シラバス
| 授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 法学特講1 支払決済法/公共政策特講1 支払決済法 | 2026 | 秋学期 | 金4 | 法学部 | 橡川 泰史 | トチカワ ヤスシ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-LA3-006S,JU-OL3-024S
履修条件・関連科目等
科目名にかかわらず民法総則および債権総論・契約総論に該当する分野を体系的に履修してあることと、春学期開講の「有価証券法」を受講しておくこととが望ましい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
こんにちは。この講義を担当いたします、橡川(とちかわ)です。
「支払決済法」とはまた聞き慣れない法律だな、とお思いのことかと思いますが、もちろんそんな名前の法律はございません。「決済」というのは、皆さんが学修されてきた民法の知識に引きつけて考えれば、債務の弁済に関わる概念です。しかし、それだけに限定されるわけではなく、弁済による債務の消滅をもたらさなくても「決済」としては終結していると捉えられる場合もあり、もう少し大きな拡がりのある意味で使われる概念です。つまり、この言葉は未だ厳密な法的定義がなく、法的概念というよりは実務上の概念といっても良いと思います。しかしながら、決済法の分野は、近年になってその社会的インフラとしての重要性が注目されてきている法分野です。特にネット通販やフリマサイトなど、インターネットを通じた取引がごく当たり前に行われるようになった現在、インターネットを介した様々な決済ツールを支えるシステムの安定性・安全性をどうやって維持するのかということは、法的観点からも十分な関心が払われねばならない問題でしょう。
決済システムの変調が社会に大打撃を与えることは、実は歴史上そう珍しいことではありません。21世紀早々に世界経済に非常に深刻な影響を与えた「リーマン・ショック」は、証券取引にともなう決済システムが十分に機能しなくなってしまったことが直接の引き金になって起こったものでした。(もちろん、それだけが原因ではありませんし、それが最大の原因とも言えないでしょう。)こうした決済システムの変調は、様々な要因によって生じ得ます。決済システムの当事者が支払不能状態に陥った場合、決済システムを規整する種々の取引ルールがシステムに適合していない場合などが、その例として挙げられます。これらの事態に備える種々の規整の総体を「支払決済法」と呼ぶこととすれば、前者の事態に備えるための法として、銀行法や資金決済法などの行政的規制が挙げられますし、後者の問題を手当てするルールとして、春学期開講の「有価証券方」で検討した有価証券法理を挙げることができます。
この講義では、現在運用されている様々な決済システムを取り上げて、その決済システムがどのような法的構造と法的課題を抱えているかということを検討しながら、決済システムにとって最適のルールとはどのようなものかということを考えていきたいと思っています。
科目目的
銀行預金を用いた決済システムの法的構造を理解する。
資金決済法の規制の大枠を理解する。
資金決済法の規制下での、銀行以外の事業者による決済スキームの大枠を理解する。
到達目標
決済当事者間の私法上の権利義務関係について説明できるようになる。
授業計画と内容
第1回 決済という考え方
第2回 決済とリスク
第3回 預金取引
第4回 普通預金の成立
第5回 誤振込と普通預金の関係
第6回 一括支払システム
第7回 手形による決済から「でんさい」による決済 へ
第8回 「でんさい」と人的抗弁の切断
第9回 「悪意の抗弁」
第10回 資金決済法による資金移動に関する行政的規制
第11回 電子マネーによる決済
第12回 暗号通貨の法律関係
第13回 証券取引の決済
第14回 総まとめ(決済リスク・口座振込・口座振込以外の決済手段)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
| 種別 | 割合(%) | 評価基準 |
|---|---|---|
| 期末試験(到達度確認) | 100 | 決済システムを利用する各当事者の間の権利義務関係を適切に説明できるか。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
【テキスト】
田邊宏康『企業決済法講義』成文堂、2025年
ISBN978-4-7923-2830-6
【参考文献】
別冊ジュリスト「手形小切手判例百選」第7版・有斐閣、2014年(別冊ジュリスト222)
小塚壮一郎・森田果『支払決済法』第4版・商事法務(2026年4月刊行予定)
宿輪純一『決済インフラ入門〔2025年版〕』東洋経済新報社、2021年
ISBN-13: 978-4492681473
その他特記事項
■授業の工夫■この科目は講義を中心として行うため、受講生の皆さんの反応・理解度の向上を目的として、manaba のアンケート機能を利用して毎回の授業へのリアクションの提出を求め、次回以降の授業内で適宜応答する予定です。
手形法の体系的履修を希望する受講生は、春学期「有価証券法」から続けて本科目を受講されることをお勧めします。「有価証券法」の講義では、時間の都合上、手形・小切手と原因関係の清算の関係について必ずしも十分な検討ができませんが、本講義でその不足部分が補えると思います。