シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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フランス詩A | 2024 | 前期 | 水2 | 文学部 | 前之園 望 | マエノソノ ノゾム | 2~4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-LT2-D305
履修条件・関連科目等
フランス語の基礎文法を修得済みであること。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
外国語に翻訳するのが一番難しい表現はなんだと思いますか? 哲学用語? 時事用語? いいえ、それは「ダジャレ」です。たとえば「布団がふっとんだ」の〈くだらなさ〉まで100%ニュアンスを伝える英訳は可能でしょうか? "The futon was blown up." なんて訳しても全然おもしろみがありませんね。ある言語内での単語間の音の類似を、そっくりそのまま他の言語に置き換えるのはほぼ不可能です。
詩は特に音の響き合いを利用する傾向の強い言語芸術です。詩作品は、翻訳で読んでももちろん楽しめますが、原文で同じ作品を読むと、いかに翻訳でこぼれ落ちてしまうものが多いかということに気が付きます。これは、翻訳者の技量ではどうしようもない、言語の構造的な問題です。
フランス語の基礎文法を学んだ方は、フランス詩を原文で丸ごと味わうことができます。これは大きな特権です。翻訳は大いに利用して構いません。原文で作品を読み、その翻訳を補う視点から作品を楽しみましょう。
フランス詩Aの授業では、毎回の授業時間を3つに分け、テーマ別の授業を行います。まず、フランスにおける詩の歴史(中世~20世紀)を時代ごとに概観して、大まかな流れを把握する時間を取ります。次に、時代区分とは関係なく読みやすい小ぶりな詩作品を読み、分析の仕方を学びます。フランス語で書かれた詩を原文のまま味わい、音読、訳読を通してフランス詩独自の作品空間を自分の身体で体感できるようになりましょう。授業の最後には、グループワークで、次週に行う復習小テストの原案作成も行ってもらいます(詳細は授業で説明しますが、大きな負担にはなりません)。出題者側の視点に立ち、周囲と意見交換をすることで、その日の授業内容が自然と整理(復習)されることでしょう。授業後には、毎回授業に関するミニコメントをmanabaの掲示板に書き込んでいただきます。他の履修生に読まれることを前提に、作品の解釈、感想、疑問点などを書き込んでください。書き込みの頻度は平常点に反映されます。また、ヴァリアントゲームというオリジナルゲームにも参加していただきます(詳細は参考URLの解説動画でご確認ください)。パワーポイントを使用しますので、パソコンやタブレットの準備をお願いいします。
学期末に授業内容に関するレポートを提出していただき、平常点と合わせて成績を評価します。
科目目的
1年生で学んだフランス語の基礎文法を文学作品読解に実際に適用する能力を身に付ける。小ぶりな詩の分析作業を通して文学作品の構造分析の基礎的技術を身に付け、ボリュームのある詩篇、小説などの作品分析にもその技術をいかせるようになる。
到達目標
1.フランス詩の歴史(中世~20世紀)の概要を把握する。
2.授業で扱った詩作品の音声上の特徴を理解する。
3.授業で扱った詩作品の文法構造を理解する。
4.授業で扱った詩作品で使用されている修辞法を理解する。
5.上記の観点を踏まえて自分で詩作品の解釈を行う。
授業計画と内容
第1回:授業概要説明。定義ゲーム。
第2回:中世 / ジャン・コクトー「踊り子」
第3回:ルネサンス / ロベール・デスノス「蟻」「ペリカン」
第4回:バロック・古典主義 / ポール・エリュアール「魚」「恋する女」
第5回:ロマン主義① / ジャック・プレヴェール「Paris at night」「庭園」
第6回:ロマン主義② / フィリップ・スーポー「急げ」
第7回:ヴァリアントゲーム①
第8回:高踏派 / ポール・ヴェルレーヌ「秋の歌」
第9回:象徴主義 / ポール・ヴェルレーヌ「白い月」
第10回:キュビスム / アルチュール・ランボー「感覚」
