シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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ドイツ社会誌(1)(3) | 2024 | 前期 | 金3 | 文学部 | 磯部 裕幸 | イソベ ヒロユキ | 1~3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-DT1-C503,LE-DT1-C505
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
授業テーマ:「マージナル・ヒストリー? ドイツ植民地の歴史を考える」
本授業では、ドイツ植民地の歴史を扱いながら、基本となる事実関係を確認するとともに、ドイツにとって「コロニアルなもの」がいかなる意味を持ってきたのかについて考察するものである。1871年に国家統一を成し遂げたドイツは、1880年代半ばにイギリスやフランスに大幅に遅れを取る形で、アジア・オセアニア・アフリカにおける植民地統治に乗り出す。しかし第一次世界大戦に敗れると、ヴェルサイユ条約の規定により、その海外領土のすべてを失った。かつて、こうした植民地支配はドイツ史における「些末なエピソード」として扱われ、あまり歴史家の関心を引かなかった。
しかし近年、短命に終わった植民地統治の歴史が新たな脚光を浴びている。それはいかなる理由からであろうか。授業では、そうした研究動向を紹介し、歴史家の関心対象を明らかにした上で、「植民地」にドイツ(人)がどのように関わってきたのか、またそうした「植民地経験」が、その後のドイツの歴史にどのような影響を与えたのかについて考えていく。それを通じて我々は、「ドイツ人」というアイデンティティーの重要な部分が、アフリカという「他者」との遭遇を通じて形成されたことを知るであろう
科目目的
本科目の目的は、ドイツの植民地統治の歴史を概観しながら主にドイツとアフリカとの関係を整理し、ドイツ(人)にとって非ヨーロッパという「他者」がどのような意味を持っていたのかについて考察を深めることにある。人文・社会科学の研究において、対象地域を歴史的に理解することは、どのような分野であれ必須である。従って本科目の履修は、将来卒業論文や卒業研究を執筆するにあたって有益な視座を与えてくれるに違いない。
到達目標
本科目では、主に歴史学研究の手法や方法論を学び、人間社会に対する深い理解と広範な知識の修得を目指す。そして自ら問いを立て、他者との議論を通じて新たな知を創造することを最終的な到達目標とする。
授業計画と内容
授業予定
(変更の可能性あり)
第1回 導入「植民地」とは何か?/近年のドイツ植民地研究をめぐる動向
第2回 「日の当たる場所」? ビスマルク/ヴィルヘルム2世と植民地問題
第3回 植民地における「鉄血政策」:初期の征服戦争
第4回 「武断政治」の破綻(1):南西アフリカにおける「ヘレロ・ナマ戦争」(1904-07)
第5回 「武断政治」の破綻(2):東アフリカにおける「マジマジ反乱」(1905-08)
第6回 「合理的植民地統治」を目指して:「デルンブルク時代」のはじまりとその限界
第7回 アフリカにおける人種主義(1):「異人種間婚姻」の禁止
第8回 アフリカにおける人種主義(2):人類学者・医学者の「植民地経験」
第9回 第1次世界大戦の勃発とドイツ植民地
第10回 国際連盟と「委任統治」:「植民地修正主義」の戦い
第11回 「植民地なき植民地主義」:戦間期ドイツにおける「熱帯病」研究
第12回 ヒトラーにとっての「植民地」:「マダガスカル計画」と「東部総合計画」
第13回 アフリカ版「過去の克服」? 戦後(西)ドイツと植民地の記憶をめぐって
第14回 まとめ・到達度確認
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 100 | 出席は取らない。期末試験(到達度確認)の成績のみで評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
教科書は指定しない。適宜プリントを配布する。
(参考文献)
永原陽子(編)『植民地責任論―脱植民地化の比較史』(青木書店、2009年)
Horst Gründer, Geschichte der deutschen Kolonien, München 2007
Sebastian Conrad, Deutsche Kolonialgeschichte, München 2007
マクニール『疫病と世界史(上・下)』(中公文庫、2007年)