シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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心理統計法特講 | 2024 | 夏季集中 | 他 | 文学研究科博士課程前期課程 | 渋井 進 | シブイ ススム | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LG-PY5-114L
履修条件・関連科目等
履修にあたって特別な知識は必要としません。統計学の入門的授業で行われる平均・分散などの記述統計についてのごく基礎的な知識は必要としますが、これまで統計を苦手としてきた学生でも十分履修可能なレベルです。心理学のすべての分野において、データを取得し、統計的分析を用いて論文を書こうとする学生に適切な授業であると考えられます。また、心理学に限らず他分野でも、実験計画を立てて、データを取得して分析を行う学生に有益であると考えられます。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
前半の講義では、記述統計や基本的な用語の説明、概念の説明や、心理学における統計の必要性について理解をします。その後に、いくつかの統計分析の手法について、論文を例としてとりあげ、どのように用いられているか、どのような工夫がなされているかについて考察することを通じて、それらの手法を習得するとともに、自身の研究への応用方法について学修します。各分析手法の解説の授業の前半には統計的手法についての説明を行い、後半には具体的な例を取りあげ説明します。例としては、主に講師の行ってきた顔表情に関する実験心理学的な研究や、教育心理学的研究において用いてきた統計的手法を具体的に紹介することにより、受講者がデータを解析して結果を導き、論文に結びつけるまでの技術的な問題などを含めて解説を行います。また、イメージがつかみやすいように、適宜Excel, SPSS, Rなどのソフトを用いて受講者と一緒に分析を行いながら説明を行います。後半3回の授業では理解した手法を具体的な知識として身につけ、視野を広げるために、各受講者が自分自身の興味関心や学力に合わせ、自分自身の研究あるいは、関連する分野の論文を取り上げて簡単に発表し、皆で考察して理解を深めます。
科目目的
心理学の分野において、論文を正しく読んだり、書くために必要となる統計的な解析手法の具体的な修得を目的とします。心理学教育のカリキュラム全体の中で基礎となる科目です。どんなに優れたアイデアを持っていたとしても、適切な実験や調査、適切なデータ処理の方法や結果の見せ方を知らなければ、論文として公表することは困難でしょう。本講義では、そのための基礎となる考え方から実践的な方法までを身につけます。
到達目標
取得されたデータを適切に解析する手法を学ぶことはもちろんですが、それに加えて、ある仮説を検証するにあたって、実験や調査を遂行する段階からデータ解析までを見通して、自分自身で計画を立てることができるようになることを目標とします。「人間の内面と社会、テクスト、データおよび事象を中心に考察する」という研究科の基本理念に基づき、ディプロマ・ポリシーの中の特に論理的構築力と関連した能力を身につけることが目標です。具体的には、先行研究に基づいて仮説を設定し、科学的な手法を用いて得られたデータを基に統計学的手法によって仮説を検証し、新たな問題設定に繋げることができる。事例研究や質的研究を含む幅広い先行研究に基づいて問題を設定し、科学的な手法を用いて得られたデータを客観性を担保しながら分析し、新たな問題設定に繋げることができる。などが挙げられます。
授業計画と内容
1.授業の到達目標についての確認および講師の研究の紹介
2.記述統計(1):グラフ表現
3.記述統計(2):尺度水準
4.記述統計(3):相関と回帰
5.記述統計(4):論文作成上の注意
6.カイ二乗検定
7.因子分析
8.t検定
9.分散分析
10.回帰分析
11.共分散構造分析
12.受講者のプレゼンテーション
13.さまざまなソフトウェアの使い方
14.総合討論
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
受講者のプレゼンテーションについては、初回に指示しますが、十分な準備をして他の受講者に理解しやすい発表にしてください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 40 | 授業への積極的な取り組み度 A(100~90)授業で用いた統計分析の手法について完全に修得でき、自分自身の研究遂行に生かすことができるようになった。 B(89~80)授業で用いた統計分析の手法について良く修得でき、自分自身の研究遂行に生かすことができるようになった。 C(79~70)授業で用いた統計分析の手法について良く理解ができた。 D(69~60)授業で用いた統計分析の手法についておおむね理解ができた。 E(59~0)授業で用いた統計分析の手法について理解ができなかった。 |
その他 | 60 | 授業の最後のプレゼンテーションでの発表 A(100~90)授業で用いた統計分析の手法について完全に修得でき、自分自身の研究遂行に生かすことができるようになった。 B(89~80)授業で用いた統計分析の手法について良く修得でき、自分自身の研究遂行に生かすことができるようになった。 C(79~70)授業で用いた統計分析の手法について良く理解ができた。 D(69~60)授業で用いた統計分析の手法についておおむね理解ができた。 E(59~0)授業で用いた統計分析の手法について理解ができなかった。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション/実習、フィールドワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
大学改革支援・学位授与機構の研究開発部にて、評価システムの検証と開発を行っている。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
大学評価のデータを心理測定の文脈から解釈し、測定に関わる信頼性・妥当性の問題を授業で扱います。
テキスト・参考文献等
テキストは、授業において適宜レジメ等を配布します。自習用の参考書としては、
森 敏昭 、吉田 寿夫『心理学のためのデータ解析テクニカルブック』北大路書房、1990年。
吉田寿夫『ほんとうにわかりやすいすごく大切なことが書いてあるごく初歩の統計の本』北大路書房、1998年。
石村 貞夫、石村友次郎『SPSSによる多変量データ解析の手順』第4版 東京図書、2011年。
大久保街亜、岡田謙介『伝えるための心理統計: 効果量・信頼区間・検定力』 勁草書房、 2012年。
などがあげられます。
その他特記事項
統計が苦手な人、大学院から心理学を学ぶ人にも理解できるよう、極力数式を使わず、直感的に理解ができるよう、実習を含めて、即使える能力の養成を目的とした講義を行います。