シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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社会思想/社会思想A | 2024 | 前期 | 月3 | 文学部 | 中村 勝己 | ナカムラ カツミ | 1~4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-PE1-T003
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
前半6回の講義で18世紀末に起きたフランス革命(1789年)にはじまり、19世紀半ばに起きた1848年革命の直前までの西ヨーロッパの社会思想の歴史について講義する。具体的には、カント(プロイセン=独)、アダム・スミス(スコットランド=英)、ヘーゲル(プロイセン=独)という3人の思想家を中心に講義する。
後半6回で19世紀半ばに生じたヨーロッパ規模での1848年革命から、パリ・コミューン(1871年)、世紀末ウィーンの社会、第一次世界大戦(1914-1918年)、ロシア革命(1917年)、ドイツ革命(1918年)、ドイツにおけるナチスの政権掌握(1933年)までの歴史の流れを背景にして、マルクス(プロイセン=独)、マックス・ヴェーバー(プロイセン→ヴァイマル共和国=独)、ジークムント・フロイト(オーストリア)の思想を解説し、彼らの著作の抜粋を読んでいく。
20世紀の後半以降、彼らの思想がどのように受容され、批判されたのかについても説明し、21世紀の今日に彼らの思想を再読する意味について一緒に考えてみたい。
科目目的
19世紀と20世紀の西欧の社会思想の古典を読む作業を通じて、現代の思想や学問で議論されているテーマの前提を理解できるようにすることが目的である。
到達目標
毎回まじめに授業に臨み、教員の問いかけに積極的に応答できるようになること。
授業計画と内容
1 導入――カントの社会思想(1)「啓蒙とは何か」を読む
2 カントの社会思想(2)『人倫の形而上学の基礎づけ』を読む
3 スミスの社会思想(1)『道徳感情論』について
4 スミスの社会思想(2)『国富論』について
5 ヘーゲルの社会思想(1)『歴史哲学講義』――ナポレオンの時代
6 ヘーゲルの社会思想(2)『法哲学講義』――人倫とはなにか
7 まとめ
8 マルクスの社会思想(1)ハイデガーズ・チルドレンのマルクス論を読む
9 マルクスの社会思想(2)1848年革命と資本主義論
10 ヴェーバーの社会思想(1)呪術からの解放とは何か
11 フロイトの社会思想(1)『ヒステリー症例』を読む
12 フロイトの社会思想(2)文明の起源にある抑圧
13 ヴェーバーの社会思想(2)「鉄の檻」のゆくえ
14 まとめ
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 35 | 7ポイント × 5点=35点 |
レポート | 35 | 7ポイント × 5点=35点 |
平常点 | 30 | 15ポイント × 2点=30点 |
成績評価の方法・基準(備考)
新学期(2024年度)も、中間と期末にレポート提出を課すことにする。内容は、中間のレポート課題が前半6回の講義に関するもの、期末のレポート課題が後半6回の講義に関するものとなる予定である。
毎回授業に出席して、質問なりコメント(感想)を出してもらう。そうしてくれた学生に限り出席調査票を渡して出席扱いとする。
配点は、1回目位のレポート課題で35点、2回目のレポート課題で35点、毎回のコメントで2点 × 15回の授業で30点、合計100点である。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
