シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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環境会計論 | 2024 | 後期複数 | 月1,木3 | 経済学部 | 丸山 佳久 | マルヤマ ヨシヒサ | 3年次配当 | 4 |
科目ナンバー
EC-AU3-33XX
履修条件・関連科目等
特になし
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
<学位授与方針と当該授業科目の関連>
この科目は、現実把握力(経済学の専門知識及び社会・人文・自然科学の知識教養に裏付けられた広い視野に立った柔軟な知性に基づき、現実の経済現象を的確に把握することができる)の修得に関わる科目です。
<概要>
環境会計は、企業を始めとするさまざまな組織の経済活動等によって生じる環境への影響等を測定・報告する行為のことで、外部報告用途と内部管理用途に大別できます(これらをミクロ環境会計といいます)。外部報告用途の環境会計として、企業活動とステイクホルダーとの関係を分析するために、企業の社会的責任(CSR)・共通価値の創造(CSV)の概念を出発点に、環境報告/サステナビリティ報告/統合報告を取りあげます。また、投資家・株主が環境会計を利用するアプローチとしてサステナブル投資/SRI/ESG投資、消費者・取引先が環境会計を利用するアプローチとして責任ある調達/CSR調達/グリーン 調達等、環境会計に関連する概念・手法を取りあげます。
内部管理用途の環境会計は環境管理会計ともいいます。企業等が環境保全に組織的に取り組むこと(環境マネジメント)は、環境への悪い影響を減らすことができるだけではなく、コストの削減や新たなビジネスチャンスの発見につながります。これらを見つけ出すためのツールが環境管理会計です。そこで、環境管理会計に関係する概念・手法として、環境マネジメントシステム (EMS) の構築・運用、エコバランスや製品ライフサイクル・アセスメント(製品 LCA)、そして、環境管理会計の代表的手法として、マテリアルフローコスト会計等を取りあげます。
また、新しい環境会計として、地方自治体や流域等の地域レベルの取り組みを総合的にマネジメントできるメソ会計(水会計や森林会計等)を取りあげます。メソ会計は、企業等の組織を対象としたミクロ環境会計と、国家規模を対象としたマクロ会計との中間にあるシステムとして、特定の地域というある一定の空間的広がりを会計単位とします。
なお、企業が発行する環境/サステナビリティ報告を実際に分析したり、ビデオや新聞記事を用いたり、事例研究を行ったり、また、企業やコンサル等で実際に環境会計に取り組んでいる方をゲストスピーカーに招いたり、できるだけ現実を踏まえリアルな講義となるようにしていきます。
科目目的
企業等とSDGsの関係を理解できるように、企業を始めとする組織の環境会計(ミクロ環境会計)および関連事項に関して、基本的な概念や手法を学びます。ミクロ環境会計の手法を用いて、企業等の経済活動・環境保全活動、サプライチェーン(SC)を通じた生態系の保全、機関投資家によるESG投資等を分析できるようになります。
到達目標
①企業の社会的責任(CSR)・共通価値の創造(CSV)の考え方と、具体的な事例が説明できる。
②責任ある調達の考え方と、企業における具体的な事例が説明できる。
③ESG投資の世界的な進展が、企業による統合報告の採用とあわせ説明できる。
④ISO14001に基づいて環境マネジメントシステム(EMS)の基本的な考え方がわかる。
⑤エコバランスや製品ライフサイクル・アセスメント (LCA)、マテリアルフローコスト会計等、環境管理会計の具体的なツールを用いて企業を分析できる。
⑥企業のサステナビリティ情報開示の展開(環境報告→サステナビリティ報告→統合報告)が説明できる。
授業計画と内容
1. ガイダンス
2. 地球環境問題は何が原因なのか
3. 企業の社会的責任(CSR)・共通価値の創造(CSV)の考え方
4. ステイクホルダー・エンゲージメント
5. グリーン購入・グリーン調達から責任ある調達への展開
6. CSR・CSVおよび責任ある調達の事例研究
7. SRI/サステナブル投資/ESG投資と概要と展開プロセス
8. SRI/サステナブル投資/ESG投資の事例研究
9. 環境マネジメントシステム(EMS)とISO14001
10. ISO14001の EMS 審査登録制度
11. 1970年代から1990年代にかけての企業環境会計の展開
12. エコバランスと製品ライフサイクル・アセスメント (製品LCA)
