シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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ドイツ文化講義(1)(3)/ドイツ文化講義(1)(3)(5) | 2024 | 前期 | 月4 | 文学部 | 高橋 慎也 | タカハシ シンヤ | 1~3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-DT1-C513,LE-DT1-C515
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
日本とドイツ語圏・欧米の舞台作品の比較分析①
同じ戯曲の舞台作品であっても演出家によって、演出意図や表現方法は異なります。シェイクスピア作『ハムレット』の場合、ローレンス・オリヴィエや蜷川幸雄は英雄ハムレットの悲劇ないし鎮魂劇として演出しています。それに対しハイナー・ミュラーやトーマス・オスターマイアーはハムレットを欠点の多い現代風の若者として批判的に演出しています。ウィーン・ミュージカル『エリザベート』や『モーツァルト』の場合、ウィーン版は異化効果を用いながら、観客が主人公を批判的に検討するように誘う演出をしています。それに対し小池修一郎は主人公の「愛の死」(Liebestod)の成就として、観客の感情移入を誘うように演出しています。この授業では演出家によるこうした相違を踏まえて、舞台作品を比較分析し解説してゆきます。
一般的に言えば、ドイツ・ヨーロッパの演出家による舞台作品には社会批判的要素が多く表現されています。他方、日本の演出家の舞台作品の中には舞台空間を「霊の住む空間」として、消えてゆく音やノイズを霊の声として、さらに舞台作品を死者への哀悼・鎮魂の供儀として提示する側面があります。こうした演出意図と演出法の相違を生む背景としては、演出家や観客の演劇観に留まらず、宗教観や死生観が関係していると捉えることができます。本授業では何名かの演出家の演劇観、宗教観についても解説します。
本授業ではまた「カタルシス」、「異化効果」、「ドラマ演劇」、「ポストドラマ演劇」、「パフォーマンス性」といった演劇学の基本概念についても解説します。
科目目的
〇 ドイツ語圏の舞台芸術の演出法に関する基礎的知識を修得する
〇 ドイツ演劇学の基礎的概念を修得する
〇 日本とドイツ語圏の演劇観の相違、演出コンセプトの相違について考察を深める
到達目標
〇 ドイツ語圏の舞台芸術の演出法に関するレポートを執筆できる
〇 ドイツ演劇学の基礎的概念に関するレポートを執筆できる
〇 日本とドイツ語圏の演劇観の相違、演出コンセプトの相違についてレポートを執筆できる
授業計画と内容
1) 授業紹介と舞台作品紹介
2) シェイクスピア『ハムレット』:ローレンス・オリヴィエ、蜷川幸雄の演出分析
3) シェイクスピア『ハムレット』:ハイナー・ミュラー、トーマス・オスターマイアーの演出分析
4) 野田秀樹の『ハムレット』翻案劇「The Bee」の演出分析
5) ブレヒト『三文オペラ』:白井晃、ウルリッヒ・ヴァラーの演出分析
6) ブレヒト『三文オペラ』:その他のドイツ人演出家の演出分析
7) 演劇学の基本概念①:「カタルシス」、「異化効果」、「心理主義劇リアリズム演劇」、「叙事的演劇」他の解説
8) ミュージカル『モーツァルト』:ハリー・クプファーのウィーン版の演出分析
9) ミュージカル『モーツァルト』:小池修一郎の東宝版の演出分析
10) これまでの授業の補足説明
11) カフカ『変身』:スティーブン・バーコフ演出、森山未來主演の演出分析
12) カフカ『変身』:スティーブン・バーコフ演出、宮本亜門主演の演出分析
13) 演出分析と上演分析の理論と方法、観客論
14) 授業全体のまとめ
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 50 | 設問に対応した解答の達成度 |
レポート | 30 | ショートレポートの課題に対する記述内容の充実度 |
平常点 | 20 | 授業課題全体に対する授業態度 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト
本授業で取り上げる戯曲、上演ビデオ、脚本、演出家インタビュー、劇評などの教材はGoole Driveから視聴可能とする。印刷教材は著作権の許す範囲でダウンロード可とする。
参考文献:
1) ハンス=ティース・レーマン著『ポストドラマ演劇』 同学社
2) エリカ・フィッシャー=リヒテ著:『演劇学へのいざない』 国書刊行会
その他特記事項
4回以上欠席した場合の成績は不可となります。