シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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金融論Ⅰ | 2024 | 後期複数 | 月1,木3 | 経済学部 | 近廣 昌志 | チカヒロ マサシ | 2年次配当 | 4 |
科目ナンバー
EC-FE2-021X
履修条件・関連科目等
特に以下の講義科目の履修をおすすめします。金融論Ⅱ,証券市場論,国際金融論,財政学,マルクス経済学,独占資本主義論,経済学史,経済変動論,経済政策論,中級ミクロ経済学,中級マクロ経済学,簿記論。ただし,その他,直接関連が薄いと思う科目も積極的に履修しましょう(幸運は不意にやってきます)。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
<学位授与方針と当該授業科目の関連>
この科目は、現実把握力(経済学の専門知識及び社会・人文・自然科学の知識教養に裏付けられた広い視野に立った柔軟な知性に基づき、現実の経済現象を的確に把握することができる)の修得に関わる科目です。
<概要>
金融セクターは経済社会にとって極めて重要ですが,しかし経済社会の一部であり,また主役ではなく脇役です。貨幣論を中心とする論理的な組立てにより,貨幣経済の構造について,金融セクターの機能を理解できるよう講義するものです。その際,最初から理論を教えるというよりは,理論と現実との差異に気づき,現象に対する抽象過程を通じたものごとの見方が意識できるよう工夫します。この科目で扱う内容は,金融知識,銀行の歴史,金融機関の機能,国際間を含む決済システム,貨幣供給メカニズム,利子の源泉,金融政策を中心とします。
中央銀行がなくても貨幣経済は成立しますが,現実には中央銀行が必要とされています。金融は決して投機による「利益」の追求のためだけにあるのではなく,歴史の変遷と共に社会的要請が金融システムを構築することを踏まえることが重要です。貨幣価値の変動についても絶対的・相対的な側面から説くのこと,マネーストックの変動要因,更にそれに対する中央銀行のコントローラビリティ,貨幣供給メカニズムの精緻化等,知識習得のまま終わらせることなく思考の訓練になるよう体系的に講義を進めます。
なお本科目では,説明のために簿記の基礎的知識を用いますので,簿記の基礎知識がまったくない受講者でも受講には問題ありませんが,初回講義時のアンケートでお知らせください。
科目目的
本科目の直接的な目的は,経済の新陳代謝を理解するための知識と理論を修得し,理論と現実の両側面からアプローチすることで,経済社会,特に政策論の矛盾を発見する能力を養うことです。また高校までの知識では説明できない事象を中心に扱うことで,学問的好奇心を養うことも目的の一つとします。最終的には,説明および証明のための方法の修得を目的とします。
到達目標
①金融用語が理解でき,金融商品の利回りと借入利息等の計算に慣れること。
②金融経済に関わるトピックスについて読解でき,巷の解説等のミニリーディングに気付き論理的な思考による自らの解説が可能になること。
③企業活動と金融機関との関係を理解し,会計情報やデータを使って資料作成ができるようになること。
④金融セクターを単独ではなく,生産活動をはじめとする社会の連関の中で捉えることで,経済学部の学生としての意義を持てるようになること。
授業計画と内容
第1回 オリエンテーション(担当教員の学生時代,貨幣価値の捉え方,グループ分け)
第2回 金融の基礎スキル,金利構造(イールドカーブ),複利計算と演習,割引概念と演習
第3回 金融機関の種別と機機1(銀行の歴史と機能:両替商,為替会社,国立銀行,無尽)
第4回 金融機関の種別と機能2(銀行の歴史と機能:中央銀行の無い経済社会,現代の預金金融機関)
第5回 金融機関の種別と機能3(短資会社,証券会社のビジネスモデル)
第6回 金融機関の種別と機能4(信託会社,信託銀行,保険会社)
第7回 [金融機関の専門職]ゲストスピーカー(資産運用の専門家をお迎えする予定です)
第8回 金融機関の種別と機能5(消費者金融会社,公的金融機関)
第9回 [金融機関の専門職]ゲストスピーカー(短期金融市場の専門家をお迎えする予定です)
第10回 決済システム1(内国為替システム,小口電子決済)
第11回 決済システム2(国際間決済システムと決済リスク低減の工夫)
第12回 金融機関のビジネスモデル1(業態別B/S,P/L分析,成熟国の金融機関)
第13回 金融機関のビジネスモデル2(セブン銀行のビジネスモデル,でんさい・ABL等)
第14回 銀行貸出の基本形態(手形割引・手形貸付・当座貸越・証書貸付および10年ごとの割合変化)
第15回 中間まとめ・到達度確認と解説(直後に解説します)
第16回 貨幣価値と信用貨幣(貨幣のプライマリ/セカンダリ形態,紙幣と銀行券,信用,貨幣数量説)
第17回 貨幣供給の理論1(外生的貨幣供給理論と政府紙幣の関係)
第18回 貨幣供給の理論2(内生的貨幣供給理論と銀行システム,信用創造論の真相)
第19回 貨幣供給の理論3(貨幣循環論法,サーキュレーションアプローチ,暗号資産の貨幣化の可能性)
第20回 貨幣供給の理論4(マネーストック変動の財政的要因,貸出債権証券化の影響)
第21回 [金融機関の専門職]ゲストスピーカー(証券化の専門家をお迎えする予定です)
第22回 MMTの論理構造(中世と江戸以前に憧れる論者たちの思考)
第23回 FTPLの論理構造(非貨幣的現象としての物価変動)
第24回 金融政策の機能と手段(トランスミッションメカニズム)
第25回 金融政策をめぐる理論(伝統的理論とQE)
第26回 [金融マーケットを視る]ゲストスピーカー(シンクタンクの要職の方をお迎えする予定です)
第27回 公的金融の意義と課題(信用保証制度の実態・貸出債権証券化)
第28回 期末試験,解説とふり返り(金融の目的・再考)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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中間試験 | 50 | 用語確認・算出問題等の理解度による |
期末試験(到達度確認) | 50 | 選択式・論述問題等の理解度による |
成績評価の方法・基準(備考)
「その他」は,中間および最終的な到達度確認の結果以外に,特に輝く成果ないし努力が認められた場合は30点を上限として加点することがある。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
グループワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
タブレット端末
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
インターネットに接続できる端末をお持ち下さい。スマートフォンやタブレット端末で十分です。
一部の回では,「Respon」を活用する講義を実施する他,質問等でも同アプリを利用します。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
【テキスト】
・川波洋一・上川孝夫『現代金融論〔新版〕』有斐閣,2016年,ISBN:978-4-641-18433-6
【参考書】
・中島真志『入門企業金融』東洋経済新報社,2015年,ISBN:978-4-492-65468-2
・内田浩史『金融』有斐閣,2016年,ISBN:978-4-641-16493-2
・藤木 裕『入門テキスト 金融の基礎』東洋経済新報社,2016年,ISBN:978-4-492-65475-0
・佐々木融『弱い日本の強い円』日本経済新聞出版社,2011年,ISBN:978-4-532-26138-2
・白川一郎『内外価格差』中央公論社,1994年,ISBN:4-12-101208-9
その他特記事項
講義の中で沢山の書籍等を紹介しますので,可能な限り講読してみてください。中には金融論と関係性の薄いと思われるものも含みますが,一見して関連のないようにみえる分野の著作にも触れてみることは,きっとあなたの人生を豊かにします。気軽にお声掛け下さい。