シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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演習Ⅱ(マクロ動学) | 2024 | 通年 | 火3 | 経済学研究科博士課程前期課程 | 古川 雄一 | フルカワ ユウイチ | 2年次配当 | 4 |
科目ナンバー
EG-OM5-202S
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
希望があれば英語で行うことも可能です。
授業の概要
演習I, II (マクロ動学) の大きな目標は、マクロ動学分野、特に経済成長論で学術論文を書く技術を身に着けることです。本科目は、演習I において得た「学術論文とは何か」、「学術論文の読み方」に関する理解を土台に、次のステップとして、マクロ動学分野における研究論文の作り方を、修士論文を作成する過程を通じて「実践的に」学んでいきます。
一般に、(マクロ)理論分野の学術論文は、下記の5つのチェックポイントポイントに、十分に応えうるものでなくてはいけません:
1.Motivation: 社会経済の解明に資する、十分に attractive な研究テーマか (注1)
2.Literature review: 既存研究群のなかで、テーマが適切に位置づけられているか
3.Model: テーマと既存研究の両方に正しく立脚した理論モデルを構築できているか
4.Equilibrium analysis:均衡の導出と命題・定理の証明は技術的に正しいか
5.Interpretation: 結果から得られる現実の社会経済に対するメッセージは、1.への説得的な答えになっているか
本科目ではすべてのポイントに応えることを目指すというよりは、やや的を絞り、特に1~2を重視しながら、修士論文の作成を進めていきます。というのは、プロレベルの論文を仕上げるためには(注2)、それぞれの項目について、高度な技術と豊富な経験値が求められますが、その獲得には大変な時間と努力を要するので、博士論文完成時くらいを目標に学修計画を立てるのがするのが一般的だからです。
科目目的
本科目の目的は、修士論文を完成させるプロセスを通じて、マクロ動学分野で研究論文を作成するために必要最小限の技術を体得することである。
到達目標
経済学研究科の「学位授与の方針」に示された博士前期課程〈研究者コース〉の「修了するにあたって備えるべき資質・能力」は「経済学とその関連する分野の広い基礎的知識を確実に修得し、そのうえで自己の探求する研究分野における研究手法に立脚した研究成果を具現化し、学術的に貢献する論文にまとめ上げることのできる研究遂行能力」です。
この能力を獲得するために、修士段階で求められる以下の目標を掲げます。
〇 マクロ動学に関する研究論文を作成する最低限の技術を獲得し、修士論文を実際に作成する。
〇 修士論文の内容を、要領よくまとめ、他者に効果的に伝達することができる。(レジュメ、スライド作成の技術も含む)
(ここで「最低限」とは、「授業の概要」にある1~5のチェックポイントに対応しており、かつ、特に1~2については、一定以上の高い水準で満たしているという意味です。)
授業計画と内容
前期(第1回は講義、それ以外はプレゼンテーション・ディスカッション形式)
第1回: イントロダクション
第2回:研究の背景を決める1~ニュース、歴史、他分野の知見、日常経験などから探る~
第3回:研究の背景を決める2~ニュース、歴史、他分野の知見、日常経験などから探る~
第4回:プレゼンテーションとフィードバック
~公式の場で発表することで、考えは深化する
第5回:関連研究をリストアップする
第6回:関連研究の概要をつかむ
第7回:自身のテーマを関連研究の中に位置づける
~「研究家系図」のようなものを作成する
第8回: 論文のテーマを再構築する1
第10回: 論文のテーマを再構築する2
第11回:最も関連が深い既存研究の、理論モデルを徹底的に調査する1
第12回:最も関連が深い既存研究の、理論モデルを徹底的に調査する2
第13回:到達度確認
第14回:まとめ
後期
第15回:新しい理論モデルをつくる1
第16回:新しい理論モデルをつくる2
第17回:均衡分析1
第18回:均衡分析2
第19回:結果から得られる知見を探る1
第20回:結果から得られる知見を探る2
第21回:マクロ動学に関する論文の執筆方法を実践的に学ぶ1
第22回:マクロ動学に関する論文の執筆方法を実践的に学ぶ2
第23回:プレゼンテーションとフィードバック1
第24回:マクロ動学に関する論文の執筆方法を実践的に学ぶ3
第25回:マクロ動学に関する論文の執筆方法を実践的に学ぶ4
第26回:プレゼンテーションとフィードバック2
第27回:フィードバックを活かす必要性とその方法
第28回:総括
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
事前だけでなく、講義中のディスカッションで浮上したポイントについて、事後的にみっちり時間を使って再検討することが大切です。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 60 | 修士論文の質を評価します |
平常点 | 40 | 講義中の積極性等を評価します |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
適宜指示します。
その他特記事項
「授業の概要」の補足です。
注1: 「だれ」にとって十分に attractive な研究テーマか、が研究の質に直結します。この「だれ」には、潜在的な論文読者のグループを表す語が入りますが、そのグループが大きいほど、その研究の一般性「generality」が大きくなります。この授業の前半では、テーマを考える際、この研究の generality を意識的に設定する感性を磨いてほしいと思っています。
注2:ここでいう「プロレベル」とは、定評ある学術雑誌に公刊される可能性がある、というくらいの意味で使っています。ただ、この「プロレベル」や「定評ある」という文言は、使い手によって定義が異なってくるので注意が必要です。