シラバス
| 授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 開発の国際法 | 2026 | 春学期 | 火5 | 法学部 | 久保庭 慧 | クボニワ サトシ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-IL3-004L
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
国際社会における「開発」をめぐるは問題は従来、「南北問題」という形で象徴的に言及され、それは「支援する先進国」と「支援される途上国」という二元論的思考によって枠づけられてきました。しかしながら、「開発」は今や全地球的な射程を有する問題になっています。2015年に国連総会で採択された新たな開発アジェンダは持続可能な開発目標(SDGs)と名付けられ、国際社会全体が一致して取り組むべき目標として「誰一人取り残さない(Leave No One Behind)」ことを掲げています。すなわちこの目標は、途上国だけでなく先進国をも対象とし、また国家だけでなく、企業やNGO、さらには私たち一人一人まで含めて「誰一人取り残さない」ことを目指そうとしているのです。我々は遠くの途上国のみに関わる問題としてだけではなく、自らの問題として「開発」を考えなければなりません。
さらに、SDGsを一読すれば明らかなように、開発をめぐる問題は、もはや経済成長を中心とする経済的次元の問題だけでなく、環境負荷の改善や生態系保護などの環境的次元、ジェンダー平等や教育、労働などの社会的次元、文化遺産の保護や文化多様性の維持・促進などの文化的次元にも関わっています。その意味で、少し不思議な言い方ですが、開発は「開発」のことだけを考えていれば良いという話でもなくなってきているのです。本講義では、このように包括的で、かつ我々の日常にもダイレクトに関わるものになってきている開発の問題に対して、国際法がどのようにアプローチしてきたのか、そして現にどのようにアプローチしているのかを概観し、その意義と限界について検討していきたいと思います。
科目目的
開発に関する国際法規範の概要について学びつつ、そうして習得した知識をもって現実の社会において生じている、開発に関連する諸問題を国際法の観点から説明したり、分析したりできるようになってもらうことがこの科目の最終的な目的です。こうした能力は、法学部のディプロマポリシーである「地球的視野に立った法的問題意識と法的解釈能力」の習得に寄与するものです。
到達目標
以下の3点を科目の目的として設定し、これらの目的の観点から達成度を評価します。
1.「開発」という概念の歴史的発展過程と多義性を理解すること
2.「開発」に対して国際法がどのように関与してきたか、あるいは現に関与しているかを理解すること
3.「開発」をめぐる様々な概念の中でも特に「持続可能な開発」概念について、その法的位置付けも含めて理解し、これを自分なりに説明できるようになること
授業計画と内容
第 1 回 導入:国際法における「弱者」と「強者」
第 2 回 「開発」概念の意味と歴史的展開
第 3 回 古典的開発の国際法の誕生のと理論的基礎
第 4 回 規範の多重性の具体的発現その1:国際労働法
第 5 回 規範の多重性の具体的発現その2:国際経済法、国際環境法
第 6 回 古典的開発の国際法の「終焉」
第 7 回 新たな開発の国際法の登場:持続可能な開発概念の提唱
第 8 回 持続可能な開発の構成要素その1:世代間衡平・世代内衡平
第 9 回 持続可能な開発の構成要素その2:統合原則
第10回 持続可能な開発と文化
第11回 持続可能な開発の展開その1:持続可能な開発目標(SDGs)の採択
第12回 持続可能な開発の展開その2:持続可能な開発目標(SDGs)の課題
第13回 新たな開発の国際法の限界と展望
第14回 授業全体のまとめ
授業時間外の学修の内容
授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
毎回レジュメの末尾に課題を用意しますので、それに取り組んでください。また、参考文献の関連箇所を読んで理解を深めてください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
| 種別 | 割合(%) | 評価基準 |
|---|---|---|
| レポート | 50 | 学期末に提出してもらうレポートの内容。 |
| 平常点 | 50 | 毎回提出してもらうリアクションペーパーの内容の総合評価。 |
成績評価の方法・基準(備考)
1.レポートの形式、レポート作成にあたってどのような準備をすれば良いか等については、授業内で説明する時間を設けます。
2.成績評価の項目にもありますように、リアクションペーパー(毎回提出の課題を含む)の比重が比較的大きいため、毎回の授業への継続的な取り組みが最終的な成績評価にかなりの程度ダイレクトに結びつきます。履修を検討している方はこの点を慎重に考慮の上、登録をするようにしてください。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
授業はレジュメをベースに進めますので教科書は特に指定しません。参考文献の詳細については授業内で案内しますが、さしあたり次のものを挙げておきます。
・高島忠義『開発の国際法』(慶應通信、1995年)
・中川淳司ほか(編)『国際経済法』(有斐閣、2003 年)
・松井芳郎『国際環境法の基本原則』(東信堂、2010年)
・西海真樹『現代国際法論集——開発・文化・人道』(中央大学出版部、2016年)
・南博、稲場雅紀『SDGs——危機の時代の羅針盤』(岩波新書、2020年)