シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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心理学Ⅰ | 2024 | 前期 | 月4 | 理工学部 | 桑名 俊徳 | クワナ トシノリ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SE-PY1-HB09
履修条件・関連科目等
心の働きについて広く理解したいのであれば,心理学Ⅱも履修することが望ましい.
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
私たちが漠然と抱いている「こころ」と称する対象について、その理解の仕方はさまざまです。この講義は「こころ」の働きを科学的な視点から理解することを目指しています。心理学者たちは、見ることも触れることもできない対象である「こころ」をどのようにして科学的に捉えようとしているのでしょうか。まず、心理学の成立の背景事情にふれながら心理学の視点について考え、「こころ」の心理学的な捉え方や考え方の理解に努めてみます。これを踏まえて、人間の知性にかかわる「こころ」の諸機能(感覚・知覚、記憶、言語など)について科学的な立場からの理解に努め、「こころ」のもつ優れた環境適応性を考えていきたいと思います。また、必要に応じて、心理学と隣接する諸領域(哲学、神経科学、進化生物学など)について若干触れてみることで、「こころ」についての理解をもう少し深めてみたいとも考えています。受講生には、科学的心理学の理解のために、いろいろな心理学的知見を習得するだけでなく、それらが得られた方法についても関心を深めてもらいたい。
科目目的
この授業科目は、カリキュラム上の総合教育科目として位置付けられていることから、この授業科目での学習を通じて、各学生が,心と称する対象に対して、私的な立場から離れて科学的、客観的に考える態度を養い、これを通じて心に対する理解を深めることを目的としています。そして、心についての安易な考えに対して、客観的、科学的な観点から問題点をいろいろ指摘できるような思考方法を養います。
到達目標
まず、科学的心理学は何を対象にいかなる方法で「こころ」と称する対象を捉えようとしているかを理解することを目標とします。そして,さまざまな心理学的な知見を,その科学的根拠を通じて理解し説明できるようになることを目指します。さらに,人間行動を注意深く観察して,その原因を客観的な立場から思考できるようなることを目指します。
授業計画と内容
1)「こころ」を巡る諸問題(哲学の中での心の研究:意識と「こころ」)
・「ここの」の探求の変遷
・哲学的心理学の視点
2)「意識」心理学の諸問題と現代心理学の視点
・「意識」の研究で分かることと分からないこと
・現代の科学的心理学の視点(心の科学では何を対象に,いかなる仕方で探求するのか)
3)感覚・知覚の働き
・感覚と知覚の役割
・ 視感覚系の機能特性(昼間の目と夜間の目の使い分け)
4)色の知覚と色覚理論(なぜ色を見分けることができるのか)
・ヤング・ヘルムホルツの三色説
・へリングの反対色説
5)知覚の恒常性(知覚内容は感受された刺激によって一義的に決まってしまうのか)
・明るさの恒常性(白いものは白く,黒いものは黒いと知覚することの不思議)
・大きさの恒常性(「もの」の大きさ判断の不思議)
6)ゲシュタルトの知覚(‘もの’や形の知覚の基礎は何か)
・「もの」や形を見ることができる条件は何だろうか
・周囲の事物がまとまって見えてしまうのは,どんな法則があるからか
7)奥行きの知覚(なぜ3次元空間の知覚が可能なのか)
・奥行き感,距離感,立体感が得られることの不思議
・奥行き知覚の手がかり
8)記憶のしくみ(一時的な記憶と永続的な記憶)
・記憶とは何か
・人の記憶の仕組みの概略
9)短期記憶とワーキング・メモリ(一時的な記憶はどのような役割をになっているのか)
・いま覚えたはずなのに,もう忘れてしまうことがある.それはどうしてか
・短期記憶の諸特性
・ワーキング・メモリ(思考と記憶のかかわり合い)
10)長期記憶のはたらき
・長期記憶の分類
・保持の経過(記憶は時間の経過とともにどのように変化するのか)
11)忘却の諸要因(何が忘れることを引き起こすのか)
・忘却,つまり忘れることとは何か
・何が原因で人は忘れるのか
12)言語のはたらき
・コミュニケーションと言語(人と動物とを比較し,言語がコミュニケーションに果たす役割に気づく)
・言語の代表機能(事物を言語で表現できれば,それは何を可能にするだろうか)
13)言語と思考
・類人猿の知恵試験(チンパンジーも考えることができる)
・言語と思考のかかわり合い(考えることに言語を使用することができることの意義は何だろうか)
・言語の行動調整機能(言語で考えて判断すれば,すぐに行動に移せるのだろうか)
14)言語獲得
・チンパンジーの言語研究(チンパンジーも言語を使うことができるのか)
・言語の獲得過程(コミュニケーション言語はどのようにして獲得されてゆくのか)
・言語獲得理論(人はどうして言語を獲得できるのか)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時に強調した事項について,教科書を熟読の上理解しておく。また,復習には念を入れ,その際,自分なりの問題を考えて次回の授業に備えておくこと。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 100 | 授業でお話しした心理現象について,実験的根拠(実験方法と実験結果)に基づいて50文字程度で説明できる位に理解できているかを評価基準とします. |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
毎授業,授業内容に基づいたチャレンジ問題を出題して、回答や意見を求める対話機会を用意する。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト:筒井雄二・桑名俊徳 『「実験心理学 -心理学の基礎知識- (改訂増補第3版)』」 八千代出版
なお、参考文献は授業時に適宜紹介する。