シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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犯罪の概念Ⅰ | 2024 | 前期 | 金2 | 総合政策学部 | 関根 徹 | セキネ ツヨシ | 2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
PS-CR2-0001
履修条件・関連科目等
後期に開講される犯罪の概念Ⅱも併せて履修することが望ましい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
皆さんは、犯罪という言葉を聞いて、何を想起するであろうか。殺人や泥棒や特殊詐欺など具体的な犯罪を思い浮かべる人がいるかもしれない。あるいは、犯罪は悪いことであると漠然と考える人もいるかもしれない。また、犯罪を行った者には刑罰が科されるべきだと考える人もいるかもしれない。この授業では、そうした犯罪と刑罰の意味について考える。犯罪と刑罰に関して規定しているのは、刑法という法律であり、その中心が刑法典である。この授業では、刑法典の1条から72条までの総則を中心に学ぶ。「悪いことをした人は罰せられて当然である」というのは、おそらく多くの人が共有している常識であろう。刑法が、そのような人々の常識からかけ離れたものであってはならないのは、当然である。しかし、社会を規律する規範は何も刑法に限られたものではない。むしろ、刑法は、憲法を頂点とする法律の体系の中で、他の法律とともに秩序を維持しており、刑法が秩序維持のすべてを担っているわけではない。したがって、世の中の悪い行いが全て犯罪になるわけではなく、悪い行いに対する制裁が全て刑罰であるわけでもない。日常的な意味での「罪と罰」と刑法上の意味における「犯罪と刑罰」との間にはある種のギャップがある。この授業では、そのようなギャップも意識しながら、刑法学の基本的な事項について学ぶ。なお、14回の授業ですべての問題点を学ぶことは不可能なので、特に重要な問題点を中心に学ぶことになる。
また、近時、犯罪と刑罰に関する基本的な考え方には大きな変動の兆しが見られ、それは徐々に現実の法制度に影響を及ぼしつつある。そこで、そのような動向についてもできるだけ学んでもらう。最終的には、解釈による解決の限界を知ることで、どのような行為を犯罪とすべきなのか、それに対していかなる刑罰を科すべきなのか、ということを、各人が主体的に考えることができるようになってもらいたいと考えている。
科目目的
犯罪と刑罰は、いわば社会の暗部に属する問題である。しかし、それは同時に、社会のあり方を映し出す鏡でもある。結局、犯罪と刑罰の問題を原理的に考えるということは、私たちはこの社会をどのようなものにしたいのか、ということを裏側から問うことになるものである。具体的にとりあげる題材は、総則における解釈の問題が中心になるが、それによって得られた知見、特に体系的に物事を考えるという思考法に従いつつ、最終的には、学生が、犯罪と刑罰の問題を考える多様な視座を身につけてもらうことを目的とする。
到達目標
この授業では、刑法典1条から72条までの総則の解釈の問題を中心に検討し、専門的知識を修得するだけにとどまらず、犯罪と刑罰の問題を原理的に考えるための基本的な視点も提供し、刑法解釈の問題を検討する中で得られた知見、特に体系的に物事を考えるという思考法に従いつつ、学生が、犯罪と刑罰の問題を考える多様な視座を身につけてもらうことを、最終的な目標にしている。
授業計画と内容
第1回:ガイダンス(刑法の概観)
第2回:罪刑法定主義
第3回:犯罪論の全体像
第4回:不作為犯
第5回:因果関係
第6回:違法性の基本・正当防衛Ⅰ(正当防衛の要件)
第7回:正当防衛Ⅱ(正当防衛の諸問題)
第8回:故意・錯誤
第9回:実行の着手
第10回:中止犯・不能犯
第11回:共犯論の基本
第12回:間接正犯
第13回:共同正犯
第14回:総括・まとめ(刑法総論の概観)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 70 | 犯罪論の基本事項に関する理解の正確さと事例に取り組む応用力を、客観式の設問と論述式の事例問題を通じて評価する。論述式については、 1問題を理解した上で論点を提示することができているか 2論点に対する自説を示すことができているか 3自説に基づいた結論を正しく示しているか という基準により評価する。 |
レポート | 20 | 中間でレポートを課す。レポートの評価については、 1問題を理解した上で論点を提示することができているか 2論点に対する自説を示すことができているか 3自説に基づいた結論を正しく示しているか という基準により評価する。 |
平常点 | 10 | 授業では頻繁に発言を求めるのでその際の発言内容や積極的な授業への参加態度などを総合的に評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
試験・レポートの実施時期や方法等は授業が始まってからまた連絡する。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
授業ではレジュメを配布する。
参考書:
髙橋直哉『刑法の授業(上巻)』成文堂(2022年)3300円
只木誠『コンパクト刑法総論 第2版』新世社(2022年)2530円
守山 正・安部哲夫 編著『ビギナーズ犯罪法』成文堂(2020年)3520円
その他特記事項
法科大学院への進学を考えている学生もいるようなので、そのような方にも役立つような内容にしたいと思っている。なお、法学部の学生は、類似の内容をより深く講ずる科目(刑法Ⅰ:刑法総論など)が法学部で設置されているので、この授業ではなく、法学部の授業の方を履修することをお勧めする。