シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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国際私法 | 2025 | 前期 | 火1 | 国際情報学部 | 白木 敦士 | シラキ アツシ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
GI-IR3-IL25
履修条件・関連科目等
特になし
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
日本人大学生Aさんは、フランス人の留学生Bさんと交際し、卒業後に日本において、結婚した。その後、二人は、国際金融機関に就職したBさんの転勤に際してアメリカ合衆国・ニューヨーク州に転居し、そこで二人の子どもCが生まれた。その後、二人の関係は悪化し、Aさんは、日本への帰国を決意した。日本において、AさんとBさんが離婚する場合に、日本の裁判所は、どの国の法律を適用すべきか。本講義で扱うのは、このような渉外的法律関係に関する問題である。国際私法は、海外での交通事故や国際的な動産の売買、技術移転、生産物責任などの財産的なもののみならず、国際結婚、国際養子縁組、国際相続といった家族的なものも含めた渉外的私法生活関係をめぐる紛争にどの国の法を適用し、また、どのように解決すべきかを定める法律である。この講義では、まず、外国法の適用制度を中心とした国際私法の基礎的な考え方や特徴的な方法論について、歴史的、比較法的な視点も踏まえながら概観していく。担当教員は、弁護士資格を有する実務家でもある。講義では、関連する具体例を豊富に示すことにより、受講生における講義内容の理解促進に努めたい。
科目目的
経済のグローバル化や情報通信技術の普及に伴い、私人を取り巻く国際的法律関係はますます多様化・複雑化している。この講義の目的は、そうした現代的な問題意識にも寄り添いつつ、種々の法規範がどのように機能しているかを考察することにある。
到達目標
内外(実質)法の内容的相違を前提に、国際私法の基本的な構造やこの法律に特有の考え方や法技術について理解するとともに、それらが個々の規定や具体的な事例の解釈にどう反映されているかを把握し、論理的に説明できるようになることを目標とする。
授業計画と内容
第1回 : 国際私法の全体像(国際私法の意義、法律関係の性質と考え方)
第2回 : 国際私法の基本理念と正義、法源
第3回 : 法律関係の性質決定
第4回 : 連結点、反致
第5回 : 準拠法の指定・外国法の適用・国際私法上の公序
第6回 : 先決問題・適応問題・第1―6回までの総復習
第7回 : 国際家族法(1)(婚姻・離婚)
第8回 : 国際家族法(2)(親子関係)
第9回 : 国際家族法(3)(扶養・相続)
第10回: 国際財産法(1)(自然人・法人・契約)
第11回: 国際財産法(2)(不法行為・事務管理・不当利得)
第12回: 国際財産法(3)(債権債務関係)
第13回: 国際財産法(4)(物権、知的財産権)
第14回: 期末試験の「臨み方」(法律文書作成の作法)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
国際私法が関係する、またはし得る社会的事象に関して、新聞やニュース報道に目を通す。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 90 | 国際私法の基本的な構造やこの法律に特有の考え方や法技術を理解したうえで、それらが個々の規定や具体的な事例の解釈にどう反映されているかを把握し、論理的に説明できるかどうかを評価する。 |
平常点 | 10 | 質問や感想などを通じた講義参加自体を評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
講義内における質問を歓迎します。講義に関する質問のみならず、講義で扱った事項と関連する質問や感想でも構いません。教員は、質問の内容に基づいて、平常点を評価しないことを約束しますので、遠慮せずにご質問ください。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業は講義形式で実施するが、「面接授業」を行う場合には、可能なかぎり対話(質疑応答)をしながら授業を進めていきたい。このため、適宜履修者に発言を求めることがある。また、「資料配信型授業」と「自主学習指示型授業」との併用により授業を行う場合には、授業後に課題を求めることがある。
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
質問はメールやmanaba上でも対応する(全体に資するものは掲示板等で紹介することがある)。もちろん、面接授業中に積極的に疑問点等について発言することは大歓迎である。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
担当教員は、弁護士(日本・米国ニューヨーク州・メリーランド州)の資格を有し、主に、日本と米国法域との間における国際家族紛争を扱ってきた。また、国際人権NGOであるHuman Rights Watch, Tokyo Officeの理事として、東アジア地域における国際人権訴訟実務に関与している。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
国際家族紛争実務・国際人権訴訟実務に携わってきた経験を踏まえ、豊富な具体例を示しながら、国際私法の意義を分かりやすく説明する。
テキスト・参考文献等
【テキスト】
中西康他『国際私法(Legal Quest)』(有斐閣、第3版、2022年)ISBN: 4641179492
【参考文献】
① 道垣内正人=中西康編『国際私法判例百選』(有斐閣、第3版、2021年)(別冊ジュリストNo. 256) ISBN:4641115569 (法学学修者向けの判例集です。講義で扱う判例・裁判例について深く学修する場合に参照してください。)
② 多田望他『国際私法(有斐閣ストゥディア)』(第2版、有斐閣、2024年)ISBN: 4641151202(初学者向けの参考書です。国際私法に関する概念について分かりやすく説明されています。補助教材としてご参照ください。)
※その他の参考文献は、開講時および講義中に適宜指示する。