シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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技術戦略論 | 2025 | 後期 | 金5 | 国際情報学部 | 川尻 傑 | カワジリ スグル | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
GI-MN3-SE09
履修条件・関連科目等
(履修条件)特になし
(関連科目)情報戦略論、イノベーションと技術、各国ICT事情、ネットビジネスとマネタイズ、デジタルブランディング、企業の情報戦略とEA
授業で使用する言語
日本語/英語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業は主に日本語で実施するが、英文資料を参照する場合がある。
授業の概要
技術は企業の競争力の源泉の一つである。本授業では、技術を顧客価値へと変換するプロセスがどうあるべきか、企業における技術のマネジメントのあり方、経営資源の配分方法、組織構成などについて、様々な角度から焦点を当てて論じる。また、事例の分析を加えることによって、技術戦略を具体的かつ身近な問題として理解できるようにする。事例では、特に情報技術の活用について焦点を当てる予定である。また、教科書で使用されている各種分析フレームワークの概要についても講義する。
授業は講義形式(対面・オンデマンド併用)で実施するが、一部アクティブ・ラーニングを取り入れる場合がある。
科目目的
本科目は、カリキュラム上の専門科目群「情報発展」に位置付けられることを踏まえ、技術を中心に据えた事業戦略に関する基本的な知識、分析・立案に必要な思考の軸や手法の習得を目的とする。また、「なぜあの会社の事業は社会に価値を持続的に生み出し続ける(儲かっている、製品・サービスが評価され続けている)ことができているのか」という問いに答えるための着眼点や手法(分析フレームワークなど)を得ることも目的とする。
到達目標
上記の視点や分析手法を習得し、技術を中心に据えた事業戦略を立案できるようになることが到達目標である。
なお、この講義で身につけたことは就職活動でよく行われる業界や企業の分析に役立ち、その後、事業戦略立案や起業に携わるときにも有益と考えている。
授業計画と内容
この授業科目は、多くの受講生の皆さんには馴染みが薄い、経営学に属するものである。それぞれのペースで学習することも重要と考え、対面授業とオンデマンド型(動画配信)授業を併用して実施する予定である。対面の回では演習の機会を多めに、オンデマンドの回では自習の参考となる情報を多めに提供する。以下の計画は教科書の構成に沿ったものだが、扱う事例などは履修者の希望や社会状況、実際の授業の状況に応じて変更する可能性がある。
第1回 :【対面】技術戦略の前提:経営戦略・事業戦略の必要性
− 戦略の定義
− 技術が起点となる戦略の特徴
− 事例:AppleとGoogleのスマートフォン事業
第2回 :【対面】技術戦略の前提②:競争優位の実現
− 良い戦略の条件
− SWOT分析
− 演習:SWOT分析
第3回 :【オンデマンド】戦略の型①:差別化戦略
− 差別化戦略の特徴
− マーケティング・ミックスとの関係
− IT分野での差別化戦略の特徴
− 演習:ベンチマーキング(第2回事例を題材に、競合企業の事業を調査し、比較分析)
第4回 :【対面】戦略の型②:コストリーダーシップ
− コストリーダーシップ戦略の特徴
− IT分野でのコストリーダーシップ戦略の位置づけ
− 事例:Googleの検索、メールサービス事業
− 前回演習解説
第5回 :【対面】戦略の型③:創発的戦略
− 創発的戦略の特徴
− 事例:キーエンス
− IT分野での創発的戦略の位置づけ
第6回 :【オンデマンド】技術戦略検討の素材①:顧客価値
− 顧客価値の捉え方
− 事例:TikTok
− 顧客価値の発想法
− 演習:ペルソナとカスタマージャーニーマップ
第7回 :【対面】技術戦略検討の素材②:自社・競合の強みの分析
− 外部環境との関係性(業界の収益性、競争ポジション)
− 対象企業の経営資源の分析
− 技術パラダイム、アーキテクチャという考え方
第8回 :【対面】技術戦略検討の素材③:技術資源の分析
− 経営資源としての技術の捉え方
− 技術分析の手法
− 演習:特許の検索
第9回 :【オンデマンド】持続的な収益化①:ビジネス・モデル
− ビジネス・モデルの特徴
− IT分野での意義
− 演習:事業立案(顧客観察+顧客価値)
第10回 :【対面】持続的な収益化②:オープン戦略、標準化戦略
− オープン化の意義
− 事例: オープンソース(Linuxなど)、トヨタの特許開放
− 標準化戦略
第11回:【対面】持続的な収益化③:プラットフォーム・ビジネスの成長要因
− プラットフォーム・ビジネスの爆発的成長の要因
− 事例:UberEatsと出前館
第12回:【オンデマンド】持続的な収益化④:プラットフォーム・ビジネスの失敗要因
− プラットフォーム・ビジネスの失敗要因
− 事例:ジモティーとメルカリアッテ
第13回:【対面】技術戦略のトレンド①:データビジネス
− データビジネスの特徴
− 事例:Facebookの広告事業、航空業界のCirium
第14回:【対面】技術戦略のトレンド②:社会課題解決
− 社会課題解決とビジネス
− 事例:Global Mobility Service、WOTA
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
・オンデマンドの回では、各回とも200字程度の授業まとめの提出をもって出席点を与える。
・リアルタイム型の回では、簡単な演習を行うことがある。できるだけビジネス関連(特に情報技術分野)のニュースに注意を払っていただければ幸いである。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 50 | 4000字程度のレポートを課す予定であるが、受講生が100名を超える場合、教場テストに変更する可能性がある。なお、学生相互の学びに繋げるため、レポートはグループでの提出を許容する予定である。その代わり、グループでの提出の場合はより質の高いものであることを求める。 |
平常点 | 50 | 講義への参加状況(質問等)、および、オンデマンドの回での授業終了後のレポートを原則とする。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)/ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
クリッカー/タブレット端末
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
担当教員は、前職の国内シンクタンク (2007/04-2022/12) および現職の会計系コンサルティングファーム (2023/01-) において、官公庁および民間企業に対する、情報システム開発やデータ分析、情報技術に関する調査研究、特許調査、新規事業推進支援などのプロジェクトに従事してきた。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
事例紹介、特許調査、各種分析フレームワークの解説(バリューチェーン分析、SWOT分析など)
テキスト・参考文献等
【教科書】
網倉久永, 新宅純二. 2011.『マネジメント・テキスト 経営戦略入門』日本経済新聞出版.
【参考文献】
近能善範, 高井文子. 2011. 『コア・テキスト:イノベーション・マネジメント』新世社.
マイケル A.クスマノ, アナベル ガワー, デヴィッド・B.ヨッフィー. 2020. 『プラットフォームビジネス−デジタル時代を支配する力と陥穽』有斐閣.
牧兼充. 2022. 『イノベーターのためのサイエンスとテクノロジーの経営学』東洋経済新報社.
清水洋. 2022. 『イノベーション』有斐閣.
その他特記事項
教科書は情報技術分野を主にしたものではないが、記載されている理論や事例から得られる示唆は、情報技術分野においても当てはまるものと考えている。講義では教科書記載の事例のほか、デジタルデータを起点としたプラットフォームビジネスなど、直近の事例を中心に紹介し、教科書と情報技術の間をつなぐ予定である。講義内容は、「履修条件・関連科目等」で挙げた科目の講義内容と一部重複するが、各科目との接続を考慮しつつ、技術戦略の観点を重視して講義できればと考えている。
なお、参考文献は受講生の皆さんの関心に沿うと考えている。教科書ともども積極的に読んで授業に臨んでいただければ幸いである。