シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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日本語教育A | 2024 | 前期 | 土2 | 文学部 | 木谷 直之 | キタニ ナオユキ | 1・2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-JA1-A302
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本講義は、大きく二つの内容に分けられます。
前半は、国内外で行われている多様な日本語教育の現場を紹介し、学習目標や学習環境などの違いによって日本語学習の内容と方法がいかに多様であるかを見ます。特に、日本の学校で学ぶ日本語以外の言語を母語とする児童生徒を対象とした日本語教育と、日本で働きながら日本語を学ぶ「生活者としての外国人」を対象にした日本語教育の現状に焦点を当てて講義を進めます。
後半は、ノンネイティブ日本語教師や日本語学習者の視点から、「外国語としての日本語」を教える/学ぶ上でどのようなおもしろさや難しさがあるのかを考えます。日本語を母語とする私たち日本人にはなかなか気づけない「外国語としての日本語」の特徴に焦点を当てて講義を進めます。
科目目的
大きく2つの目的があります。
①学習環境や学習目標、学習ニーズ等の観点から、日本語教育がその内容と方法においていかに多様であるかを知り、後期の日本語教授法の多様性を考える基礎知識を身につけること。
②「外国語としての日本語」がどのような特徴を持っているかを知り、後期の日本語教授法の講義につながる基礎知識を身につけること。
到達目標
以下の4点を到達目標とします。
①学生の皆さんが日本国内の日本語教育と海外の日本語教育の現状を知り、現在の日本語教育がどのような広がりをもっているかを知り、自分の言葉で説明できるようになること。
②学生の皆さんが日本語教育の多様性について知り、特に年少者に対する日本語教育と、成人に対する日本語教育の異同について、自分の言葉で説明できるようになること。
③学生の皆さんが「外国語」として「日本語」を学ぶという視点から、自分の母語がどのような特徴を持った言語なのかを知り、「国語」との違いを意識できるようになること。
④学習環境、学習目標、学習方法、教科書・教材等の視点から、国内外の日本語教育の多様性を知るとともに、これまでの自分自身の外国語学習経験をふり返りる契機とすること。
授業計画と内容
第1回:講義の導入・日本語教育の多様性(国内・国外の日本語教育の現状の概観)
第2回:年少者の外国語教育および日本語教育を考える際に重要になる観点の整理
第3回:国内の外国人児童生徒のための日本語教育の現状と課題
第4回:海外の中等教育機関における日本語教育の現状と課題
第5回:海外の中等教育機関における日本語教育、特に異文化理解教育との関連について
第6回:「生活者としての外国人」に対する日本語教育の現状と課題
第7回:「生活者としての外国人」に対する日本語教育、特に目的別日本語教育について
第8回:外国語としての日本語(1)−学校文法と日本語教育文法−
第9回:外国語としての日本語(2)−主語と主題−
第10回:外国語としての日本語(3)−視点−
第11回:外国語としての日本語(4)−テンス−
第12回:外国語としての日本語(5)−アスペクト−
第13回:外国語としての日本語(6)−モダリティ−
第14回:外国語としての日本語(7)−談話−
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 70 | 2つのテーマでレポート提出。テーマは授業中に伝えます。 評価のポイントは、講義の内容を踏まえて、自分自身の外国語学習経験を批判的に分析・考察しまとめることができているかどうかを評価します。 |
平常点 | 30 | 授業への参加および受講態度を確認するために、毎回の授業後にリアクションペーパーを提出してもらいます。 リアクションペーパーに書く内容は、以下の2つ。 ①授業を受けて気が付いたこと、発見したこと、新しく知ったこと、自身の経験と関連付けて理解できたことなど。 ②授業の内容について疑問に思ったこと、質問したいこと。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
私は国際交流基金(日本語国際センター)で25年余り仕事をしてきました(2021年3月末に定年退職しました)。
国際交流基金は、日本と海外の国々との文化交流を支援・促進するための独立行政法人です。
国際交流基金は、大きく、①文化芸術交流、②日本語教育、③日本研究・知的交流の3つの交流事業に携わっています。
私は専任講師として、②の日本語教育事業に携わってきました。私が所属していた国際交流基金日本語国際センターは、世界のさまざまな国や地域で日本語を教えている日本語教師(多くはノンネイティブ教師)を日本に招聘し、日本語と日本語教授法を中心とした教師研修を行っています。年間、400人以上の海外の日本語教師が日本を訪れ、短い研修で1か月、長い研修では6か月間、日本で研修を受けています。ただし、2020~2021年度は、世界的なコロナ・ウィルス感染拡大の影響を受け、訪日研修が実施できず、オンライン型の研修事業を行ってきました。
また、国際交流基金は、海外での事業遂行のため、世界各地に30余の海外センターおよび海外事務所を展開しています。私はこれまでエジプト(カイロ大学)、英国(ロンドン日本文化センター)、インドネシア(ジャカルタ日本文化センター)に赴任し、計8年半ほど海外で高等教育機関での日本語教育および初中等教育段階のノンネイティブ日本語教師支援の仕事をしてきました。
国際交流基金退職後は、多文化共生センター東京の日本語講師として、海外の中学校を卒業し日本の高校への進学を希望している外国人生徒の日本語および教科(特に数学と英語)の学習支援の仕事をしています。海外の多様な学習環境のもとで小学校・中学校時代を過ごしてきた生徒たちが、日本の高校に進学するためには、日本語や各教科の学習だけではなく、日本の学校生活や学校文化、日々の生活習慣等についても学び慣れていくことが必要です。
「日本語教育A」では、上述のような実務経験から得た知識や情報、経験を活かしながら、講義を進めたいと考えています。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
私の実務経験と授業内容との関連は、以下の2点です。
まず、私は職務上、海外の日本語教師の皆さんと直接、いろいろなやりとりをする機会が多く、その中で海外の日本語教育の現場でどのような課題や問題があるのかについて情報・意見交換をしています。また、留学や仕事のために来日する外国人の皆さんが日本で学習や研究を進める上で、あるいは日々の生活を送る中でどのような課題や問題を感じているかについても、情報・意見交換をしています。そのような実務の中で得た情報や知識を、「日本語教育A」の講義の中で織り交ぜてお話していこうと考えています。
次に、私は、海外で日本語を教えるノンネイティブの教師の皆さんとのやりとりの中で、世界中のさまざまな言語と日本語を比較対照しながら日本語の特徴を考える機会を多く得てきました。日本語の文字、日本語の音声、日本語の語彙、日本語の文法などについて、日本語が他の言語と比べて、一つの言語として、どのような特徴を持っているのかを、学生の皆さんにお話しできればと考えています。私たちは、自分の母語である日本語を、ごく当たり前のように、何も疑問を感じることなく、日々の生活で使っていますが、その日本語を「外国語」として学び、身につけてきた外国人の目から見て、日本語にどのような特徴があるのかを、学生の皆さんに具体的にお話できればと考えています。
テキスト・参考文献等
参考文献等は授業時に随時紹介します。