シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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経済政策Ⅱ | 2024 | 後期 | 金4 | 経済学研究科博士課程前期課程 | 瀧澤 弘和 | タキザワ ヒロカズ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
EG-PO5-106L
履修条件・関連科目等
前期開講の「経済政策I」を履修していることが望ましい.ただし,完備情報のゲーム理論については既習であれば,参加しても構わない.
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
前期において主に完備情報ゲームの分析に慣れてもらったところから始め,後期では,その総仕上げとも言える繰り返しゲームから始めます.その後,不完備情報のゲームとその応用について解説していきます.
できるだけディスカッションの時間も設け,自分自身の研究上の関心と結びつけていくようなものにしたいと考えています.
またオークション理論や収入等価定理の部分では,確率論と微積分を使用しますが,丁寧に解説します.
科目目的
現在ではゲーム理論の基礎知識なしに経済学を理解できなくなっている.本科目は,そのためのゲーム理論の基礎を修得することを目的とする.
特に後期の経済政策IIでは,以下のことを目的とする.
・不完備情報ゲームの基礎概念を数式を用いて定義することができるようになること.
・不完備情報ゲームの応用例をいくつか,具体的に説明することができるようになること.
・不完備情報ゲームのモデルを用いて,具体的な経済モデルを作成することができるようになること.
・不完備情報ゲームが情報の非対称性とどのような関連にあるのかを説明することができるようになること.
到達目標
経済学研究科の学位授与の方針には,「経済学とその関連する分野の広い基礎知識を確実に修得し」とある.これに資するために,本科目ではゲーム理論という経済学の中枢の概念の修得を目指す.
具体的には,以下の通りである.
・ 受講生は,不完備情報ゲームの基礎概念を数式を用いて定義することができるようになる.
・ 受講生は,不完備情報ゲームの応用例をいくつか,具体的に説明することができるようになる.
・ 受講生は,不完備情報ゲームのモデルを用いて,具体的な経済モデルを作成することができるようになる.
・ 受講生は,不完備情報ゲームが情報の非対称性とどのような関連にあるのかを説明することができるようになる.
授業計画と内容
経済政策Iと同様に,基本的に私自身のレジュメに沿って講義を行っていく.
第1回 理論(1):繰り返しゲームの直観的な説明.繰り返し囚人のジレンマ
リーディング:『現代経済学』の第7章
第2回 理論(2): 繰り返しゲームの定式化とフォーク定理の説明
第3回 理論(3) 静学的な不完備情報ゲームの具体例
第4回 理論(4):ベイズ改訂の考え方とモンティ・ホール問題について
課題(1)の提出
第5回 理論(5):ベイジアン・ナッシュ均衡とその計算方法,
第6回 応用(1):オークション理論 (最高価格オークションと第2価格オークション)
第7回 応用(2):メカニズム・デザイン理論の基本的考え方
第8回 応用(3):メカニズム・デザイン理論における顕示原理の証明
第9回 応用(4):収入等価定理の証明
第10回 理論(6):動学的な不完備情報ゲームの例
第11回 理論(7):ベイジアン完全均衡の概念とその計算方法
第11回 理論(8): シグナリング・ゲームの概念について
第12回 応用(5):ジョブ・マーケット・シグナリングのモデルと逆選択
第13回 応用(6): 分離均衡,一括均衡,部分一括均衡の検討
第14回 応用(7)と実験(1): チープ・トーク・ゲームとその実験結果について
課題(2)の提出
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
毎回,次回に講義する部分を指示しますので,予習をしてきてください.授業の最初に,それに基づいて質問を受けたうえで,講義に入るようにします.
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 70 | 授業の進行のなかでレポートを課します. 評価基準は, 1) ベイジアン・ナッシュ均衡を正確に理解しているか 2) 必要十分な論証がなされているか です. |
平常点 | 30 | 毎回の授業の事前準備がなされているかを平常点として評価します. |
成績評価の方法・基準(備考)
レポートは,授業中に課す2回の課題の点数の合計で評価します(70%).平常点は毎回の授業のための事前準備です(30%).
出席率が70パーセントに満たない場合や,課題を提出しないものはE判定とします.
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
ゲーム理論の解説は,私のレジュメをもとに行います.
リーディングとして,以下のものがあります.
テキスト
瀧澤弘和(2018) 『現代経済学 ゲーム理論・行動経済学・制度論』 中公新書 (ISBN-10: 9784121025012)
参考書
(1) 天谷研一 『ゲーム理論入門』 日本能率協会マネジメントセンター,2011年.(ISBN-10: 4820747185)
→ きわめて易しい入門書です
(2) Gibbons (1992), Game Theory for Applied Economists, Princeton University Press (邦訳:『経済学のためのゲーム理論入門』,福岡正夫・須田伸一訳,創文社).(ISBN-10: 9784423850800)
→ レジュメの大部分の基礎となった教科書で,本格的な本です
(3) ハーバート・ギンタス 『ゲーム理論による社会科学の統合』, NTT出版,2011年.
(ISBN-10: 9784757122406)
→ 実験結果について詳しく書かれている本