第11回:シュルレアリスム / アルチュール・ランボー「谷間に眠る者」
第12回:現代詩 / ジュール・ルナール「カワセミ」
第13回:ヴァリアントゲーム②
第14回:まとめ
(授業回は大体の目安であり、履修者の人数や理解度によって内容を追加・変更することがあります。)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 50 | 以下の5項目を採点基準とし評価する。 ①提出期間を含め課題の規定に従っている。 ②構成(問題設定・本論・結論)が適切である。 ③主題(論旨)が明確かつ説得的である。 ④執筆者にしか書けない独創性がある。 ⑤誤字脱字などのない明晰な文章である。 |
平常点 | 50 | 50%の内訳は、30%が毎回の小テスト・掲示板の書き込み、20%がディスカッション・グループ発表などへの参加態度。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
毎回の授業へのコメントを共有するためにmanabaの掲示板機能を利用します。また、小テスト、ヴァリアントゲームを行う際に、タブレット、パソコンなどが必要になります。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
授業で扱う作品はmanabaを通して配布しますが、主に以下の対訳詩集に掲載されている作品を扱う予定です。教科書に指定はしませんが、良い本なので購入をお勧めします。
☆安藤元雄・入沢康夫・渋沢孝輔〔編〕『フランス名詩選』岩波文庫、1998年。
以下は参考文献です。
【詩集】
・アルチュール・ランボー『対訳 ランボー詩集』中地義和編、岩波文庫、2020年。
・ジャック・プレヴェール『プレヴェール詩集』小笠原豊樹訳、岩波文庫、2017年。
・ジュール・ルナール『博物誌』岸田國士訳、新潮文庫、1954年。
・ギヨーム・アポリネール『アポリネール詩集』堀口大學訳、新潮文庫、1954年。
・ポール・ヴェルレーヌ『ヴェルレーヌ詩集』堀口大學訳、新潮文庫、1950年。
【詩を読むということ】
・ 渡邊十絲子『今を生きるための現代詩』講談社現代新書、2013年。
・阿部公彦『文学を〈凝視〉する』岩波書店、2012年。
・大森晋輔『フランスの詩と歌の愉しみ 近代詩と音楽』東京藝術大学出版会、2012年。
・中地義和『ランボー 自画像の詩学』岩波書店、2005年。
・ 窪田般彌『ミラボー橋の下をセーヌが流れ――フランス詩への招待』白水社、ふらんす双書、1975年。
・ 田中淳一『地球とオレンジ――フランス現代詩を読む』白水社、ふらんす双書、1980年。
・ 安藤元雄『新版 フランス語の散歩道』白水社、1996年。
【フランス詩法】
・杉山正樹『やさしいフランス詩法』白水社、1981年。
【フランス文学史】
・田村毅・塩川徹也編『フランス文学史』東京大学出版会、1995年。
その他特記事項
・5回以上欠席された方は、原則として成績評価の対象となりません。やむを得ない個別の事情がある場合は、必ず事前にご相談ください。
・事前に教員に相談があり、教員がやむを得ないと判断した場合に限り、欠席された方が自宅からオンライン受講することを認めます。なお、オンライン受講をされても出欠記録は「欠席」となります。
・個別の連絡には「個別指導(コレクション)」を使用し、要件ごとにスレッドを立ててください。クラス全体の「掲示板」に個人情報を書き込まないようご注意ください。
・毎回の授業は、webexで授業画面のみ録画をし(教室の様子は撮影しません)可能な範囲でアーカイブ公開を行う予定です。授業内容の復習に役立てて下さい。
・聴講生の方のグループワークへの参加は任意とします。
参考URL
この授業は、仏文専攻・語文コース系の教員が担当しています。
語文コースHP https://sites.google.com/g.chuo-u.ac.jp/futsubun-gobun/
語文コースブログ https://chuo-bun-futsubun-gobun.blogspot.com/
前之園望の研究室 https://www.youtube.com/@nozomu_maenosono_chuo
ヴァリアントゲームの解説動画もご覧下さい。
https://youtu.be/5vk-yp_X6Ls