シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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開発金融論 | 2024 | 前期 | 月5 | 経済学部 | 坂野 太一 | サカノ タイチ | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
EC-NE3-63XX
履修条件・関連科目等
基礎的な経済理論を踏まえて、開発金融にかかる政策を解説するので、「基礎ミクロ経済学」、「基礎マクロ経済学」を受講していると理解が進みやすいと思います。ただし、基礎的な経済理論の理解が必要な場合は、それを解説してから具体的な現象の解説に進むため、経済学的なバックグラウンド無しでも受講可能です。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
<学位授与方針と当該授業科目の関連>
この科目は、現実把握力(経済学の専門知識及び社会・人文・自然科学の知識教養に裏付けられた広い視野に立った柔軟な知性に基づき、現実の経済現象を的確に把握することができる)の修得に関わる科目です。
<概要>
本科目では、途上国/新興国における開発金融システムのデザインに関わる構造的な諸問題を理論的に解説するところから開始します。その後、それらの理論を基礎として、開発金融と深い関わりを持つ各課題に対して各国が実際に採用した政策を説明し、当該政策の効果を検討します。具体的には、開発金融に関連する基礎的な知識を解説した後、開発金融を理解する上で有益ないくつかのテーマについて実際の各国の事例を用いて検討するという形式をとります。そのため、できるだけの最新の事例を取り上げるようにするもののの、最新の事例は複合的な事例が多いため、多少古いシンプルな理解しやすい事例も含めます。また、途上国の事例とともに、日本国内で開発金融が果たした役割についても随時触れるとともに、講師が実際に関わりを持つ新興国/途上国における開発金融関連事例あるいは開発援助プロジェクトについても随時紹介します。
なお、Covid-19拡大以前より、途上国/新興国の多くでは、インフラへの投資が活発になる一方、その資金需要を満たすために借り入れが増加していました。さらに2020年から2024年にかけては、Covid-19対応の財政支出が拡大し、それに対する資金需要が高まったことから、現在深刻な債務危機に陥っている国が非常に増えています。それに加え、米国の金融引き締め、ロシアによるウクライナ侵攻他などによりインフレが各国で進み、貧困層へのインパクトが高まっています。さらに、気候変動対策が世界的な課題になり、新たな資金需要が発生しています。現在の世界はまさにこのような「複合危機」に直面しています。本科目では、一昨年度よりこのようなグローバルな課題と開発金融との関わりに多くの時間を割くようにしていますが、今年度もグローバルな課題と開発金融との関わりが増える予定です。
科目目的
グローバリゼーションが進む中、途上国/新興国経済開発において、適切な金融制度整備はますます重要な課題となっています。本科目では、途上国における公的部門(政府等)、民間部門(家計、農民、企業、銀行等)等の各アクターの資金調達とその利用という角度から、1990年代から2024年に至る途上国/新興国経済開発における金融の役割について可能な限り広いスコープで理解することを目的とします。
到達目標
上記の目的の達成のために、具体的には以下の目標を設定します。
(1)途上国/新興国の開発政策の中で金融政策が果たしてきた役割を、理論及び具体的な事例、さらに実際の影響について説明できる。
(2)途上国/新興国の民間部門(家計、農民、民間企業、銀行等)、公的部門(政府、政府系金融機関等)が、様々な意図を持って資金の調達と供給を進める過程を、当該国の開発の側面から説明できる。
(3)途上国/新興国の国レベルの開発において、必要資金の調達方法とその過程を説明できる。
(4)現代の途上国/新興国が直面している課題を、金融の側面から説明できる。
授業計画と内容
1.講義の概観
2.経済成長と金融の役割(1)輸入代替工業化と人為的低金利政策
3.経済成長と金融の役割(2)金融自由化論
4.開発金融の主要プレーヤーの行動(1)開発途上国/新興国における家計の資産選択
5.開発金融の主要プレーヤーの行動(2)開発途上国/新興国農村における金融問題
6.開発金融の主要プレーヤーの行動(3)開発途上国/新興国におけるマイクロ・ファイナンス
7.開発金融の主要プレーヤーの行動(4)開発途上国/新興国企業の資金調達
8.開発金融の主要プレーヤーの行動(5)開発途上国/新興国における民間銀行
9.開発金融の主要プレーヤーの行動(6)開発途上国/新興国における政策金融
10.経済開発における外国資金の役割(1)開発途上国/新興国における外国資金の展開
11.経済開発における外国資金の役割(2)開発途上国/新興国における対外債務問題の変遷
12.経済開発における外国資金の役割(3)開発途上国/新興国が現在直面する債務問題
