シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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ヨーロッパ経済史Ⅱ | 2024 | 後期 | 木3 | 経済学研究科博士課程前期課程 | 柴田 英樹 | シバタ ヒデキ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
EG-EH5-106L
履修条件・関連科目等
経済史を専攻している必要はありませんが,西洋経済史に関心がある大学院生。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
資本主義的生産様式は貨幣が富の中心となる経済システムです.貨幣が富であることは我々にとって常識ですが、貨幣は流通と分業の体制があって初めて富として機能するものであり、またマルクスは貨幣の商品に対する支配力を「物神性」として分析し、貨幣の支配力を反省規定として解明しました。資本主義的生産様式の本質はこの抽象的な富の歴史的・哲学的分析なしには把握することができません。前近代には土地・家畜・奴隷などが富の中心となった時代もありましたが、貨幣は商品の流通を前提として成立する富であり,それ自体としての使用価値は問題にならない富です。
このような貨幣を富の中心とする近代的資本主義が成立するためには,何より労働や生産手段が商品として売買の対象となる必要があり,市民革命による人間の政治的解放はそのための重要な転換点でした.
貨幣の持続的な存立条件が整う過程で,階級関係もそこから派生的に形成されてくることになりますが,経済史研究においては,しばしば生産の部面が強調されすぎて,近代資本主義に特有な階級関係の貨幣との関係が見失われがちです.
この授業では,まず前近代の所有・財産のありようを学び、それとの比較を意識しながら、マルクスの貨幣論、特に物神性論の意義を解明します。次に、西洋経済史をこのように理解された貨幣的側面に重心を置きながら、イギリスとアメリカを中心に学んでいきます。
科目目的
ヘーゲル・マルクスの弁証法を理解し、過去の経済社会と現代とを比較しながら、資本主義的生産様式の歴史的特殊性に関する理解を深める。資本主義的生産様式についての理解を深めることは経済史研究の基礎である。
到達目標
前近代の所有・富概念の理解を前提として、マルクスの貨幣論の意義を理解する。また、マルクス貨幣論の理解を前提として、資本主義的生産様式の歴史的特殊性に関する理解を深めていく。
また、そのような観点に立つとき、貨幣の側面から経済史をとらえることが重要であることを、いくつかの文献を通じて理解する。
授業計画と内容
1.マルクスの価値形態論(授業担当者作成資料の読解)
2.マルクスの階級論(授業担当者作成資料の読解)
3.イギリスの覇権(1):東インドの役割(テキスト1の読解)
4.イギリスの覇権(2):パクスブリタニカ(テキスト1の読解)
5.イギリスの覇権(3):脱植民地化(テキスト1の読解)
6.アメリカの覇権(1):アメリカ国家の能力(テキスト2の読解)
7.アメリカの覇権(2):ブレトンウッズへの道(テキスト2の読解)
8.アメリカの覇権(3):マーシャル・プラン(テキスト2の読解)
9.アメリカの覇権(4):ブレトンウッズからの分離(テキスト2の読解)
10.アメリカの覇権(5):危機による移行(テキスト2の読解)
11.アメリカの覇権(6):金融の新時代(テキスト2の読解)
12.アメリカの覇権(7):ヨーロッパの統合(テキスト2の読解)
13.アメリカの覇権(8):アメリカのルール(テキスト2の読解)
14.アメリカの覇権(9):グローバル資本主義の21世紀(テキスト2の読解)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業で扱う文献や,関連文献を読み,自分なりの学説史の整理を行うこと。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 50 | 輪読形式で文献を読んでいくので、文献について報告していただきます。 |
平常点 | 50 | 積極的に授業に参加してください。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
クリッカー/タブレット端末/その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト
1.秋田 茂(2012)『イギリス帝国の歴史』中央公論新社(中公新書)
2.レオ・パニッチ、サム・ギンディン(2018)『グローバル資本主義の形成と現在』芳賀健一・沖 公祐訳、作品社
参考文献
1.堀越宏一(1997)『中世ヨーロッパの農村世界』山川出版社
2.河原 温(1995)『中世ヨーロッパの都市世界』山川出版社
3.岩本武和他(2012)『グローバル・エコノミー』第3版、有斐閣(有斐閣アルマ)
4.Shibata, Hideki. 2020. Fundamental Knowledge for Understanding Marx’s Dialectic (『経済学諭簒』(中央大学)第61巻第1号)
5.Shibata, Hideki. 2021. Fundamental Knowledge for Understanding Marx’s Dialectic Part 2(『経済学諭簒』(中央大学)第61巻第3・4合併号)
その他