シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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日本近現代史B | 2025 | 後期 | 火2 | 文学部 | 清水 善仁 | シミズ ヨシヒト | 2・3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-JH2-F210
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本講義では、日本近現代史における個別の事象から一つを取り上げ、それについての概説を通史とテーマ史に分けておこないます。今年度も昨年度に引き続き「公害からみた日本近現代史」と題して、近現代日本の代表的な社会問題である公害を取り上げます。
公害と聞くと、これまで中学校や高等学校で習った「四大公害」などの戦後の公害を思い浮かべる人が多いと思いますが、実は公害は戦前から日本各地で発生しており、多くの被害をもたらした点で近現代を通じた大きな社会問題でした。日本の近代化あるいは戦後の高度経済成長の影で生じた公害の歴史を明らかにすることは、近現代日本の社会の諸相を理解するうえで重要な意義があります。
そこで講義では、《第1部 通史編》において戦前・戦後の公害の実態について具体例を挙げつつ紹介し、それが当時の政治・経済や人びとの生活に及ぼした影響を考察します。ついで《第2部 テーマ史編》では原子力災害や香害・薬害など公害をめぐる個別のテーマを取り上げ、その歴史的な経過および現状・課題などについて紹介します。行政・企業・住民といったそれぞれの立場もふまえながら、通史では十分に深められない論点について多角的に検討していきます。
科目目的
公害の歴史を学ぶことにより、それが現在につながる問題でもあることを認識するとともに、近現代日本の政治・社会構造とその変容に関する専門的な知識を修得することを目的とします。
到達目標
本講義を通じて、歴史学研究を中心とした多様な学問的アプローチの方法を知り、さまざまな資料に基づいた客観的な理解・分析能力のための専門的学識を修得することを目標とします。
授業計画と内容
第1回 ガイダンス:授業の進め方について
《第1部 通史編》
第2回 公害の歴史を学ぶ際の視点
第3回 鉱山と公害
第4回 都市における公害の発生と拡大
第5回 公害概念の形成
第6回 戦後復興期の公害
第7回 高度経済成長期の公害
第8回 公害対策の展開
《第2部 テーマ史編》
第9回 原子力災害
第10回 香害・化学物質過敏症
第11回 薬害
第12回 映像のなかの公害
第13回 公害の歴史を伝える取り組み
第14回 総括・まとめ
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
毎回の講義で配布する資料や紹介した文献にあたり、復習に努めてください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 70 | 講義の内容を十分に理解し、それをふまえた論述ができているかどうかを基準とします。 |
平常点 | 30 | リアクションペーパーの記載内容を基準とします。講義の内容をうけて自分の意見や考えがきちんと明示されているかを特に重視します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
評価の前提条件:出席(リアクションペーパーの提出)が全開講回数の半数に満たない者は不可とします。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
毎回板書と資料の配布により講義を進めますが、第2部では以下のテキストを使用します。
清水善仁編著『今、そこにある公害』(ナカニシヤ出版、2025年)
あわせて、講義全般にかかわる参考文献として以下の2冊を挙げておきます。
小田康徳編著『公害・環境問題史を学ぶ人のために』(世界思想社、2008年)
安藤聡彦・林美帆・丹野春香編著『公害スタディーズ』(ころから、2021年)