毎回プリントを授業支援システム(C plus, manaba)にアップロードする。
教科書はなし
参考書はプリントの末尾に参考文献を毎回挙げる。例えば、以下の通りである。
G・アリギ『北京のアダム・スミス――21世紀の諸系譜』中山智香子監訳、作品社
安藤英治(聞き手)『回想のマックス・ウェーバー』亀嶋庸一編、今野元訳、岩波書店
稲葉振一郎『「資本」論――取引する身体/取引される身体』ちくま新書
奥村宏『会社はどこへ行く』NTT出版
加藤尚武『現代倫理学入門』講談社学術文庫
川本隆史『現代倫理学の冒険』創文社
カント『道徳形而上学の基礎づけ』中山元訳、光文社古典新訳文庫
カント『人倫の形而上学』加藤新平ほか訳、『世界の名著39』所収、中央公論社
カント『永遠平和のために/啓蒙とは何か 他三篇』中山元訳、光文社古典新訳文庫
カント「理論と実践」、『啓蒙とは何か 他四篇』篠田英雄訳、岩波文庫所収
カント『人間学』坂田徳男訳、岩波文庫
カント『永遠平和のために/啓蒙とは何か 他三篇』中山元訳、光文社古典新訳文庫
栗木安延『アメリカ自動車産業の労使関係――フォーディズムの歴史的考察[改訂版]』社会評論社
クリスタ・クリューガー『マックス・ウェーバーと妻マリアンネ』徳永恂ほか訳、新曜社
マーティン・グリーン『リヒトホーフェン姉妹』塚本明子訳、みすず書房
――『真理の山』進藤英樹訳、平凡社
坂部恵『人類の知的遺産43カント』講談社
マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう』鬼澤忍訳、ハヤカワ文庫
アダム・スミス『道徳感情論』村井章子・北川知子訳、日経BP社
アダム・スミス『国富論』水田洋・杉山忠平訳、岩波文庫
スミス『法学講義』水田洋訳、岩波文庫
アマルティア・セン『経済学の再生』徳永澄憲ほか訳、麗澤大学出版会
田中正司「市民社会観」、田村秀夫・田中浩(編集代表)『社会思想事典』中央大学出版部
フレデリック・W・テイラー『新訳 科学的管理法』有賀裕子訳、ダイヤモンド社
W・L・テーラー『ハチスン・ヒューム・スミス』山口正春・川又祐訳、三恵社
土井崇弘「自生的秩序」、森村進 編著『リバタリアニズム読本』勁草書房 所収
F・A・ハイエク『隷属への道』西山千明訳、春秋社
ハーバマス『公共性の構造転換[第二版]』細谷貞雄・山田正行訳、未來社
ハーバマス『他者の受容』高野昌行訳、法政大学出版局
長谷川貴彦『産業革命:世界史リブレット116』山川出版社
ハリー・ブレイヴァマン『労働と独占資本』富沢賢治訳、岩波書店
G・ベッカー『人的資本』佐野陽子訳、東洋経済新報社
ホッブズ『リヴァイアサン』水田洋訳、岩波文庫
水田洋『アダム・スミス――自由主義とは何か』講談社学術文庫
森村進「最小国家」、森村進 編著『リバタリアニズム読本』勁草書房 所収
ハンス・ライス『カントの政治思想』樽井正義訳、芸立出版
ルソー『社会契約論/ジュネーブ草稿』中山元訳、光文社古典新訳文庫
ロック『統治二論』加藤節訳、岩波文庫
ジョン・ロールズ『正義論』川本隆史・福間聡・神島裕子訳、紀伊國屋書店
ホルクハイマー、アドルノ『啓蒙の弁証法』徳永恂訳、岩波文庫
竹中幸使『図説 フランス革命史』河出書房新社
アレクサンドル・コジェーヴ『ヘーゲル読解入門『精神現象学』を読む』上妻精・今野雅方訳、国文社
中埜肇『ヘーゲル』中公新書
林健太郎編『ドイツ史(増補改訂版)』山川出版社
廣松渉編『世界の思想家12 ヘーゲル』平凡社
フランシス・フクヤマ『歴史の終わり』上下、渡部昇一訳、三笠書房
ヘーゲル『歴史哲学講義』上下、長谷川宏訳、岩波文庫
ヘーゲル『ヘーゲル書簡集』小島貞介訳、日清堂書店
