シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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フランス詩演習 B | 2024 | 後期 | 火4 | 文学研究科博士課程前期課程 | 前之園 望 | マエノソノ ノゾム | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LG-LT5-308S
履修条件・関連科目等
フランス文学史に関する基礎知識を身につけており、中級以上のフランス語の読解力を有している。
授業で使用する言語
日本語/フランス語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
この授業では、フランス詩作品を例にとって、文学作品を実生活に生かす方法を皆さんと一緒に探っていきます。
読書には、情報収集型と体験熟成型の、二種類の読書があります。
情報収集型の読書は「瞬間的に役に立つ」読書で、効率化が可能なので、コスパやタイパといった考え方と相性が良いものです。
体験熟成型の読書は「人生を豊かにする」読書です。同じ作品を再読することで、新たな読み方を発見し、そのたびに読書体験を深めてゆく行為で、効率化とは無縁です。逆に言えば、何度読み返しても新しい発見があり、そのたびに作品と自分の人生に深みを与えてくれる作品でなければ、体験熟成型の読書には不向きです。文学研究とは、体験熟成型の読書を行うことで作品を「育てる」ことにほかなりません。
この授業では、日々の生活に接続可能な「本(作品)の育て方」を、追究します。具体的には、19世紀・20世紀に活躍した詩人の作品を中心に、フランスの近現代詩作品を教員との質疑応答を通して鑑賞し、文学研究の基礎となる分析方法を学び、その知見をもとに年間テーマに沿った発表をしてもらいます。
今年度は「フランス詩歳時記」をみなさんに考えてもらいます。「歳時記」とは、狭義では俳句の季語辞典をことを指しますが、この授業では、各季節に応じた「読み返したい詩」を考えます。毎年同じ時期に読む文学作品を決めておくと、その作品は一種の「帰省先」のような存在になり、「今年もあの作品の季節がやってきた」という感覚になります。授業では、私の方でいくつか「帰省先」の具体例を紹介し、皆さんにも「この季節にぴったりの詩」という作品を見つけてもらいます。(見つけ方はこちらで指示しますのでご心配なく。)前期の授業では4~9月に読み返したい詩、後期の授業では10月~3月に読み返したい詩を4~5つ選んでオリジナル歳時記に含める作品のプレゼンを行ってもらいます。(シャンソンの歌詞や、小説などの「詩的描写」でも可。)まずはフランス語で書かれた詩を原文のまま味わい、音読、訳読を通してフランス詩独自の作品空間を自分の身体で体感できるようになりましょう。
科目目的
本格的な文学研究に必要な専門的知識、技術を身に付ける。徹底的に辞書を使いこなすことによって、高度に文学的・学術的なフランス語の文章を、独力で読み解けるようになる。文法的知識を適切に運用することで、複雑な詩句/文章を独力で理解することができるようになる。フランス語表現の細かいニュアンスの差に気が付けるようになる。初見では難解な文章が、粘り強く再読を繰り返すことで少しずつ解きほぐされ、次第にその全容が明らかになってゆくプロセスを、効率化の誘惑に陥ることなく実感できるようになる。
到達目標
1.授業で扱った詩作品の音声上の特徴、文法構造を理解する。
3.授業で扱った詩作品で使用されている修辞法を理解する。
4.上記の観点を踏まえて自分で詩作品の分析・解釈を行う。
5.フランス近代詩の大まかな見取り図を把握する。
5.必要な先行研究にアクセスする方法を身に付ける。
6.自分の考えを適切な形で文章にまとめることができる。
7.プレゼンテーションツールを使用した発表ができる。
8.研究発表において適切な質疑応答ができる。
授業計画と内容
第1回:授業概要説明。おすすめ詩集。1行詩「蜘蛛」(ジュール・ルナール)。
第2回:フィリップ・スーポー「急げ」、パワーポイント使用法
