シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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教養演習Ⅰ | 2024 | 前期 | 月3 | 理工学部 | 木戸 繭子 | キド マユコ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SE-IF1-HB33
履修条件・関連科目等
文学をはじめとした文化全般・ポップカルチャーなどに興味を持っていること。
取り扱うテクストの原典はドイツ語ですが、基本的には日本語の翻訳を使用するので、ドイツ語未履修者でも受講できます。
教養演習は20人程度の参加人数をめどとして開講される少人数科目です。参加希望者が教員の想定する人数を超える場合には、初回授業において抽選ないし選抜を行うことがあります。そのため、初回授業には必ず出席してください。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
グリム兄弟による『子供と家庭のためのメルヒェン』、いわゆる『グリム童話』を読み解いていきます。
『グリム童話』がいかなる意図で収集され、出版され、書き換えられていったかということについては、歴史的な背景(たとえばロマン主義やナショナリズムの高揚、近代家族の成立など)を学ぶことなしに理解することはできません。この授業では、この童話集の成立にまつわる歴史的・文化的背景を学びながら、日本でもよく知られた童話を読んでいきます。まずは初版と最終版である第七版を比較検討しながら、これらの物語をどのように論理的に解釈していくか考えます。さらにこれらの物語がどのように受容され、再生産されてきたかを考えます。その際には、子供向けの本や映画なども参照します。
授業は演習形式で行われます。物語の解釈の基礎となるのは、的確に物語を要約する力です。まずは短い要約を書いてみることからはじめ、客観的な事実を参照しながら論理的な文章を書いていく訓練を行います。毎回の授業後に出される課題に取り組み、まとまった文章を書いてもらいます。その文章を次回の授業で他の履修生とともに添削、講評し、議論の土台とします。
科目目的
この授業は以下の点を目的とする。
・『グリム童話』というテクストの読解を通して、テクストの分析手法を学び、論理的な文章を書く力を身につけること
・取り上げるテクストの成立およびその受容や翻案の背景にある、歴史的、社会的、文化的事象についての知識を身に付け、現代の社会や文化について考察を深めるための土台とすること
到達目標
・物語を的確に要約することができるようになる。
・論理的な文章を書くことができるようになる。
・さまざまな客観的事実に基づいた自分の解釈・意見を構築することができるようになる。
・自分の意見を発表し、他の学生と論理的に議論することができるようになる。
・物語の背景にある、歴史的事実や文化的事象について学ぶ。
授業計画と内容
第1回 イントロダクションーグリム兄弟とグリム童話の成立背景
第2回 「カエルの王様」(1) あらすじと構造分析
第3回 「カエルの王様」(2) 解釈と議論
第4回 「カエルの王様」(3) 映画『プリンセスと魔法のキス』(2009年)
第5回 「オオカミと7匹の子ヤギ」(1) あらすじと構造分析
第6回 「オオカミと7匹の子ヤギ」(2) 解釈と議論(1)「母性」をめぐって
第7回 「オオカミと7匹の子ヤギ」(3) 解釈と議論(2)死と再生、擬人化
第8回 「ラプンツェル」(1) あらすじと構造分析
第9回 「ラプンツェル」(2) 解釈と議論
第10回 「ラプンツェル」(3) 映画『塔の上のラプンツェル』(2010年)
第11回 「シンデレラ」(1) あらすじと構造分析
第12回 「シンデレラ」(2) 解釈と議論
第13回 「シンデレラ」(3) 映画『シンデレラ』(1950年)他
第14回 まとめーグリム童話とその解釈をめぐって
※ただし、どの物語を扱うかなどについては、履修者の興味・関心によって変更される可能性がある。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業後は、授業の内容を復習し、課題に取り組むこと。
また、興味のある内容・分野について、参考文献等を読んで考えを深め、次回の授業の議論に貢献するための予習を行うこと。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 100 | 毎回の授業後の課題提出、授業中のディスカッションやグループワークへの積極的な参加、授業内課題への取り組み |
成績評価の方法・基準(備考)
出席率が70%に満たない者はE判定とする。
また、提出された課題等に盗用・剽窃がある場合もE判定とする。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
manaba上に課題を提出してもらい、授業中に参照したり、他の受講者の課題にコメントを記入して相互評価を行ったりする。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト:授業中に配布する
参考文献:
ヴィルヘルム・グリム、ヤーコプ・グリム(金田鬼一訳)『完訳グリム童話 1~5』岩波書店、1979年(岩波文庫 赤413-1~5)
ヴィルヘルム・グリム、ヤーコプ・グリム(関敬吾ほか訳)『完訳グリム童話 I~III』角川書店、1999年
ヴィルヘルム・グリム、ヤーコプ・グリム(吉原高志他訳)『初版グリム童話集1~5』白水社、2007~2008年(白水uブックス164~168)
シャルル・ペロー(新倉朗子訳)『完訳ペロー童話集』岩波書店、1982年(岩波文庫 赤513-1)
マックス・リュティ(小澤俊夫訳)『ヨーロッパの昔話 その形と本質』岩波書店、2017年(岩波文庫 白229-1)
アト・ド・フリース(山下主一郎他訳)『イメージ・シンボル事典』大修館書店、1984年
ミランダ・ブルース=ミットフォード(若桑みどり訳)『サイン・シンボル事典』三省堂、1997年
野口芳子『グリム童話のメタファー』2016年、勁草書房
上野千鶴子『家父長制と資本制』岩波書店、2009年(岩波学芸文庫 学術216)
河野真太郎『戦う姫、働く少女』堀之内出版、2017年(POSSE叢書003)
若桑みどり『お姫様とジェンダー』筑摩書店、2003年(ちくま新書415)
清水知子『ディズニーと動物 王国の魔法をとく』筑摩書房、2021年
吉原高志他『聞いて読む初版グリム童話集』白水社、2010年
三成美保他編『歴史を読み替える ジェンダーから見た世界史』大月書店、2014年
姫岡とし子『ヨーロッパの家族史』世界史リブレット117、山川出版社、2008年
石田勇治他編『ドイツ文化事典』丸善出版、2020年
その他、適宜授業中に紹介する。