シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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人口政策論Ⅰ | 2024 | 前期 | 火2 | 経済学研究科博士課程前期課程 | 和田 光平 | ワダ コウヘイ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
EG-PO5-101L
履修条件・関連科目等
予備知識は不要ですが、初等の人口統計学の知識があれば理解が深まります。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
日本においては高齢化や人口減少に起因する多くの深刻な問題があります。この講義では、日本の人口問題、特にポスト人口転換期における長期的な少子化や世界でも最長の平均寿命によるさまざまな経済的帰結を示します。また、労働、資本、技術進歩、消費、貯蓄、投資などを含む経済問題について人口学的視点から説明されます。最終的には日本における経済と人口問題に対するいくつかの処方箋が提示されます。人口政策が及ぼす効果は長期的であり、経済政策としては扱われにくい面がありますが、ここでは日本に適した人口と経済を統合した政策について、特にわが国としては東アジア的な地域コミュニティの力による政策を考察します。
人口政策論Ⅰでは、人口政策論Ⅱにおける政策論の基礎学修として、わが国の人口状況や、特に供給面への影響について、担当教員による講義を受け、議論を進めながら理解を深めます。
科目目的
人口学的視点、とくにポスト人口転換という大きな流れのなかで日本の人口や経済の状況を考察します。また人口動態、人口成長、人口行動の変化がどのような経済的影響をもたらすのかを展望します。そのうえで、国際的な比較もしながら日本における人口政策を検討していきます。
到達目標
①出生に関係する人口統計学的な基本概念について学び、その経済学的な意味を理解する。
②結婚に関係する人口統計学的な基本概念について学び、その経済学的な意味を理解する。
③死亡と平均寿命に関係する人口統計学的な基本概念について学び、その人口学的な帰結を理解する。
④地域人口や人口移動に関係する人口統計学的な基本概念について学び、その経済学的な意味を理解する。
⑤人口転換論とポスト人口転換の基本概念について学び、その経済学的、歴史・文化的な意味を理解する。
⑥ポスト人口転換における経済的影響として、とくに供給面への影響について理解する。
授業計画と内容
Ⅰ. 人口動態・人口成長・人口構造の現状と将来
1. 少子化:期間出生率とコーホート出生率との関係
2. 置換水準と人口再生産:わが国の人口はすでに自己再生産能力を失っている。
3. 出生力の経済学:子どもを持つという意思決定を経済学的に考える。
4. 未婚化・晩婚化:女性の就業行動と多様化
5. 平均寿命の伸長:超高齢社会における長生きのリスクへの対応
6. 高齢化と人口減少:世界最速の高齢化と近代初の長期的人口急減
7. 地域人口:過疎化と消滅の恐れ
8. 人口移動:首都圏への集中は進むのか。
9. 人口転換論とポスト人口転換:近代化と並行する人口の歴史法則そしてポストモダンと多様性
Ⅱ. 供給面への影響
10. 労働(1)高齢労働力:いかに生産性を上げるか。
11. 労働(2)女性労働力:出産・育児との両立は可能か。
12. 労働(3)若年労働力と外国人労働力:希少な労働力をいかに有効活用するか、そして移民を受け入れるべきか。
13. 資本: 日本の国富も縮小するのか。
14. 技術進歩:人口減少における経済成長の切り札になるのか。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 100 | テキストの内容に関して事前に指示した予習の成果を確認したり、授業中における議論の参加態度や発言内容を見極めたりして、総合的に評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
受講生は授業中の発言内容についてmanabaを通じて提出し、必要に応じて、それに対して教員が授業中にコメントや補完的な指導をします。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
府県など各種自治体における人口推計作業の実施、ならびに総務省統計研究研修所における国や地方自治体の公務員への指導経験があります。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
実務経験を活かし、現代の人口問題に必要な分析手法や分析事例を指導します。
テキスト・参考文献等
佐藤龍三郎・金子隆一編『ポスト人口転換期の日本』原書房、2016年
和田光平『人口統計学の理論と推計への応用』オーム社、2015年