり役に立つはずです.
授業は,ゲーム理論については,私のレジュメを用いて行います.
科目目的
現在ではゲーム理論の基礎知識なしに経済学を理解できなくなっている.本科目は,そのためのゲーム理論の基礎を修得することを目的とする.
・ゲーム理論の基礎的概念について,数学記号を用いて定義できるようになること.
・ゲーム理論の応用モデルについて,分析し解釈を与えることができるようになること.
・どのようなゲームで理論と実験の乖離が見られるのかについて,説明することができるようになること.
・ ゲーム理論が経済学でどのような位置を占めているのかを説明することができるようになること.
到達目標
経済学研究科の学位授与の方針には,「経済学とその関連する分野の広い基礎知識を確実に修得し,そのうえで自己の探求する研究分野における研究手法に立脚した研究成果を具現化し,学術的に貢献する論文にまとめ上げることのできる研究遂行能力」の修得が掲げられている.
これに資するために,本科目ではゲーム理論という経済学の中枢の概念の修得を目指す.
具体的には,以下の通りである.
・ 受講生は,ゲーム理論の基礎概念について,数学記号を用いて定義できるようになる.
・ 受講生は,ゲーム理論の応用モデルについて,分析し,解釈できるようになる.
・ 受講生は,どのようなゲームで理論と実験の乖離が見られるのかについて,説明できるようになる.
・ 受講生は,ゲーム理論が経済学でどのような位置を占めているのかを説明できるようになる.
授業計画と内容
講義は,基本的に私が配布するレジュメに沿って行うが,ゲーム理論の経済学における位置付けを論じるところでは,事前に『現代経済学 ゲーム理論・行動経済学・制度論』の該当箇所を読んできてもらい,質疑応答や討論を行う.
毎回取り上げるテーマは以下のようなものである.
第1回 全般的オリエンテーション:目標と進め方
ゲーム理論についての概観,ディスカッションを行う
第2回 概観(1):経済学におけるゲーム理論の位置とそれがもたらした影響(1)
事前リーディング:『現代経済学』の序章,第1章,第2章,第3章
ゲーム理論の経済学における位置についてのディスカッション
第3回 概観(2): 経済学におけるゲーム理論の位置とそれがもたらした影響(2)
事前リーディング:『現代経済学』の第4章,第5章
ゲーム理論の経済学における位置についてのディスカッション
第4回 理論(1):ゲームの例,戦略型ゲームと支配される戦略の定義,述語論理の基礎
第5回 理論(2):ナッシュ均衡の概念とその解釈
第6回 理論(3):戦略型ゲームの応用モデルとその他のことがら
宿題(1)を課します.
第7回 理論(4):混合戦略と混合戦略ナッシュ均衡
第8回 実験(1):戦略型ゲームのさまざまな実験結果,フォーカルポイント
第9回 理論(5):展開型ゲームの定義,展開型ゲームにおける戦略の概念について
第10回 理論(6): 完全情報の動学ゲームと後方帰納法
第11回 実験(2): 完備情報の動学ゲームの実験結果について.交渉ゲームについて
第12回 理論(7): より一般的な動学ゲームと部分ゲーム完全均衡
第13回 応用(1): コミットメントと時間的不整合性について
第14回 応用(2):不完備契約の理論について
課題(2)を課します.
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
毎回,次回に講義する部分を指示しますので,予習をしてきてください.授業の最初に,それに基づいて質問を受けたうえで,講義に入るようにします.また,途中でレポート提出をお願いします.
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 70 | 授業の進行のなかで,レポートを課します. 評価基準は, 1) ナッシュ均衡の概念を厳密に理解しているか 2) 必要十分な論証がされているか です. |
平常点 | 30 | 毎回の授業の事前準備がなされているかを平常点として評価します. |
成績評価の方法・基準(備考)
授業の中間に2回ほど,ゲーム理論についての課題(練習問題)を課しますので,レポートを提出してください.その点数が成績評価の70パーセントになります.
また,毎回の授業の事前準備がなされているかどうかを平常点(30%)とします.
出席率が70パーセントに満たないもの,課題を提出しないものはE判定とします.
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
ゲーム理論の中身については,私が配布するレジュメを用います.以下は,その他のテキスト,参考書です.
テキスト
瀧澤弘和(2018) 『現代経済学 ゲーム理論・行動経済学・制度論』 中公新書 (ISBN-10: 9784121025012)
参考書
(1) 天谷研一 『ゲーム理論入門』 日本能率協会マネジメントセンター,2011年.(ISBN-10: 4820747185)
→ きわめて易しい入門書です
(2) Gibbons (1992), Game Theory for Applied Economists, Princeton University Press (邦訳:『経済学のためのゲーム理論入門』,福岡正夫・須田伸一訳,創文社).(ISBN-10: 9784423850800)
→ レジュメの大部分の基礎となった教科書で,本格的な本です
(3) ハーバート・ギンタス 『ゲーム理論による社会科学の統合』, NTT出版,2011年.(ISBN-10: 9784757122406)
→ 実験結果について詳しく書かれている本です