シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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マンガ論 | 2024 | 夏季集中 | 他 | 文学研究科博士課程前期課程 | 高橋 明彦 | タカハシ アキヒコ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LG-JC5-103L
履修条件・関連科目等
マンガを人文学の一対象としてとらえています。大学卒業レベルの国文学研究のノウハウを身につけていると、本授業の理解にやくだちます。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
マンガ表現論とは、マンガに固有・独自の表現形式(輪郭線による描画、記号的・デフォルメ的な図像表現、コマ割りによる運動・時間・物語表現、等)を解明し、かつそれに従って作品を解釈・批評していく(理論的)立場です。作品をストーリーにだけ、テーマにだけ還元して理解・批評する立場とは異なります。
また、文献学とは、東アジアにおける人文学の総合的なあり方をいうもので、およそ次のように構造化されます。すなわち、対象の物理的側面へのアプローチとしての書誌学、目録学、本文校訂、諸本校合などの形態的文献学。対象の内容へのアプローチのうち具体的側面としての注釈学(考証学)。抽象的側面としての主題や思想を分析する義理学(主題論)。それはいわば物理的媒体性と理念的意味とのリンクを研究する広義のメディア論であり、この方法論がマンガに対しても有効であることを学ぶことによって、マンガ研究を広義の人文学に位置づけます。マンガを社会学的対象として見る立場(たとえばオタク論や萌え論、マーケティング論、マンガで村おこし、クールジャパンなど)とは異なります。
講義形式。
科目目的
マンガを人文学的対象および芸術作品として扱うための方法論、具体例を学びます。本科目によって、
①マンガに固有な表現形式を理解し、その理解を元にマンガ作品を鑑賞・分析することができるようになります。
②マンガを文献学的対象として捉え、人文科学一般に適応されるアプローチ方法によって、マンガ作品を理解できるようになります。
到達目標
①マンガ表現論を理解する。
②マンガに対する文献学的アプローチを理解する。
授業計画と内容
01. 概論1戦後マンガ史①メディア(媒体。映画的手法)
02. 概論2戦後マンガ史②テーマ(少年、青年、少女。萬画)
03. 表現論1描線論(デュナミスとエネルゲイア。児嶋都)
04. 表現論2コマ割り論(コマの構造と持続)
05. 表現論3コマ割り論(継起性。S・マクラウド、夏目房之介)
06. 表現論4コマ割り論(並存性。石森章太郎、楳図かずお)
07. 表現論5コマ割り論(他メディアとの対比、連辞と連合)
08. 文献学1その構造
09. 文献学2『イアラ』異本と諸本校合
10. 文献学3『イアラ』注釈と典拠
11. 文献学4『イアラ』典拠論を超えて①可能世界論
12. 文献学5『イアラ』典拠論を超えて②虚構論
13. 文献学6『黄色い本』作品読解
14. 文献学7『黄色い本』文字と意味との二世界、離接的総合
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
テキストの2冊は、授業開始前までに読了しておいてください。
授業初回に配布したプリントを再読する等、十分な予習・復習をしてください。また、授業時間中に、内容に関する教員への質問を受付け、必要に応じて、学生同士での議論の時間も設けます。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 50 | manaba「レポート」機能により、全講義終了後、一回だけ、「単位認定レポート」を提出していただきます。受講生が相互閲覧できるようにします。(点数は他の人からは見えません) |
平常点 | 50 | manaba「レポート」機能により、毎日一回、「日誌」を提出していただきます。集中講義ですので、全4回提出してください。講義時間ごとに、講義内容をまとめ所感を附して下さい。この「日誌」は、受講生が相互閲覧できるようにします。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
提出された時限ごとの「日誌」、あるいは「単位認定レポート」において、フィードバック希望の由を書いて下さい。あるいは具体的に質問内容をお書き下さい。毎回、お返事します。
アクティブ・ラーニングの実施内容
その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
「日誌」「単位認定レポート」を、受講生が相互の閲覧できるようにします。合評形式のレポートです。必要に応じて、受講生相互で質疑応答することができるよう、配慮します。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
マンガを描いたり、マンガ編集者をやったりしたことはありません。マンガ批評を行って収入を得たことはあります。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト:次の2冊を購入して、授業時に持参してください。
楳図かずお『イアラ』(小学館文庫、2002年)
高野文子『黄色い本』(講談社、2002年)
プリント:授業初回にまとめて配布します。ZOOM配信の場合には、資料はすべて電子媒体となります。
参考書:マンガ表現論の基礎的な文献です。必要に応じて参照します。また他の文献も紹介します。
高橋明彦『楳図かずお論』(青弓社、2015年)
四方田犬彦『漫画原論』(ちくま学芸文庫、1999年)
夏目房之介『マンガはなぜ面白いのか』(NHKライブラリー、1997年)
夏目ほか『マンガの読み方』(宝島EX、1995年)古書のみ
S・マクラウド『マンガ学』(美術出版社、1997年)、古書のみ