シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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心理学Ⅱ | 2024 | 後期 | 月4 | 理工学部 | 桑名 俊徳 | クワナ トシノリ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SE-PY1-HB10
履修条件・関連科目等
心の働きについて広く理解したいのであれば,心理学Ⅰを履修しておくことが望ましい.
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
私たちが漠然と抱いている「こころ」と称する対象について、その理解の仕方はさまざまです。この講義は「こころ」の働きを科学的な視点から理解することを目指しています。心理学者たちは、見ることも触れることもできない対象である「こころ」をどのようにして科学的に捉えようとしているのでしょうか。そこでまず、心理学の視点について考え、「こころ」の心理学的な考え方の理解に努めてみます。これを踏まえて、人間行動に関わる「こころ」の働きに焦点をあて、行動変容の基礎となる学習の働き、行動の推進力となる動機づけや情緒の働き、そして人間行動の形成にとって大切な遺伝と環境の問題などについて、科学的な立場からの理解に努めてみます。これら「こころ」のもつさまざまな側面を通じて,その優れた環境適応性を考えていきたいと思います。さらに、必要に応じて、心理学と隣接する諸領域(哲学、神経科学、進化生物学など)について若干触れてみることで、「こころ」についての理解をもう少し深めてみたいとも考えています。受講生には、科学的心理学の理解のためにも、いろいろな心理学的知見だけでなく、それらが得られた方法についても関心をもってもらいたい。
科目目的
この授業科目は、カリキュラム上の総合教育科目として位置付けられていることから、この授業科目での学習を通じて、各学生が,心と称する対象に対して、私的な立場から離れて科学的、客観的に考える態度を養い、これを通じて心に対する理解を深めることを目的としています。そして、心についての安易な考えに対して、客観的、論理的な観点から問題点をいろいろ指摘できるような思考方法を養います。
到達目標
まず、科学的心理学は何を対象にいかなる方法で「こころ」と称する対象を捉えようとしているかを理解することを目標とします。そして,さまざまな心理学的な知見を,その科学的根拠を通じて理解し説明できるようになることを目指します。さらに,人間行動を注意深く観察して,その原因を客観的な立場から思考できるようなることを目指します。
授業計画と内容
1)心理学の視点(心の科学における意識と行動)
・哲学的心理学の視点(意識の研究)
・現代の科学的心理学の視点(心を科学的に捉えるためには,何を対象にして,どのような方法で調べたらよいだろうか)
2)学習とは何か(環境適応の視点から、学ぶことの意義を問う)
・学習の及ぶ範囲(人間行動や動物の行動と学習のはたらきとのかかわり合い)
・生物の行動様式
・学習機能を備えていることの意義を問う
3)古典的条件づけ(あることが起きれば次に何が起こるのかの学習)
・I. P. Pavlovによる条件づけ学習の実験
・強化と消去とよばれる経験の効果
4)古典的条件づけと人間行動とのつながり(いかなる人間行動がこの条件づけで獲得されるか)
・条件づけられる反応は何か
・いろいろな古典的条件づけ
5)オペラント条件づけ(ある行動をとると次に何が起こるのかの学習)
・E. L. Thorndikeによる学習実験と効果の法則
・B. F. Skinnerによる学習実験と3項随伴性
6)オペラント条件づけによる強化と行動,条件づけの分類
・強化の仕方の違いによって身につく行動の諸相
・オペラント条件づけの分類
7)条件づけ学習の生物学的制約(代々受け継がれてきたものは学習の成立に何をもたらすのか)
・味覚嫌悪学習
・種に固有の防衛反応
8)動機づけと行動(行動を始動させ,また維持させる原動力には何があるか)
・動機づけとは何か
・動機の分類
9)ホメオスタシスと動機づけ(身体の働きはいかにして行動を駆り立てるのか)
・W. Cannonのホメオスタシス
・空腹(hunger)と脳のはたらき
・摂食行動のコントロールと二つの脳内中枢
10)内発的動機(人は不精を決め込むことができるのか)
・知覚遮断の実験と内発的動機
・いろいろな内発的動機(好奇心,操作動機など)
・知的発達と内発的動機(ある養育施設で育った赤ちゃんの発達)
11) コンフリクトとフラストレーション
・コンフリクトの類型(どのような仕方で動機は衝突するのか)
・フラストレーション事態での対処行動
12) 人間発達(人はどのような要因の影響を受けてどのように発達するのだろうか)
・発達とは何か
・発達要因としての遺伝と環境
・遺伝も環境も(ネズミの学習実験と双生児法による子どもの研究)
・遺伝と環境の相互作用(遺伝性の疾患と環境の影響,成熟と学習の影響)
13) 発達の諸要因と初期経験の効果(幼いころの経験がその後の発達にどのように影響するか)
・遺伝要因と関わる環境要因の多様性
・初期経験の効果(幼い頃の経験は後になって何をもたらすのか)
・インプリンティング(カモの雛の親鳥への愛着)
・仔ザルの社会行動の獲得と初期経験
・視覚機能の獲得と初期経験
14) 認知発達の過程(人はどのような仕方で発達的に変化してゆくのか)
・発達段階(発達は段階的に変化してゆく)
・J.Piaget(ピアジェ)の認知発達理論
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時に強調した事項について,教科書を熟読の上理解しておく。また,復習には念を入れ,その際,自分なりの問題を考えて次回の授業に備えておくこと。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 100 | 授業でお話しした心理現象について,実験的根拠(実験方法と実験結果)に基づいて50文字程度で説明できる位に理解できているかを評価基準とします. |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
毎授業,授業内容に基づいたチャレンジ問題を出題して、回答や意見を求める対話機会を用意する。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト:筒井雄二・桑名俊徳 『実験心理学 -心理学の基礎知識- (改訂増補第3版)』 八千代出版
なお、参考図書は、授業時に適宜紹介する。