シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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ドイツ社会誌演習(1)(3)/ドイツ社会誌演習(1) | 2024 | 前期 | 金2 | 文学部 | 磯部 裕幸 | イソベ ヒロユキ | 2~4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-DT2-C863,LE-DT2-C865
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
授業テーマ:「社会の不条理に抗う―カール・マルクスとハンナ・アレント」
本授業は、ドイツ語圏に生まれた2人の思想家カール・マルクス(Karl Marx, 1818-83)、およびハンナ・アレント(アーレント)(Hanna Arendt, 1906-75)の生涯をたどりながら、その思想の内容や時代背景について考察するものである。生きた時代も思想的立場も異なる両者ではあるが、そこにはいくつかの共通点も見られる。まず2人とも出自はあくまで「ドイツ」だが、主たる活動の場はその「外」(マルクスはイギリス、アレントはアメリカ)であった。また、マルクスは近代資本主義がもたらした失業や社会格差を目の当たりにし、アレントは「ホロコースト」に代表されるナチズムの暴力と対峙しなくてはならなかった。つまり、両者ともその時代(マルクスは19世紀/アレントは20世紀)における「社会的不正」という問題と真正面から向き合った思想家であると言えるだろう。それゆえ2人の思想は、当時のドイツ社会が抱えていた問題を浮き彫りにすると同時に、そこを越えた普遍的な意味をも持っていたので、後世の思想界に大きな影響を与えることとなった。
以上のような問題関心から、本授業ではマルクスとアレントの思想の一端に触れつつ、それがもつ歴史的意味について考察したい。それはまた、ドイツはもとよりヨーロッパや世界の近現代史を考える上でも有益な視点をもたらすであろう。
(使用する教科書)
(文献A)各自で準備すること!
・白井聡『マルクス―生を呑み込む資本主義』(講談社現代新書・2023年)(ISBN-13:978-4065311967)
(文献B)各自で準備すること!
・牧野雅彦『ハンナ・アレント―全体主義という悪夢』(講談社現代新書・2022年)(ISBN-13:978-4065295403)
(文献C)授業担当者がコピーを準備する
・百木漠「アーレントのマルクス『誤読』をめぐる一考察―労働・政治・余暇.」『社会システム研究』17(2014)・71-85頁
科目目的
(1)ドイツ語圏の思想・哲学について、歴史的あるいは社会的文脈を踏まえた上で検討する
(2)ドイツ近現代史やヨーロッパ史、世界史に関する基本的な知識を獲得する
(3)マルクスとアレントの思想から、「近代世界」がもつリスクについて考察する
到達目標
(1)マルクスとアレントから、ドイツ語圏における「思想史」の一端を知る
(2)「社会的不正義」の問題に、学問はどのような態度で臨むべきか、自分の言葉で語ることができるようにする。
(3)難解なテキストを、時間をかけてじっくり読みながら、その意味するところを把握できるようになる。
授業計画と内容
第1回 導入(1):19世紀ヨーロッパにおける資本主義の発展
第2回 導入(2):20世紀ヨーロッパにおけるナチズム
第3回 なぜ、いまマルクスなのか?/思想家マルクスの誕生(その1)(文献A:3-25頁)
第4回 なぜ、いまマルクスなのか?/思想家マルクスの誕生(その2)(文献A:25-47頁)
第5回 資本論の世界(その1)(文献A:50-76頁)
第6回 資本論の世界(その2)(文献A:76-98頁)
第7回 「包摂」の概念・「包摂」の現在(など)(文献A:99-126頁)
第8回 未来の「全体主義」に抗うために/反ユダヤ主義の起源(文献B:3-23頁)
第9回 「大衆」の登場/全体主義の構造(その1)(文献B:25-42頁)
第10回 「大衆」の登場/全体主義の構造(その2)(文献B:43-58頁)
第11回 全体主義が破壊するもの(文献B:59-72頁)
第12回 抵抗の拠り所としての「事実」/「事実の真理」を守り抜く/希望を語り継ぐこと(など)(その1)(文献B:73-96頁)
第13回 抵抗の拠り所としての「事実」/「事実の真理」を守り抜く/希望を語り継ぐこと(など)(その2)(文献B:96-119頁)
第14回 「誤読」か「秀逸な読解」か? アレントが読むマルクス(文献C)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 70 | 授業への出席と積極的な参加が条件。また毎回担当者を決め、講読箇所の内容を端的にまとめたレジュメを提出してもらうので、その準備も忘れないこと。 |
その他 | 30 | 学期末課題(レポート)を課すので、必ずmanabaの情報をチェックし期限内に提出すること。 レポートの内容や体裁、提出方法等詳細は追って連絡する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
原則として4回以上無断欠席を繰り返した者、授業中私語等でで他人の学修環境を著しく悪化させた者に対しては単位が認められないので、充分注意すること。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
【テクスト(教科書)】
(文献A)各自で準備すること!
・白井聡『マルクス―生を呑み込む資本主義』(講談社現代新書・2023年)(ISBN-13:978-4065311967)
(文献B)各自で準備すること!
・牧野雅彦『ハンナ・アレント―全体主義という悪夢』(講談社現代新書・2022年)(ISBN-13:978-4065295403)
(文献C)授業担当者がコピーを準備する
・百木漠「アーレントのマルクス『誤読』をめぐる一考察―労働・政治・余暇.」『社会システム研究』17(2014)・71-85頁
その他、参考文献等は適宜授業中に紹介する。