13.経済開発における外国資金の役割(4)Development Goals等の地球規模の課題と開発金融
14.経済開発における開発金融の役割(総括・まとめ)
※都合により変更する場合もありますので予め了解願います。
※授業時間内の20分程度は確認問題や質疑応答などを実施する予定です。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
本講義は、途上国・新興国の経済開発を金融面から議論するものですが、グローバリゼーションが進むとともに各国がSDGsのような国際目標を共有する中、OECD諸国と途上国/新興国との繋がりは現在極めて密接となっています。OECD諸国の金融政策はしばしば新聞等に取り上げられており、それらがどのような意味を持つ政策であるかを考えることが、同時に途上国・新興国の金融政策を考える手掛かりとなります。講義でもOECD諸国の金融政策と途上国・新興国の金融政策の繋がりはしばしば扱われるので、日常的に新聞・web等で金融政策に関わる記事に関心を持ち、それを理解するよう心がけて下さい。毎回の小テストが実施できる場合は、その中で、事前知識として日常的な金融の話題についての理解度を問うこともあります。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 50 | 1)途上国・新興国の開発政策の中で金融政策が果たしてきた役割を、理論的、及び具体的な事例とその実際の影響について説明できるか。 (2)途上国・新興国の民間部門(家計、農民、民間企業、銀行等)、公的部門(政府、政府系金融機関等)が、様々な意図を持って資金の調達と供給を進める過程を、当該国の開発の側面から説明できるか。 (3)マクロレベルの途上国・新興国開発において、必要資金の調達方法とその過程を説明できるか。 (4)現代の途上国・新興国の開発における重要な諸点を、金融の側面から、さらに歴史的な経験を踏まえて説明できるか。 |
レポート | 40 | (1)毎回の授業冒頭の小テスト:前回授業の概要が理解されているか。(15%) (2)課題図書を理解し、途上国・新興国の問題に繋がる問題と捉え議論が展開できているか。なお、本レポートは6月上〜中旬の締切を想定(25%) |
平常点 | 10 | 授業への参加姿勢(質問、意見などの積極的な提出) |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う/その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
(1)授業冒頭の小テストについては、講義中に解説します。
(2)課題図書に関するレポートについては講評を付して返却します。
アクティブ・ラーニングの実施内容
その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
提出された小テスト及び課題図書に関するレポートに対して教員がリプライし、双方向の授業を展開します。
授業におけるICTの活用方法
タブレット端末/その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
・講義中での口頭での質疑を受ける他に、responを用いて質疑を受けます。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
・2017年4月以降現在まで国際協力機構(JICA)で国際協力専門員として財政・金融分野の支援全般に渡ってアドバイスを行なっています。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
・公開情報の範囲内で、国際協力機構が支援する事例及び国際機関が支援する事例を用い、開発金融の理論とそれに基づく具体例の様々な側面、及び二国間・多国間による開発金融分野の支援の考え方とその実際について講義します。
テキスト・参考文献等
・テキスト:授業の際にレジュメ等を配布します。
・レポート題材となる課題図書:小島庸平(2021)『サラ金の歴史-消費者金融と日本社会』 (中公新書 2634)(要入手)
・参考文献は下記の他、適宜紹介します。
服部正也(2009)『ルワンダ中央銀行総裁日記』[増補版] (中公新書 290)
日本銀行金融研究所編(2011)『日本銀行の機能と業務』
(本書は日本銀行のwebサイトよりダウンロード可能です。URLを参考URLの項目に記載しています。)
西野智彦(2019)『平成金融史-バブル崩壊からアベノミクスまで』 (中公新書 2541)
その他特記事項
・manabaを利用します。リマインダーを受け取ることができるように、電子メールアドレスを登録しておいてください。
・担当教員のメールアドレス staichi001o@g.chuo-u.ac.jp
参考URL
日本銀行金融研究所編(2011)「日本銀行の機能と業務」
https://www.imes.boj.or.jp/jp/historical/pf/pf_index.html