シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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東洋史学基礎演習(2)B | 2024 | 後期 | 金2 | 文学部 | 石野 智大 | イシノ トモヒロ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-OH1-G022
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本授業では、前近代中国史に関わる漢文史料を講読し、受講生が今後研究に取り組むうえで必要となる漢文史料の読解・分析能力を養う。また漢文史料の講読と並行して、授業内容に関わるレポートを設定し、それへの取り組みを通して基礎的な知識や方法を身につけることを目的とする。
秋学期では「唐代都市社会の犯罪と捜査」をテーマとして、正史とは異なる性格を持つ筆記史料(『太平広記』精察部)を取り上げ、その内容を詳しく解説しながら読み進める。唐代の都である長安や洛陽では、多くの人びとが行き交い、華やかな都市生活が営まれる一方で、様々な犯罪事件も起きていた。それらの事件の多くは正史に記録されないものの、筆記史料には関連する記事が散見しており、当時の社会を考えるうえで重要な意味を持つ。唐代で犯罪が発生した際、担当官たちはどのように対処したのか。その指揮系統はどうなっていたのか。そもそも、具体的な事件捜査は誰が担っていたのか。
本授業では、唐代の犯罪捜査に関わる史料を読み解きながら、まずは事件の具体的な内容を理解し、あわせて上記の法社会史の問題について考えてみたい。
科目目的
東洋史の研究を行うための史料読解能力を高め、基礎的な知識や方法を習得する。
到達目標
(1)東洋史の研究を行ううえで必要な漢文読解能力を高める。
(2)各種の辞典や工具書を目的に応じて利用できるようになる。
(3)適切な形式と表現でレポートなどの文章を作成することができる。
授業計画と内容
第1回:授業内容の説明、講読史料の配布と解説、予習方法の説明
第2回:参考書や工具書の紹介、漢文読解方法の確認、期末レポートの説明
第3回:唐代の治安維持組織と裁判機構
第4回:『太平広記』精察部の講読(1)「天后時~無所出」
第5回:『太平広記』精察部の講読(2)「衢中~別駕」
第6回:『太平広記』精察部の講読(3)「無名~請其方」
第7回:『太平広記』精察部の講読(4)「無名曰~得賊乎」
第8回:『太平広記』精察部の講読(5)「無名曰~伺之」
第9回:『太平広記』精察部の講読(6)「見有~而笑」
第10回:『太平広記』精察部の講読(7)「無名喜~此盗」
第11回:『太平広記』精察部の講読(8)「対曰~人也」
第12回:『太平広記』精察部の講読(9)「奠而~紀聞」
第13回:授業内容に関わる研究文献の講読
第14回:本授業のまとめ、期末レポートの提出
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
史料の講読時には、受講生に書き下し文、史料用語の解説、現代日本語訳の報告を求めますので、十分な予習をして授業に臨んでください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 30 | (1)課題が指定の内容にあわせて作成されているか (2)自らの言葉で文章が論理的にまとめられているか |
平常点 | 70 | (1)予習・報告の内容が十分であるか (2)意見の提示や議論への参加ができているか (3)授業態度(授業への取り組み)は良好か |
成績評価の方法・基準(備考)
毎回の予習・出席が前提であるため、遅刻や欠席は減点の対象となります。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
講読史料や参考資料は、プリントで配布します。
漢文読解に際しては、西田太一郎『漢文の語法』(角川ソフィア文庫、KADOKAWA、2023年)、加地伸行『漢文法基礎』(講談社学術文庫、講談社、2010年)などの文法書を適宜参照してください。漢文を読む際には小型漢和辞典の末尾にある「付録」も有用です。
唐代史の概説書としては、以下の書籍をおすすめします。
布目潮渢・栗原益男『隋唐帝国』(講談社学術文庫、講談社、1997年)
氣賀澤保規『絢爛たる世界帝国 隋唐時代』(講談社学術文庫、講談社、2020年)
森安孝夫『シルクロードと唐帝国』(講談社学術文庫、講談社、2016年)
その他特記事項
演習授業であるため、講読する史料の予習は必須です。
史料講読時には、戸川芳郎監修『全訳漢辞海(第四版)』(三省堂)または小川環樹他編『新字源(改訂新版)』(角川書店)の小型漢和辞典を各自で用意し、ご持参ください。
個別の質問・相談は随時対応しますので、授業前後にお願いします。