シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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美術史美術館入門演習(1) | 2024 | 通年 | 水3 | 文学部 | 渡辺 眞弓 | ワタナベ マユ | 2年次配当 | 4 |
科目ナンバー
LE-HR2-D153
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
この授業では、前期と後期で内容を分けて「美術史」を学ぶための基礎力を養うことを目指します。
学問として美術作品と向き合う時、「感性」よりも、「観察力」の方が重要と言ってよいでしょう。美術史の世界では他の学問と同様に、対象物(作品)をよく「観察」し論理的に思考する力が求められ、こうした力を身につけることが、この授業のねらいです。
前期は、専門的な美術作品の観察方法を身につけるために「作品記述(=ディスクリプションといいます)」の練習を行います。美術における「ディスクリプション」を簡単に言うと、「目で見える情報を言葉におきかえること」を指します。
例えば、電話の相手にあなたの目の前の作品について説明をする時、どのように話をしたら、相手は頭の中で作品の姿形を再現できるでしょうか?作品を前にあなたが感じる「美しい」や「綺麗」といった主観的な感想だけでは、作品の形態を相手に正確に伝える事はできません。「視覚で得た情報」を個人的な感覚から距離を置いて第3者に伝わるよう言語化することは、実際に取り組んでみると難しいことに気づくでしょう。
また作品を細部まで観察する力と言葉による表現力は、一朝一夕で身につくものではありません。専門的ないくつかの観点からディスクリプションのトレーニングを繰り返すことで、ただ作品を眺めていただけでは意識されなかった部分まで目が行き届くようになってゆきます。眼の解像度が上がってゆくと、日常生活のなかでも、これまで見えていなかったものが浮かび上がってきたり、新たな発見があるかもしれません。
そして後期は、下に示す進行表と教科書を参考にして、各回で取り上げる時代や様式に属する作家ひとりを受講生が選び、その経歴や時代背景、主要作品の制作状況や特質について独自に調査して発表します。発表では、前期で学んだ作品観察を出発点として、文献調査をもとに、作家や作品について解説してもらいます。当時の文化や慣習、宗教や思想などの社会背景などを踏まえて作品を見つめてみると、観察だけでは得られなかった、新たな視点から作品を観ることができるかもしれません。3年次から受講する専門演習(ゼミ)での活動や、卒業論文を執筆するうえで必要な「研究の基礎力」を身につけることが目標です。
なお取り上げる美術家の選択については、重複を避ける必要もあるので、全員で相談・調整して決める予定です。また、関心に応じて建築家やデザイナー(工芸、服飾など)なども取り上げることも可能です。
科目目的
美術史の研究にとって出発点でありゴールである作品観察と、確実な情報に基づく調査研究の初歩を身につけ、以後の学修、とりわけ卒業論文の最重要の基礎を獲得することが目的です。
到達目標
受講生は、好みや作品解説に左右されずに自分の目で作品を見て、何かを発見することを身につけてください。これにより、専門的な学識の基礎を身につけます。
また研究の出発点となる視点の取り方、確実な情報の収集の仕方、それを論理的に組み立てる方法を、実践的に身につけましょう。これを通じて、主体的に考える能力、その結果を効果的に伝えるコミュニケーション能力を身につけます。
授業計画と内容
1.イントロダクション:「観察」とはなんだろう
2.作品記述(1):モチーフ列挙
3.作品記述(2):モチーフの描写1(静物の配置と表現)
4.作品記述(3):モチーフの描写2(衣文)
5.作品記述(4):モチーフの描写3(人体表現)
6.作品記述(5):モチーフの描写4(人物の配置と関係性)
7.中間まとめ
8.作品記述(6):構図分析(室内画と風景画)
9.作品記述(7):空間の把握(室内画と風景画)
10.作品記述(8):色調とコントラスト
11.作品記述(9):明暗法
12.作品記述(10):筆触(タッチと技法)
13.作品記述(11):素描・習作
14.美術館見学
(夏季休暇)
15.中世
16.ルネサンス
17.マニエリスム
18.バロック
19.ロココ
20.新古典主義
21.ロマン主義
22.レアリスム
23.印象主義
24.ポスト印象主義
25.象徴主義と世紀末芸術
26.フォーヴィスム
27.キュビスム
28.後期のまとめ:時代と美術家
*後期の各回の内容は、受講生の関心に基づいてアレンジします。
*「美術館見学」の日程は授業内で発表します。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
後期の研究発表に関しては、事前の十分な準備が必要です。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 60 | 前期の作品記述、後期の研究発表をレポートとみなし、目標に到達できているかどうかを判断します。 |
平常点 | 40 | 授業への前向きな参加度について判断します。単なる出席点ではないので注意してください。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う/その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
Googleドライブを通じてファイルを共有し、双方向的な指導を個別に行います。
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション/実習、フィールドワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
受講生によるプレゼンテーションをもとに、教員を含む全員でディスカッションを行います。
また、前期に1回の美術館見学を、担当教員が同行して行う予定です。
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
上記にあるように、manaba、Googleドライブを通じて双方向的なコミュニケーションと研究発表用ドキュメントの制作を行います。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト:高階秀爾・三浦篤編『西洋美術史ハンドブック』新書館 (本体¥1900)
参考文献:教室で随時紹介します。共同研究室や図書館にある文献を利用してください。『世界美術大全集 西洋篇』、『新潮世界美術辞典』などが頼りになります。
共同研究室には高性能のスキャナが配備されているので、発表の準備に利用することができます。
いずれも、分からないことは担当教員に聞いてください。
その他特記事項
参考URL
美術史美術館コース ウェブサイト
https://arthistory.r.chuo-u.ac.jp/
国立美術館キャンパスメンバーズ
https://www.campusmembers.jp/