シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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原典講読 | 2024 | 通年 | 水4 | 文学部 | 大山 真樹 | オオヤマ マサキ | 2年次配当 | 4 |
科目ナンバー
LE-PE2-J109
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
質疑・説明は日本語、テクストはドイツ語になります。
授業の概要
ドイツ語の文法事項・哲学用語・思想史的背景などを確認しながら、ドイツ語で書かれたいくつかのテクストを読んでいきます。
最初は、文法的難易度が低く短いテクストを取り上げ、その後に、やや本格的なテクストを扱います。
原典講読は、1年次の「哲学基礎演習」と3年次以降の「哲学演習」を橋渡しする位置付けにあります。そのため、受講者のみなさんは、自分で予習し、テクストをあらかじめ読んでこなければなりません。授業は、そうした自分の読み方を吟味・検証するための答え合わせの場になります。
科目目的
哲学・哲学史の研究にさいして、母語ではない文献(本講ではドイツ語文献)に当たる必要性を理解することを目的とします。
到達目標
哲学・哲学史の研究にさいして母語でない文献に当たる技能の初歩を身に付け、3年次以降の哲学演習の履修などのおおまかな準備をする。
授業計画と内容
授業は輪読形式になります。受講者は、全員が当たると思って予習してきてください。
授業でどのような議論がなされるかに応じて、授業の進捗は大きく左右されることになりますが、一応の授業計画を示しておくならば、以下のようになります(あくまで「目安」です)。
〔前期〕
第 1回 【オリエンテーション①】授業の進め方・成績評価の仕方などについて
第 2回 【定期テスト①】実力テスト
第 3回 【オリエンテーション②】講座の設置目的・原典を理解することの重要性について
第 4回 ドイツ語初等文法のおさらい①(品詞・性・数・格)
第 5回 ドイツ語初等文法のおさらい②(定動詞・人称・数・時制・法)
第 6回 ドイツ語初等文法のおさらい③(接続詞・主文・副文)
第 7回 【調整日】哲学用語としてのドイツ語(必要がなければ講読に当てます)
第 8回 ドイツ語テクストについての予備的な説明
第 9回 「禁欲主義的理想とは何か」という問題
第10回 「禁欲主義的理想とは何か」という主題を問うテクスト
第11回 「禁欲主義的理想とは何か」という主題を問うテクストの背景
第12回 「禁欲主義的理想とは何か」という主題と芸術家・哲学者
第13回 【定期テスト②】前期末テスト
第14回 前期まとめ(講読もしますので予習を忘れずに)
〔後期〕
第15回 【調整日】前期のおさらい(講読もしますので予習も忘れずに)
第16回 【定期テスト③】後期初めテスト
第17回 ヴァーグナーの芸術理解についての予備的説明
第18回 芸術作品と芸術家とは別物である
第19回 芸術家が現実を求めるとどうなるか
第20回 芸術家は宗教・哲学・道徳に奉仕する
第21回 【調整日】形而上学とは何か(必要がなければ講読に当てます)
第22回 ショーペンハウアーの芸術理解についての予備的説明
第23回 初期ヴァーグナーの音楽理解
第24回 後期ヴァーグナーの音楽理解
第25回 カントにおける美の定義(とされるもの)
第26回 「美は幸福の約束である」という提言
第27回 【定期テスト④】学年末テスト
第28回 原典講読の総括(講読もしますので予習を忘れずに)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
原典講読という授業形態である以上、予習は不可欠です。予習は、知らない単語の意味を調べてくるだけでは、とうてい十分とは言えません。予習するにあたっては、
文中に出てくるそれぞれの名詞・代名詞・関係代名詞・冠詞・形容詞などが何格なのか
動詞は現在形なのか過去形なのか現在完了なのか、直説法なのか接続法なのか命令法なのか
人称代名詞や指示代名詞や所有代名詞や指示副詞などの指示語は、どの単語を受けているのか
どこからどこまでが主文で、どこからどこまでが副文なのか
等々(要するに文の構造)をきちんと確認してくることが必要となります。
そのうえで、文法事項のみならず、 テクストで述べられている内容についても疑問を持って本習に臨んでください。
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訳読してもらったさい、予習が十分ではないと教員が判断した場合、欠席扱いとする。