第3回:アルチュール・ランボー「わが放浪」、研究書・研究論文の探し方
第4回:ポール・ヴェルレーヌ「秋の歌」、文学研究の楽しみ方
第5回:ポール・ヴェルレーヌ「私の心に雨が降る」、季語の研究
第6回:前半の授業作品の振り返り
第7回:学生発表①:ジャンル無制限歳時記発表(日本の詩、短歌・俳句、好きな歌詞でもOK)
第8回:ギヨーム・アポリネール「イヌサフラン」、YouTubeの利用方法
第9回:ジャック・プレヴェール「枯葉」、レポート・論文のテーマ設定
第10回:ロジェ・コヴァルスキ「お前の顔に雪が降る」、レポート・論文の型
第11回:シャルル・ボードレール「コレスポンダンス」、注の付け方(和文)
第12回:ギヨーム・アポリネール「白雪」、注の付け方(欧文)
第13回:後半の授業作品の振り返り
第14回:学生発表②:フランス詩オリジナル歳時記発表
(授業回は大体の目安であり、履修者の人数や理解度によって内容を追加・変更することがあります。)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 40 | 以下の5項目を採点基準とし評価する。 ①提出期間を含め課題の規定に従っている。 ②構成(問題設定・本論・結論)が適切である。 ③主題(論旨)が明確かつ説得的である。 ④執筆者にしか書けない独創性がある。 ⑤誤字脱字などのない明晰な文章である。 |
平常点 | 60 | 60%の内訳は、30%が半期に付き2回ある発表内容、30%が授業中の質疑応答内容。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
毎回の授業へのコメントを共有するためにmanabaの掲示板機能を利用します。また、発表などを行う際に、タブレット、パソコンなどが必要になります。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
授業で扱う作品はmanabaを通して配布します。
参考文献
【詩集】
・安藤元雄・入沢康夫・渋沢孝輔〔編〕『フランス名詩選』岩波文庫、1998年。
・ジャック・プレヴェール『プレヴェール詩集』小笠原豊樹訳、岩波文庫、2017年。
・アルチュール・ランボー『対訳 ランボー詩集』中地義和編、岩波文庫、2020年。
・ジュール・ルナール『博物誌』岸田國士訳、新潮文庫、1954年。
【詩を読むということ】
・中地義和『ランボー 自画像の詩学』岩波書店、2005年。
・大森晋輔『フランスの詩と歌の愉しみ 近代詩と音楽』東京藝術大学出版会、2012年。
・ 渡邊十絲子『今を生きるための現代詩』講談社現代新書、2013年。
・ 窪田般彌『ミラボー橋の下をセーヌが流れ――フランス詩への招待』白水社、ふらんす双書、1975年。
・ 田中淳一『地球とオレンジ――フランス現代詩を読む』白水社、ふらんす双書、1980年。
・ 安藤元雄『新版 フランス語の散歩道』白水社、1996年。
【フランス詩法】
・杉山正樹『やさしいフランス詩法』白水社、1981年。
その他特記事項
・5回以上欠席された方は、原則として成績評価の対象となりません。やむを得ない個別の事情がある場合は、必ず事前にご相談ください。
・事前に教員に相談があり、教員がやむを得ないと判断した場合に限り、欠席された方が自宅からオンライン受講することを認めます。なお、オンライン受講をされても出欠記録は「欠席」となります。
・個別の連絡には「個別指導(コレクション)」を使用し、要件ごとにスレッドを立ててください。クラス全体の「掲示板」に個人情報を書き込まないようご注意ください。
・毎回の授業は、webexで授業画面のみ録画をし(教室の様子は撮影しません)可能な範囲でアーカイブ公開を行う予定です。授業内容の復習に役立てて下さい。
参考URL
語文コースHP https://sites.google.com/g.chuo-u.ac.jp/futsubun-gobun/
語文コースブログ https://chuo-bun-futsubun-gobun.blogspot.com/
前之園望の研究室 https://www.youtube.com/@nozomu_maenosono_chuo