シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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経済政策論 | 2024 | 後期複数 | 火1,金3 | 経済学部 | 中澤 克佳 | ナカザワ カツヨシ | 2年次配当 | 4 |
科目ナンバー
EC-PO2-01XX
履修条件・関連科目等
基礎ミクロ経済学,基礎マクロ経済学
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
<学位授与方針と当該授業科目の関連>
この科目は、現実把握力(経済学の専門知識及び社会・人文・自然科学の知識教養に裏付けられた広い視野に立った柔軟な知性に基づき、現実の経済現象を的確に把握することができる)の修得に関わる科目です。
<概要>
私たちは様々な経済問題に直面しています。そして、それら問題に対する意思決定、すなわち政策の影響を受けることになります。民主主義社会において私たちは、各自が望ましい社会のあり方や政策を考え、判断しなければなりませんが、その望ましい社会は人によって異なります。異なるからこそ根拠を持って自身の考えを構築することが重要になります。
社会が直面する経済問題は、非常に多くの要因が複雑に関連しています。しかし、要因が複雑に関連する経済問題をそのまま「複雑である」と言うだけでは問題を理解し、解決することはできません。そこで、経済問題に関連する主体の意思決定や主体間の相互関係を抽象化・単純化したモデルに基づいて解釈や分析を行うのが経済学です。また、現実の諸課題を考える上では、その歴史的背景や社会経済的背景への理解も必要です。さらに、データ等を用いて問題を可視化し、解決の糸口を探ることも重要です。
本講義の目的は、履修者に対して現代社会の諸課題における論点を把握し、それに対する経済政策の意義と効果を理解し、各自が「望ましい社会」とそれを実現するための経済政策を考察するための視点を提供することです。
科目目的
本講義を履修することで、生が以下のような到達点に達することを目標としている。
1)基礎的なミクロ経済学に基づき、政府が経済社会に介入する根拠とその影響を理解する。
2)様々な経済政策に関連するトピックを中心に、その背景や論点を理解する。
3)社会経済的背景や国際(地域間)比較を通じて「縦軸と横軸」から問題を把握する視点を獲得するのと同時に、データの活用や分析手法を理解する。
到達目標
・基礎的なミクロ経済学に基づき、政府が経済および社会に介入する理由を理解できる。
・講義で取り上げる現代社会経済の諸問題に対して、その論点を把握できる。
・現実の経済政策およびそれに対する批判や代替案を評価する視点を獲得し、手法を理解できる。
授業計画と内容
第2回から第12回にかけて、基礎的なミクロ経済学の枠組みを用いて市場の機能と政府の役割について解説します。第13回以降は現代日本社会の諸課題について取り上げ、各制度や政策の背景・論点を整理します。可能な範囲で国際比較・地域比較をおこない、データを用いた問題の可視化や分析方法の解説も適宜おこないます。
第1回 ガイダンス:経済政策とは何か、講義の目的および進め方、評価方法等について理解する。
第2回 市場の機能と政府の役割:政治(国家・政府)と経済の関係性を歴史的視点から把握する。
第3回 市場の機能(1):需要と供給、均衡の概念を理解する。
第4回 市場の機能(2):需要曲線と供給曲線のシフトと価格による需給調整メカニズムを理解する。
第5回 市場の機能(3):余剰の概念を用いて市場経済の効率性を理解する。
第6回 市場への介入(1):価格規制がもたらす影響を余剰の概念を用いて把握する。
第7回 市場への介入(2):数量規制や参入規制がもたらす影響を余剰の概念を用いて把握する。
第8回 市場の失敗(1):外部経済と外部不経済について理解する。
第9回 市場の失敗(2):公共財の性質と共有地の悲劇について理解する。
第10回 市場の失敗(3):情報の非対称性について理解する。
第11回 市場の失敗(4):独占および寡占について理解する。
第12回 政府の役割と政府の失敗:市場に対する政府の介入とその問題について理解する。
第13回 リスク対処の歴史:リスクに対処する主体としての政府機能の拡大を歴史的視点から把握する。
第14回 リスク対処の主体と方法:家族・市場・政府の役割について理解する。
第15回 日本社会の課題:少子化・高齢化・人口減少の現状と影響を把握する。
第16回 労働の変化と家族の変容:労働のあり方の変化と家族規模・家族関係の変容を把握する。
第17回 再分配政策(1):社会における格差と貧困をどのように把握するのかを理解する。
第18回 再分配政策(2):格差や貧困に対処する経済政策を理解する。
第19回 再分配政策(3):再分配政策をめぐる論点を把握する。
第20回 医療政策(1):日本の医療保障制度の特徴を理解する。
第21回 医療政策(2):各国の医療保障制度の特徴を国際比較で把握する。
第22回 医療政策(3):日本の医療保障制度の課題を把握する。
第23回 公的年金(1):公的年金制度がなぜ存在するのかを理解する。
第24回 公的年金(2):わが国の公的年金制度の特徴と問題を理解する。
第25回 公的年金(3):制度選択における時間軸の視点と権利の問題を理解する。
第26回 裁量的財政政策:財政政策の特徴と課題を理解する。
第27回 財政赤字と財政ルール:財政赤字の問題と各国の財政ルールのあり方を把握する。
第28回 地域間格差と地方分権論:地域間格差の問題および地方分権の論点を把握する。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
・テキストは使用しません。講義資料はmanabaで配布します。事前に印刷するかPCやタブレットにダウンロードし、目を通した上で講義に臨んでください。
・毎回の講義資料に書き込みをおこなっていくことで各自の講義ノートが完成します。
・講義後にmanabaで課題および講義内容に対するリアクションを求めます。成績評価に反映されます。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 60 | 設問に対して講義内容に即して正確に答えられているか。 |
平常点 | 40 | 講義への参加およびmanaba上での課題の提出。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
パワーポイントを用いて講義をおこないます。配付資料は印刷して持参するか、PCやタブレットにダウンロードして講義に臨んでください。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
・テキストは使用しません。配付する講義資料に書き込むことで各自の講義ノートを作ってください。
・参考文献は講義内で適宜紹介します。
その他特記事項
履修者の学ぶ権利を守るため、私語は禁止します。ただし質問等は自由です。