シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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演習Ⅱ(経済政策) | 2024 | 通年 | 月4 | 経済学研究科博士課程前期課程 | 瀧澤 弘和 | タキザワ ヒロカズ | 2年次配当 | 4 |
科目ナンバー
EG-OM5-202S
履修条件・関連科目等
修士論文執筆の明確な目的意識を持って参加してください (私の専門からいうと,ゲーム理論,実験経済学,契約理論,組織の経済学,比較制度分析,行動経済学,社会科学の哲学等に関心のある方が望ましいでしょう).
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
修士論文執筆に向けた参加者の問題意識に沿って,専門論文をピックアップし,それを輪読してディスカッションしていきます.また自らモデルを作り,洗練させていく仕方を学びます.さらに後半にかけては,修士論文そのものの内容についてのアドバイスを行います.
科目目的
修士論文の執筆に向けて,自ら研究するための基礎的能力を身につけ,実践することが目的である.
より具体的には,以下の通りである.
・ 自分の問題意識を既存の文献との関係において明確に述べることができるようになること.
・ 自分の問題意識に関係するような論文を自ら探すことができるようになること.
・ 専門論文を厳密に読む方法を身につけることができること.
・ 経験的論文と理論論文の典型的な構成について理解できるようになること.
・ モデルを自分自身で作成できるようになること.
・ モデルから結論を導き,さらにそれを発展させることができるようになること.
到達目標
経済学研究科の「学位授与の方針」,博士前期課程〈研究者コース〉の「修了するにあたって備えるべき資質・能力」は「経済学とその関連する分野の広い基礎的知識を確実に修得し,そのうえで自己の探求する研究分野における研究手法に立脚した研究成果を具現化し,学術的に貢献する論文をまとめ上げることのできる研究遂行能力」である.
これを修士論文を執筆することで達成する.具体的には,以下の通り.
・ 受講生は,自分の問題意識を既存の文献との関係において明確に述べることができるようになる.
・ 受講生は,自分の問題意識に関係するような論文を自ら探すことができるようになる.
・ 受講生は,専門論文を厳密に読む方法を身につけることができる.
・ 受講生は,経験的論文と理論論文の典型的な構成について理解できるようになる.
・ 受講生は,モデルを自分自身で作成できるようになる.
・ 受講生は,モデルから結論を導き,さらにそれを発展させることができるようになる.
授業計画と内容
前期
第1回: イントロダクション,論文とは何か
リーディング:『新版 論文の教室』
第2回:論文への具体的な道筋
リーディング:『新版 論文の教室』
第3回:問題意識とブレインストーミングにより,アウトラインを作成する
第4回:経済学の論文のタイプ (1) 理論論文
具体的な論文を指定し,理論論文にどのような要素が必要なのかを検討します
第5回:経済学の論文のタイプ (2) 理論論文
前回を引き継ぎ,どのような発展が可能なのかを検討します
第6回:経済学の論文のタイプ (3) 経験的論文
具体的な論文を指定し,経験的論文がどのように構成されているのかを検討します
第7回:経済学の論文のタイプ (4) 経験的論文
経験的論文にどのような改善が可能なのかを検討します
第8回:経済学の論文のタイプ (5) 実験的論文
具体的な論文を指定し,実験論文が備えるべき要素が何なにかを検討します
第9回:経済学の論文のタイプ (5) 実験的論文
実験論文にどのような改善が可能なのかを検討します
第10回:目標の設定
自分がどのようなタイプの論文を目指すのかを検討します
第11回: 関連する文献の渉猟
自分の研究課題を既存の文献と関連づけます
第12回:関連する文献の渉猟
さらに文献渉猟をして,マップを描いていきます
第13回:問題意識の絞り込み
既存文献との関係で,自分が何をしたいのかを絞りこむディスカッションをします
第14回:サーベイ部分の執筆
論文のなかで,既存文献に関する節を執筆してみます
後期 → 以下は論文として「理論モデル」を選択したときの例です
第15回:簡単なモデルの作成
創ってきたモデルで,自分の問題意識に答えられるかを検討します
第16回:モデルの変更(1)
モデルにどのような要素を取り入れればいいのかを検討します
第17回:モデルの変更(2)
実際に,モデルを変更してみます
第18回:モデルの解析(1)
モデルの解析から,どのような結論が得られそうかの見通しをつけます
第19回:モデルの解析(2)
数値例でモデルを作成し,どのような結論が得られそうなのか,定理の形をつくってみます.
第20回:モデルの解析(3)
定理の証明を試みます
第21回:必要な知識の確認
定理の証明のために欠けている知識がある場合には,必要な知識を確認します
第22回:必要な知識の補充
必要な知識がある場合,それを補充する作業を行います
第23回:定理の証明
具体的に定理を証明してみます
第24回:論文全体の構成の確認
どのような要素をどのような順番で配置していくのかを確認します
第25回:論文執筆
論文を具体的に執筆する過程でのアドバイスを行います.
第26回:論文の重要性
論文が,文献との関連および社会的な要請との関係で,どのような重要性を持っているのかを表現します
第27回:論文の再検討
第28回:論文執筆過程の総括
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
参加者はほとんどの授業で発表を求められることになるので,授業前に十分な準備をしてくること.リーディングが指定してある回では,必要部分に目を通したうえで出席すること
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 70 | 実際に執筆してもらう論文作成のプロセス(中間生産物)で評価する. 1) 十分なサーベイができているか 2) 問題意識が明確か 3) 十分な論証がなされているか |
平常点 | 30 | 毎回の授業で十分な準備がなされているか |
成績評価の方法・基準(備考)
毎回の準備に関する平常点と修士論文の執筆過程の中間生産物で評価します. 平常点30パーセント、論文作成のプロセス(レポート)70パーセントです。
出席率が70パーセントに満たない者,課題を提出しない者はE判定とします.
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト
戸田山和久(2012)『新版 論文の教室 レポートから卒論まで (NHKブックス)』、NHK出版
ISBN-10: 4140911948
ISBN-13: 978-4140911945
取り上げる経済学の論文は、授業のなかで指定します。