シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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科学哲学研究 | 2024 | 通年 | 水5 | 文学部 | 飯盛 元章 | イイモリ モトアキ | 2~4年次配当 | 4 |
科目ナンバー
LE-PE2-J213
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
「時間とはなにか」と「科学的知識とはなにか」というテーマで講義をします。
前期と後期数回をかけて、「時間」という個別の概念を取り上げます。まず、時間が自然科学(特に物理学)においてどのように扱われているのかを紹介します。自然科学のなかでは、任意の時点しか存在せず、特権的な現在というものが存在しないため、「時間が過去から未来へ流れる」ということが表現できません。「時間が流れる」ということをどのように考えたら良いのか。この点について、現代の分析形而上学の議論を手がかりに考察していきます。また、その他のさまざまな哲学者が時間についてどのように考えているのかも見ていくことになります。
後期の残りの回では、そもそも科学的知識とはどのようなものなのかについて考察します。ポパーの反証主義やラトゥールのアクターネットワーク理論などを参照することによって、科学者の営みについての理解を深めることを目指します。
科目目的
この授業には、以下の目的があります。
(1) 自然科学の見地を踏まえ、人間の生や日常的な見方を相対化できるようになること。
(2) 自然科学では語りえないもの(〈今〉や〈ここ〉など)があるということを理解すること。
(3) 自然科学そのものを相対化し、自然科学の見解には歴史的な発展があるということを理解すること。
到達目標
授業で扱われる内容(時間の本質、科学的知識の本質など)について自分の言葉で説明し、それに対して自分の主張を論理的に展開できるようになること。
授業計画と内容
毎回、前回の授業で書き込んでもらったコメントについて紹介・解説しながら、ゆっくりと進めていきます。授業でわからなかった点や思いついたことなどを、授業後にコメントフォームに書き込んでください。
第01回 前期の導入
第02回 時間とはなにか(1)─特殊相対性理論と時間
第03回 時間とはなにか(2)─一般相対性理論と時間
第04回 時間とはなにか(3)─量子論と時間
第05回 時間とはなにか(4)─熱力学と時間
第06回 時間とはなにか(5)─タイムトラベルの哲学
第07回 時間とはなにか(6)─タイムトラベルの哲学 (続き)
第08回 時間とはなにか(7)─マクタガート、時間の非実在性
第09回 時間とはなにか(8)─現在主義と永久主義
第10回 時間とはなにか(9)─ベルクソン、持続としての時間
第11回 時間とはなにか(10)─ベルクソン、持続としての時間 (続き)
第12回 時間とはなにか(11)─現象学における時間
第13回 時間とはなにか(12)─現象学における時間 (続き)
第14回 前期の総括・前期レポートの書き方について
第15回 後期の導入
第16回 時間とはなにか(13)─ホワイトヘッド、生成としての時間
第17回 時間とはなにか(14)─ホワイトヘッド、生成としての時間 (続き)
第18回 時間とはなにか(15)─ホワイトヘッド、生成としての時間 (続き)
第19回 時間とはなにか(16)─ハーマン、対象と時間
第20回 時間とはなにか(17)─ハーマン、対象と時間 (続き)
第21回 時間とはなにか(18)─メイヤスー、あらゆるものを破壊しうる時間
第22回 時間とはなにか(19)─メイヤスー、あらゆるものを破壊しうる時間 (続き)
第23回 時間とはなにか(20)─メイヤスー、あらゆるものを破壊しうる時間 (続き)
第24回 科学的知識とはなにか(1)─ポパーの反証主義
第25回 科学的知識とはなにか(2)─クーンのパラダイム論
第26回 科学的知識とはなにか(3)─ラトゥールのアクターネットワーク理論
第27回 科学的知識とはなにか(4)─ラトゥールのアクターネットワーク理論 (続き)
第28回 後期の総括・後期レポートの書き方について
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 100 | 2回(前期と後期)のレポート提出により判定。授業の内容を理解し、自分の主張を論理的に展開できているかを確認します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
原則として出席点や平常点は考慮せず、レポートのみによって評価します。ただし、それまでに話したことを前提にして授業の議論が進んでいくので、可能な限り出席することを推奨します。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
毎回コメントフォームに質問や意見を書き込んでもらいます。それらに対して、つぎの回に教員が応答します。わからなかった点、思いついた論点などを自由に書いてください。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストは特にありません。参考文献は授業内でその都度、配布ないし紹介します。
差し当たり、以下のものを挙げておきます。
参考文献
・吉田伸夫『時間はどこから来て、なぜ流れるのか?─最新物理学が解く時空・宇宙・意識の「謎」』(講談社、2020年)
・森田邦久『時間という謎』(春秋社、2020年)
・戸田山和久『科学哲学の冒険─サイエンスの目的と方法をさぐる』(NHK出版、2005年)
・伊勢田哲治「科学哲学」(『哲学の歴史11』中央公論新社、2007年所収)