シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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アーカイブズ概論 | 2024 | 後期 | 水4 | 文学部 | 荒船 俊太郎 | アラフネ シュンタロウ | 1~4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-PL1-T807
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
アーカイブズをめぐる議論と研究は多岐にわたっており、短期間で論じ尽すことはできません。そこで本講義では、特に重要な、①アーカイブズの沿革(歴史)、②アーカイブズを管理保存する公文書館とその業務、③文書館の担い手である専門職員(=アーキビスト)、④大学アーカイブズ、⑤その他(アーカイブズをめぐる近年の動向)にしぼって、映像資料や新聞資料を交えて講義します。それにより、アーカイブズの果たす役割を学び、本学問の今後の可能性について検討します。
科目目的
アーカイブズ(archives)という言葉をご存知でしょうか。みなさんには、Instagramやyoutubeの機能としておなじみかもしれません。ニュースやインターネット上で散見されるようになったこの言葉には、記録・記録保管所・古文書・デジタルデータといった多様な意味が含まれています。より専門的には、アーカイブズとは、将来にわたって保存すべき大切な文書や記録類を指し、それらを管理保存する公文書館等の施設、さらに文書館の機能や文書管理システム全体を指す言葉としても用いられており、これらを多角的に研究する学問のことをアーカイブズ学(記録史料学)といいます。本学問領域は、近年(とりわけこの30年間に)その重要性が喚起され、急速に議論が深められてきました。
そこで本講義では、アーカイブズにかかわる諸問題を紹介・検討し、当該領域に関する基礎的な知識の修得を目指します。これにより、公文書館の制度や文書資料の管理体制、そこで働く専門職員(=アーキビスト)に対する理解を深め、公文書を軸とする記録管理の徹底が民主主義社会の成熟と発展に寄与するとの認識を深めていただくことを目的とします。
到達目標
・アーカイブズ(archives)が持つ「複数の意味」(3つ)を正確に理解する。
・日本における、公文書を中心とする記録管理の沿革と現状を把握する。
・昨今の時事問題に、本学問領域が密接に関わっていることを理解し、説明できるようになる。
・戦後民主主義の成熟と運用に、本学問が密接に関わっていることを理解する。
授業計画と内容
第01回(09/25) ガイダンス:講義の進め方と成績評価方法の紹介・導入
第02回(10/02) アーカイブズとは何か
第03回(10/09) アーカイブズの歴史①:世界における文書館制度の沿革
第04回(10/16) アーカイブズの歴史②:日本における文書保存と文書館制度
第05回(10/23) 公文書と公文書館
第06回(10/30) 公文書館の業務①:資料の管理システム
第07回(11/06) 公文書館の業務②:評価選別と編成・記述
第08回(11/13) 専門職員(アーキビスト)とその育成
第09回(11/20) 資料の保存と修復
第10回(11/27) 大学アーカイブズ①:本学の取り組み
第11回(12/04) 大学アーカイブズ②:他大学の取り組み
第12回(12/11) 戦争とアーカイブズ
第13回(12/18) まとめとアーカイブズをめぐる時事問題
第14回(01/08) 到達度確認
※受講生の人数や講義の進度により、シラバス内容を若干変更する場合があります。
10回目と11回目については、内容が入れ替わる場合があります。
寄せられたご意見やご質問については、翌週冒頭に回答します。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
録画等による復習を希望される場合は、柔軟に対応します。ご相談ください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 65 | 最終回の授業時間に、到達度確認の期末試験をお願いする予定です(65点)。 |
平常点 | 35 | 毎回リアクションペーパーを提出していただきます(全13回、各回3点)。最大35点 |
成績評価の方法・基準(備考)
毎回出席確認を兼ねたリアクションペーパーを配布し(全13回、出席票だけの場合あり)、感想・疑問・質問等を記入していただきます。それをもとに、理解状況の判断に利用します。的確なご意見には1~3点をします(=平常点、最大35点)。その上で、最終回の授業時間に、到達度確認(期末試験、65点)を実施します。双方を合計し60点以上を合格とします。但し、授業回数の3分の2以上出席が単位習得の条件となります(9回以上参加が成績評価の最低条件)。ご注意ください。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う/その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
お問い合わせに対しては、manabaのコレクション機能かメール(ashuntaro001o@g.chuo-u.ac.jp)で対応します。その上で、全員に周知が必要と判断される場合には、manabaであるいは翌週に教室で周知します。
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)/その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
・授業時に随時質疑応答の時間を取り入れます。
・オンライン授業に切り替わる場合には、webex/zoomのチャット機能を活用し、クイズを出したり、積極的な意見交換に努めます。
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
・随時質疑応答の時間を取ります。
・毎回リアクションペーパー(出席票)をお願いします。感想等を書いて提出していただきます。
・manabaの掲示板を随時活用します。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
担当講師は、他大学の資料保存機関(公文書館類似施設)での勤務経験(アーキビスト・学芸員)があります。
勤務内容:資料整理・レファレンス・展示会企画運営・資料調査・資料集編集・紀要等刊行物の編集・講演会開催など。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
これらの経験をもとに、近年の本学問領域が抱える問題点を浮かび上がらせながら、分かりやすい授業づくりに努めます。
テキスト・参考文献等
毎回資料を配布するのでテキストは指定しません。平易な文献としては、
榎澤 幸広ほか共著『公文書は誰のものか?』(現代人文社、2019年)
瀬畑源『公文書管理と民主主義』(岩波ブックレット、2019年)
同『公文書問題』(集英社新書、2018年)
同『国家と記録 政府はなぜ公文書を隠すのか?』(集英社新書、2019年)
松岡資明『アーカイブズが社会を変える』(平凡社新書、2011年)
毎日新聞取材班『公文書危機』(毎日新聞社、2020年)
大阪大学アーカイブズ編『アーカイブズとアーキビスト ー 記録を守り伝える担い手たち』
(大阪大学出版会、2021年)
下重直樹・湯上良『アーキビストとしてはたらく ‐ 記録が人と社会をつなぐ』(山川出版社、2022年)
体系的な研究文献としては、
小川千代子他編『アーカイブ事典』(大阪大学出版会、2003年)
国文学研究資料館史料館編『アーカイブズの科学』上下巻(柏書房、2003年)
小池聖一『アーカイブズと歴史学 ‐ 日本における公文書管理』(刀水書房、2020年)
をご覧ください。
その他特記事項
本学問領域は図書館学・博物館学と密接に関係します。司書や学芸員を目指す方々の参加を歓迎します。もちろん、他学部の参加者も歓迎します(昨年度、法学部・経済学部・商学部・総合政策学部などからの参加者あり)。