マックス・ヴェーバー『宗教社会学論選』大塚久雄・生松敬三訳、みすず書房
――『世界宗教の経済倫理――序論・中間考察』中山元訳、日経BP社
マリアンネ・ヴェーバー『マックス・ウェーバー』大久保和郎訳、みすず書房
エドゥアルト・バウムガルテン『マックス・ヴェーバー』生松敬三訳、福村出版
アーサー・ミッツマン『鉄の檻――マックス・ウェーバー 一つの人間劇』安藤英治訳、木鐸社
アルベルト・メルッチ『現在に生きる遊牧民(ノマド)』山之内靖ほか訳、岩波書店
上山安敏『神話と科学 ヨーロッパ知識社会 世紀末~20世紀』岩波書店
フロイト『文化への不満』、『幻想の未来/文化への不満』中山元訳、光文社古典新訳文庫
アーネスト・ジョーンズ『フロイトの生涯』竹友安彦・藤井治彦訳、紀伊國屋書店
マルクーゼ『エロス的文明』南博訳、紀伊国屋書店
ジークムント・フロイト『自叙・精神分析』生松敬三訳、みすず書房
フロイト『ヒステリー研究』懸田克躬訳、『フロイト著作集』第7巻、人文書院
ブロイアー=フロイト『ヒステリー研究〈初版〉』金関猛訳、中公クラシックス
チャールズ・ライクロフト『精神分析学辞典』山口泰司訳、河出書房新社
安藤英治『マックス・ウェーバー 人類の知的遺産62』講談社
マックス・ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』中山元訳、日経BP社
久米あつみ『カルヴァン 人類の知的遺産28』講談社
小泉 徹『世界史リブレット27 宗教改革とその時代』山川出版社
日本基督改革派教会/信条翻訳委員会訳『ウェストミンスター信仰告白』新教出版社
三島憲一「訳者解説」、ハーバマス=ラッツィンガー『ポスト世俗化時代の哲学と宗教』岩波書店
山之内靖『マックス・ヴェーバー入門』岩波新書
八木谷涼子『知って役立つキリスト教大研究』新潮OH ! 文庫
朝倉文市『世界史リブレット21 修道院にみるヨーロッパの心』山川出版社
安藤英治『マックス・ウェーバー 人類の知的遺産62』講談社
安藤英治(聞き手)『回想のマックス・ウェーバー』亀嶋庸一編、今野元訳、岩波書店
マックス・ヴェーバー『宗教社会学論選』大塚久雄・生松敬三訳、みすず書房
――『世界宗教の経済倫理――比較宗教社会学の試み 序論・中間考察』中山元訳、日経BP
社
――『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』中山元訳、日経BP社
マリアンネ・ヴェーバー『マックス・ウェーバー 一つの生涯』大久保和郎訳、みすず書
房
ニーチェ『ツァラトゥストラ』上、吉沢伝三郎訳、ちくま学芸文庫
ダニエル・ベル『資本主義の文化的矛盾』(上)林雄二郎訳、講談社学術文庫
八木谷涼子『知って役立つキリスト教大研究』新潮OH ! 文庫
荒井章三・森田雄三郎『ユダヤ思想』大阪書籍
鈴木輝二『ユダヤ・エリート――アメリカへ渡った東方ユダヤ人』中公新書
成瀬治・黒川康・伊東孝之『ドイツ現代史』山川出版社
マルクーゼ『初期マルクス研究』良知力・池田優三共訳、未來社
レーヴィット『ウエーバーとマルクス』柴田治三郎・脇圭平・安藤英治訳、未來社
アーレント『革命について』志水速雄訳、ちくま学芸文庫
リチャード・ウォーリン『ハイデガーの子どもたち』村岡晋一・小須田健・平田裕之訳、木田元解説、新書館
マルクス=エンゲルス『共産党宣言・共産主義の諸原理』水田洋訳、講談社学術文庫
マルクス=エンゲルス『新訳 共産党宣言――初版ブルクハルト版(1848年)』的場昭弘訳、作品社
井村喜代子「世界市場の大暴風雨」、杉原四郎・佐藤金三郎編『資本論物語』有斐閣
河野健二『現代史の幕あけ――ヨーロッパ1848年――』岩波新書
田畑 稔『増補新版 マルクスとアソシエーション』新泉社