ドイツ語のテクストを訳読せず、既存の翻訳を丸写ししたり、それに手を加えたものをを読み上げたりした場合、カンニングとみなす。
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授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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中間試験 | 35 | 学年初頭の「実力テスト」・前期末の「前期末テスト」・後期初頭の「後期初めテスト」の3回を予定しています。 授業で触れたテクストの内容・背景を理解した上で、ドイツ語のテクストをどれだけ読解できるようになっているのかに則して評価します。 |
期末試験(到達度確認) | 15 | 授業で触れたテクストの内容・背景を理解した上で、ドイツ語のテクストをどれだけ読解できるようになっているのかに則して評価します。 |
平常点 | 35 | この授業は、講義形式ではなく実習形式ですので、出席しているだけでは平常点になりません。 テクストの訳読を担当してもらってはじめて平常点として評価します。 訳読の内容は、十分に予習した上でテクストを読解できているか、また講読にさいして付された説明を聴いているか、自分がドイツ語のどこで躓いているのかを説明できているか、に則して評価します。 **************** ※訳読以外にも、挙手して質問をするなど講読に参加することを平常点として評価する。一年間欠かさず出席していても、講読に参加しなければ平常点はつかない。 **************** |
その他 | 15 | 4月末から6月半ばにかけて、毎週、小テストを課す予定です。小テストの内容は、講読テクストの予習・復習と重なるものを予定しております。 |
成績評価の方法・基準(備考)
履修者があまり多くなかった場合、履修者の希望があれば、レポートを書いてもらうこともあるかも知れません。希望がなければ特にレポートを書いてもらうことはありません。
※感染症など、やむを得ない事情を考慮しなければならなくなったとき、レポートを課することもあります。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
manabaを通じて課題を提出してもらうことがあります。
通信容量の制限や情報の処理速度など、授業に障りが出ない端末を用意してください。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
【テクスト】
最初に用いるテクストは、コピーを初回か2回目の授業で(あるいはmanabaを通じて)配布します。
それ以降のテクストは、授業の進捗に応じて順次コピーを配布します。
【辞書】
荷物になるかも知れませんが、後ろに文法的説明が付いている中くらい以上の紙の独和辞典を必ず用意してください。
電子辞書は非常に便利ですが、初学者に必要な情報が欠けている道具です。
授業中であれば電子辞書を使って構いません。
学年末テストなどでは、電子辞書の使用を認めない予定です。
【翻訳アプリ】
予習の負担を軽くするためにも、翻訳アプリの使用は避けて下さい。
近年の翻訳アプリは洗練されてきていますが、翻訳アプリによって不自然な訳文が作られても、ドイツ語初学者にはどこから直せばよいのか分からないため、かえって手間が増えることになります。
【文法書】
ドイツ語初等文法を学習したさいに使用した文法の教科書を持ってきておくことをお勧めします。
【参考文献】
参考文献については、授業内で適宜紹介しますが、ひとまず以下の物を挙げておきます。
三島憲一『ニーチェ』岩波書店(1987年)
須藤訓任編『哲学の歴史9 哲学と反哲学』中央公論新社(2007年)
竹内綱史「ニーチェ哲学の「分析系」解釈について」(『フィルカル』Vol. 7, No. 2, 2022年. 所収)
梅田孝太『今を生きる思想 ショーペンハウアー』講談社(2022年)
その他特記事項
訳読してもらったさい、予習が十分ではないと教員が判断した場合、欠席扱いとします。
ドイツ語のテクストを訳読せず、既存の翻訳を丸写ししたり、それに手を加えたものをを読み上げたりした場合、カンニングとみなします。
完全な訳を作ってくることが予習ではありません。予習しても意味が分からない場合、なぜ意味が分からないのかについて、どこでつまずいたのか説明できれば、十分な予習がなされているとみなします。ですので、分からないことがあった場合、分からないなりの準備をしてください。
ドイツ語Bなど、中級以上のドイツ語科目はもちろん、フランス語・ラテン語・ギリシア語など、哲学史・思想史の理解に必要な語学科目を履修することをお勧めします。