13. 環境パフォーマンス評価(統合環境評価)の測定
14. エコバランスおよび製品 LCA の事例研究
15. マテリアルフローコスト会計とは何か
16. マテリアルフローコスト会計の計算と事例研究
17. 環境省の環境会計ガイドライン(環境保全コストとその効果の集計方法)
18. SRI/サステナブル投資/ESG投資の膨張と企業におけるサステナビリティ開示の展開
19. 環境報告/サステナビリティ報告/統合報告(GRIスダンダード)
20. 環境報告/サステナビリティ報告/統合報告(IIRCの統合報告フレームワーク)
21. 企業におけるサステナビリティ情報開示(TCFD提言とシナリオ分析)
22. 企業におけるサステナビリティ情報開示(IFRS S1およびS2)
23. 企業におけるサステナビリティ情報開示(SASBサステナビリティ会計基準)
24. 環境報告/サステナビリティ報告/統合報告(アワードおよび保証業務)
25. 企業におけるサステナビリティ情報開示(TCFD提言のシナリオ分析を実際にやってみる)
(環境報告/サステナビリティ報告/統合報告および企業におけるサステナビリティ情報開示は実務主導で開発・実践が進んでいるため、受講生の皆さんに最新の動向をお話しできるよう、18回から25回のうち複数回を、会計事務所・コンサルの方にゲストスピーカーとして出講して頂けるよう調整中です。)
26. ミクロ環境会計とメソ会計、マクロ環境会計の関係
27. 環境会計におけるストック・フローの考え方
28. 総括・まとめ
(授業の進度や受講生の理解度等に応じて、講義する内容を調整したり順番を入れ替えたりすることがあります。また、ゲストスピーカーは日程および講義内容を調整中です。ゲストスピーカーのご都合によって、授業回数が前後しますが、ご了解ください。)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
e-learningsシステム(マナバ)を使って講義資料の一部を配信します。講義資料を自主学習支援に役立ててください。また、各種のガイドラインや企業の環境報告/サステナビリティ報告/統合報告等はウェブからダウンロードできます。これらは授業中に適時紹介していきますから、自主学習支援に役立ててください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 100 | 原則として、レポートにて成績評価します。具体的には、以下の諸点を評価基準として、授業の進展に応じ、5回~7回ほどのレポートを課します。 ①企業の社会的責任(CSR)・共通価値の創造(CSV)の考え方と、具体的な事例が説明できるか。 ②責任ある調達の考え方と、企業における具体的な事例が説明できるか。 ③ESG投資の世界的な進展が、企業による統合報告の採用とあわせ説明できるか。 ④ISO14001に基づいて環境マネジメントシステム(EMS)の基本的な考え方がわかるか。 ⑤エコバランスや製品ライフサイクル・アセスメント (LCA)、マテリアルフローコスト会計等、環境管理会計の具体的なツールを用いて企業を分析できるか。 ⑥企業のサステナビリティ開示の展開(環境報告→サステナビリティ報告→統合報告)が説明できるか。 ただし、レポートを実施するのが困難なほど履修人数があれば、期末試験を実施し、レポートおよび期末試験で成績評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
【テキスト】テキストは使用せず、配付する講義資料(PPT資料)を用います。
【参考文献】河野正男・八木裕之・千葉貴律 編著『サステナビリティ社会のための生態会計入門』森山書店、2013年。
【参考文献】國部克彦・中嶌道靖 編著『マテリアルフローコスト会計の理論と実践』森山書店、2018年。
【参考文献】GRI『サステナビリティ・レポーティング・スタンダード』
【参考文献】IIRC『国際統合報告フレームワーク』
【参考文献】SASB『サステナビリティ会計基準』
【参考文献】IFRS『サステナビリティ開示基準 S1』および『サステナビリティ開示基準 S2』
【参考文献】気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)『TCFD提言』
その他特記事項
授業内容には連続性があるので、欠席をすると授業がわからなくなるかもしれません。やむをえず欠席した場合は、そのままにせず次回までに欠席分を自習しておくようにしてください。なお、履修者の理解に応じて進度は調整するので、授業計画に記載した日程が前後したり、前後を入れ替えたり、一部を省略したりすることがあります。
参考URL
特になし