シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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応用社会調査法(質的)/社会調査法(3)(質的調査) | 2024 | 後期 | 水2 | 文学部 | 門林 道子 | カドバヤシ ミチコ | 2~4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-SC2-K320
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
社会調査とは社会の仕組みや人々の生活の実際を把握するためにとられてきた多様なアプローチの集成である。この授業ではそのなかでもとくに統計的、数量的方法によらない質的(調査社会)調査、とりわけ昨今、「人間」や「生活」に接近する方法として社会学や社会福祉学、文化人類学のみならず医学や看護学といった臨床分野においても学問的活用が広がってるライフストーリーやライフヒストリー研究に関する基本的な考え方や方法をはじめ、さまざまな質的データの収集や分析方法について学習することを目的としている。参与観察法やインタビュー等フィールドワークの方法、ドキュメント分析や内容分析、会話分析、グラウンデッド・セオリー等を多角的に学ぶ。担当者自身が長年関わってきた「闘病記の社会学的研究」に関して行ってきたがん闘病記のドキュメント分析、著者や関係者へのインタビュー調査、そこから発展した国内外のホスピス・緩和ケアの比較社会学的研究や「書く」ことをケアに、を目指して行った臨床応用の調査研究等フィールドワークについても具体的に取り上げ、調査法や倫理的問題についても解説する。短時間のライフストーリーインタビューの実践やトランスクリプトの作成、調査計画の立案なども取り入れたい。
科目目的
この授業では、質的研究とは何かを理解したうえで、その方法論を修得し、ゼミや卒論、等への活用をはじめ、自らがリサーチ・クエスチョンを設定し、研究デザインを選択、データ収集を行って質的分析を進め考察、執筆できるような力の養成を目指す。
到達目標
1.質的研究とはなにかを理解すること
2.質的調査の方法論を論じることができること
3.質的調査の方法について、リサーチ・クエスチョンの設定、研究デザイン、データ収集、
データ分析、理論化とモデル化、質的研究論文の執筆様式などから説明できること
4.質的調査について、記録とコード化、主観と客観、サンプルに対する操作的定義、一般化
可能性から説明できること
5.質的調査の研究倫理について、人間や人々の多様な生活への関心をもち、人権の理解を深め、
調査者等の基本的な考え方や責務を理解し、説明できること
授業計画と内容
第1回 授業のイントロダクション、社会調査法について、アイスブレイク
第2回 質的(社会)調査:「質的」とはなにか
第3回 質的研究の意義・特徴・歴史
第4回 質的調査:方法と方法論(1)
第5回 質t的調査:方法と方法論(2)
第6回 質的調査の方法:質的データの収集と分析―フィールドワーク(参与観察法)
第7回 質的調査の方法:質的データの収集と分析―インタビュー法
第8回 質的調査の進め方:ライフストーリーとライフヒストリー①
第9回 質的調査の進め方:―ライフストーリーとライフヒストリー②
第10回 質的調査の進め方:ーライフストーリー2つのアプローチ
第11回 質的調査における研究倫理①ラポール・同意と説明、プライバシーと個人保護、倫理規程
第12回 質的調査における研究倫理②研究倫理をめぐる困難、論文の作成、ライフストーリー・インタビューの実践とトランスクリプトの作成
第13回 質的調査の応用:ライフストーリーインタビュー計画の立案
第14回 小テストとインタビュー計画の発表
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
事前学修:授業前に配布された文献を読んでくる、課題を考えてくるなどの予習を行う(週1時間)
事後学修:授業後に学習した社会調査や質的研究に関わる用語等を復習する、自宅課題であるレポート等に取り組み完成させる(週3時間)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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中間試験 | 30 | 授業で学習した質的調査に関わる重要な用語、方法論等を理解しているかどうかの確認のために、事前に知らせたうえで確認小テストを1回以上、授業中、あるいは最終回に行う。 |
レポート | 40 | 期末試験にかわるレポートの提出:ライフストーリーやライフヒストリー、エスノグラフィー関連の文献を選び、その分析等を通して質的研究としての意義等をレポートにまとめる。 |
平常点 | 30 | 授業中、あるいは自宅課題として提出を求めるリアクションペーパーや小レポートについて理解度等を評価する |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
プレゼンテーション/実習、フィールドワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
観察法やインタビュー等で、短時間の実践やフィールドワーク、発表等を取り入れる。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
授業はテキストなどは使用せず、毎回レジュメを作成、資料を準備しmanabaにアップする。授業中に配布することも考えている。
「参考文献」
大谷信介・木下栄二・後藤範章・小松洋 『新・社会調査へのアプローチ―論理と方法』 ミネルヴァ書房 2013 ISBN :9784623066544
谷富夫・芦田徹郎 編著 『よくわかる質的社会調査 技法編』 ミネルヴァ書房 2009 ISBN:9784623052738
谷富夫・山本務 編著 『よくわかる質的社会調査 プロセス編』 ミネルヴァ書房 2010
ISBN:9784623058440
伊藤哲司 『新版 みる きく しらべる かく かんがえる―対話としての質的研究』 北樹出版 2009 ISBN:9784779306983
桜井厚 『インタビューの社会学―ライフストーリーの聞き方』 せりか書房 2002 ISBN:9784796702379
小林多寿子 編著 『ライフストーリー・ガイドブック―ひとがひとに会うために』 嵯峨野書院 2010 ISBN:9784782305096
蘭由岐子 『「病いの経験」を聞き取る―ハンセン病者のライフストーリー「新版」』 生活書院 2017 ISBN:9784865000641
門林道子 『生きる力の源に―がん闘病記の社会学』 青海社 2011 ISBN:9784902249576