シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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西洋テーマ史(1)/西洋各国史(3)A | 2025 | 前期 | 金2 | 文学部 | 白川 耕一 | シラカワ コウイチ | 1~4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-WH1-H311
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
題目「ユダヤ人を救え!―第2次世界大戦におけるフランス、ベルギー、オランダにおけ
るユダヤ人救援の動きと限界」
概要
ホロコーストとは、第2次世界大戦中におけるナチス・ドイツによるユダヤ人殺害を表す言葉です。私は、ユダヤ人迫害と殺害をナチス・ドイツの特有の現象と見ずに、ドイツを震源地としたヨーロッパ全体にかかわる問題として考えています。
本講義では、第2次世界大戦期のフランス、ベルギー、オランダにおけるユダヤ人迫害を扱います。ナチス・ドイツに占領された三国において、確かにユダヤ人迫害がドイツの命令の下で遂行されました。しかし、占領された側の人のなかにもユダヤ人迫害に協力した人がいたこと、犠牲者のユダヤ人の中でも様々な動きがあったことが明らかになっています。本講義では、3国における、占領期のユダヤ人迫害の経過をたどった後、ユダヤ人を救援する動きについて説明します。連合国政府の動き、米国ユダヤ人の団体による救助活動、キリスト教徒による救援や対独抵抗運動グループとの関係、ユダヤ人自身による活動を検討します。迫害と救援活動とを重層的に明らかにしていきたいと考えています。
科目目的
現在、歴史像をめぐる厳しい紛争が各地で発生しています。それは、過去の見え方は決して変化しないものではなく、時代や人々の意識によって変化するからです。授業においては、ナチス・ドイツが一方的に占領地に反ユダヤ主義政策を押し付けたという見方をとりません。フランス、オランダ、ベルギーで採られた政策がどのように違うのか、ユダヤ人や現地の人びとの反応にも注目したいと思います。
到達目標
(1)ヨーロッパ現代史を学ぶ上で、必要な知識を獲得する。
(2)ナチス・ドイツにおけるユダヤ人迫害の展開を説明することができる。
(3)第2次世界大戦中の取られた反ユダヤ主義政策の違いを説明することができる。
(4)迫害を受けるユダヤ人が、ナチ支配から逃れ、自らの命を守るためにどのような行動をとったのかを説明することができる。
授業計画と内容
講義計画
第1回 はじめに
第2回 ベルギー、オランダ、フランスにおけるユダヤ人(1930年代末まで)
第3回 独墺チェコからのユダヤ人難民と西欧社会
第4回 第2次世界大戦の勃発(1939~1940年)とユダヤ人の動き
第5回 ナチ占領下の3国の行政機構ーナチ支配への同調―
第6回 占領初期(1940~1942年夏)における反ユダヤ主義政策
第7回 登録から移送、そして殺害へ-3国におけるユダヤ人殺害政策の展開―
第8回 国際社会とユダヤ人迫害・殺害—米国政府の動きを中心に—
第9回 米国ユダヤ人団体によるユダヤ人救援活動
第10回 ユダヤ人迫害とキリスト教会(1)—フランス—
第11回 ユダヤ人迫害とキリスト教徒(2)―ベルギー、オランダー
第12回 対独抵抗グループとユダヤ人
第13回 「逃げる、隠れる」ーユダヤ人自身の動き(1):フランスー
第14回 「逃げる、隠れる」―ユダヤ人自身の動き(2):オランダ、ベルギー
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
講義を受講する前、または受講しながら、概説書として芝『ホロコースト』またはベーレンバウム『ホロコースト全史』のいずれかを受講者が読んでおくことを希望します。
授業では、あまり日本ではなじみのない歴史的事件を扱う場合があります。そのため、『世界各国史12(新版) フランス』(山川出版社 2001年)、『世界各国史14(新版)スイス・ベネルクス史』(山川出版社 1998年)の20世紀前半の部分を一読してから、講義を聴講すれば理解がより進みます。
・授業の進行に合わせて、フランスに関しては、渡辺和行『ナチ占領下のフランス』や同『ホロコーストのフランス』、オランダに関しては、水島治郎『隠れ家と広場』、フェルフーフェン『アンネ・フランクは一人じゃなかった』、谷口長世『アンネ・フランクに会いに行く』を読み進めてください。
・第2次世界大戦期のユダヤ人迫害と殺害は国境を越える事件です。丸山直起『ホロコーストとアメリカ』を授業に合わせて読みながら、国境を越える認識、人間のつながりや活動を学んでください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 70 | 授業で扱った内容に関する理解を問う、論述形式の筆記試験をおこないます。(論述形式で1200字程度)。 |
平常点 | 30 | 授業後に史料読解に関する課題を出題します(2回程度)。 |
成績評価の方法・基準(備考)
学期末の筆記試験においては、以下の点にご注意ください。
・試験中、参考書、書籍、ノート、メモなどの参照は一切できません。
・試験問題と講義内容から著しく逸脱した答案は成績評価の対象になりません。
・解答は文章化してください。箇条書きの答案は採点の対象外とします。
・授業時に配布した資料で、内容が不足する場合には、参考文献などを参照して補ってください。
・自主的な試験勉強の成果が答案上に認められる場合により高い得点を与えます。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
【テキスト】
指定しません。授業においては、プロジェクターで授業資料を投影しながら、授業を進めます。授業中の投影した資料は印刷し、受講者に配布します。
文献目録
【概説書、辞典など】
芝健介『ホロコースト―ナチスによるユダヤ人大量殺戮の全貌』(中公新書 2008年)
ラウル・ヒルバーク(望田・原田・井上共訳)『ヨーロッパ・ユダヤ人の絶滅』(柏書房 1997年)
マイケル・ベーレンバウム(芝健介監訳)『ホロコースト全史』(創元社 1996年)
ヴォルフガング・ベンツ(中村浩平他訳)『ホロコーストを学びたい人のために』(柏書房 2004年)
マイケル・マラス『ホロコースト』(時事通信社 1996年)
ウォルター・ラカー(望田幸男他訳)『ホロコースト大事典』(柏書房 2003年)
David S. Wyman(ed.), The World reacts to the Holocaust, John Hopkins UP 1996.
【研究書】
岡典子『沈黙の勇者たち―ユダヤ人を救ったドイツ市民の戦い』(新潮選書 2023年)
谷口長世『アンネ・フランクに会いに行く」(岩波ジュニア新書 2018年)
丸山直起『ホロコーストとアメリカ』(みすず書房 2018年)
水島治郎『隠れ家と広場―移民都市アムステルダムのユダヤ人』(みすず書房 2023年)
渡辺和行『ナチ占領下のフランス—沈黙・抵抗・協力』(講談社選書メチエ 1994年)
渡辺和行『ホロコーストのフランス-歴史と記憶-』(人文書院 1998年)
シルト・ウォルターズ(朝比奈一郎訳)『三十か月ーユダヤ人家族を守りぬいた恐怖と幸福の日々』(冨山房インターナショナル 2005年)
リアン・フェルフーフェン(水島治郎他訳)『アンネ・フランクはひとりじゃなかった』(みすず書房 2022年)
Dan Michman, Belgium and the Holocaust, Yad Vashem Pubns. 1998
Bob Moore, Survivors. Jewish Self-Help and Rescue in Nazi-Occupied Western Europe, Oxford UP 2010.
Bob Moore, Victims & Survivors. The Nazi Persecution of the Jews in the Netherlands 1940-1945, Arnord 1997.