シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
演習1 | 2024 | 通年 | 火5 | 経済学部 | 山﨑 朗 | ヤマサキ アキラ | 2年次のみ | 4 |
科目ナンバー
EC-OM2-01XS
履修条件・関連科目等
<選考方法>
事前課題:「地域創生のデザイン①~⑥」(やさしい経済学)『日本経済新聞』2017年6月23日~30日朝刊を読んで感想をA4で1枚(1,200字)にまとめ、11月20日17時までにmanabaに提出のこと。
面接:面接選考。面接日前日までに、履歴(高校から記載、アルバイトやクラブ活動なども記載)、資格や語学スコア、自己アピール、山﨑ゼミ志望理由をA4で1枚にまとめて、manabaに事前に提出すること。
<履修条件>
毎回きちんと出席できること。産業や地域経済に関心を持っていること。ゼミに積極的に参加して発言すること。テキストブックを事前にしっかりと読めること。
<並行して履修することが望ましい関連科目>
・産業構造論
・中小企業論
・交通経済論
・農業経済論
・空間経済学
・先端産業論
・産業組織論
・キャリアデザイン(中小企業診断士講座)
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
<学位授与方針と当該授業科目の関連>
この科目は、協調性及び自己管理力(専門知識を活かせるだけでなく、チームワークの経験から学んで、他人と協調し、自己を管理することができる)の修得に関わる科目です。また、批判的な考察力および創造的思考力(総合的な学習体験に基づいて、ものごとを創造的に思考することができる)の修得に関わる科目です。
<概要>
テーマ:地域創生のデザイン
2008年から日本の人口は減少しています。2008年以前から人口減少している地域も少なくありません。コロナ禍とリモートワークの普及により、東京圏(1都3県)の人口も2022年に減少に転じました。人口減少、少子化、高齢化、単身世帯化が進展していく未来において、地域をいかにリ・デザインしていくのかが問われています。
山﨑ゼミでは、人口減少に対応した地域のデザイン(コンパクト化、シュリンキング)および地域の発展の戦略となる地域のグローバル化、地域のプレミアム化およびイノベーション促進による地域の活性化策について学習します。とくに、逆6次産業化、新しい公共、地域資源の活用、土地利用の転換、国土の末端地域の先端化、バイオマス・太陽光発電、地域イノベーション政策、産業クラスター、地域のグローバル化、地域のプレミアム化を取り上げます。
テキスト、参考文献をてがかりにしながら、地域のグローバル化について各自、関心のあるテーマを設定し、自主的な研究を行います。また、全員でゼミ合宿に行きます。これまでに、北海道札幌市、京都市、福岡市、長崎県の五島列島の宇久島、佐賀県武雄市、宮崎市、鹿児島県の奄美大島、沖縄県の那覇・石垣島・宮古島、北海道東川町などで調査を実施しています。調査先については、ゼミ生の研究内容や関心と希望をもとに決定します。2022年度は福岡市、2023年度は北海道東川町を調査対象地域としました。
ゼミ内における研究成果は、経済学部のプレゼン大会や学外のプレゼン大会での発表、懸賞論文やビジネスコンテスなどへの応募という形で社会に公開していきます。これまでに経済学部のプレゼン大会優勝、JCCA(日本建設コンサルタンツ)の懸賞論文で優秀賞、観光についての懸賞論文であるタップアワード学生賞、みずほ学術財団の懸賞論文で佳作、野村総合研究所(NRI)学生小論文コンテストで佳作、九州運輸振興センターの懸賞論文で優秀賞、中央大学学員会会長賞、中央大学渋谷賞受賞などの成果が出ています。
科目目的
日本の人口減少、高齢化にともなう地域問題、それらの問題に対処するための地域のグローバル化、地域のプレミアム化、地域イノベーションについて理解を深めることを目的としています。
人口減少時代における新しい地域政策について、具体的には、①低密度居住地区からの「撤退(スマートシュリンキング)および耕作放棄地の自然再生や廃店舗・空き家のコンバージョン、②地域のグローバリゼーション(第三級世界都市・小さな世界都市・グローバル農村、地方の港湾空港の国際化、インバウンド、クルーズ船、留学生など)、③大規模化による国際競争力の強化、農林水産物・食品の輸出、海外の農林水産物・食品の輸入代替、④半導体、医療機器、医薬品、航空宇宙産業の地域的発展戦略(産業クラスター戦略と地域イノベーション政策)、⑤地域のポテンシャルをマックスにするための「プレミアム戦略」があります。⑤の「プレミアム戦略」については、演習2で取り上げる予定ですが、必要に応じて、議論の対象としたいと思います。
地域イノベーションについては、スマートシティ計画の中核施設で、アクセンチュア、日本マイクロソフト、フィリップスジャパンなどの企業の研究・開発者約300人が入居した福島県会津市のAiCTについて福島県庁の職員から直接お話を聞くことも考えています。
国土交通省の国土審議会等や内閣府において、人口減少時代の国土ビジョンや地方創生策について報告書等が作成されていますので、それらの政策レポート等についても適宜使用します。ダウンロードできますので、報告書や白書の購入の必要はありません。
地方創生については地理学、政治学、社会学、農業経済学、財政学、交通経済学などの多様な分野の研究者やコンサルタンツによる評論が書かれています。東洋経済ONLINE、ダイヤモンドONLINEなど、ネットで入手できる評論については随時紹介しますので、読んでください。新しい変化に対応する地域経済の動向を知るということも本科目の目的の一つとなっています。
到達目標
・地方創生や地域創生の課題、政策手段、目的について理解すること。
・自分で統計データや論文、評論等を探し、データの加工および論文執筆ができるようになること<できるだけ懸賞論文に応募してもらいます>。
・本科目の基礎となるのは、空間経済学、中小企業論、交通経済論、産業構造論、地理学です。これらの基礎的知識を総動員することによって、地域の課題を具体的に明らかにし、処方箋を提言することができるようになります。関連する科目で指定した科目についてもしっかりと勉強して、ゼミでの学習に応用するように努めてください。
・最新の動向は、やはりニュースに依存することになります。たとえば、2022年のビッグニュースとしてはNTTが勤務地を自由に選べる制度へ移行するというニュースがありました。このようなニュースについて、適宜ゼミでも取り上げ、議論の対象とします。
・そのためには、ネットでも構いませんが、日本経済新聞に毎日目を通すようにしておいてください。
・地域経済、立地論、都市システム、地方創生などの分野においては、経済学で使用するキーワードに加え、独自の領域のキーワードを使用します(都市システム、産業クラスター、コンパクトシティ、逆都市化など)。それらのキーワードについては必ずネットで検索して理解を深めておいてください。この地道な努力を怠ると演習2の議論についていけなくなる可能性があります。
授業計画と内容
【演習1】(2年次)
山﨑朗編著『地域創生のデザイン』中央経済社、2015年、第5刷をゼミテキストとします。
演習1では、人口減少時代における都市や地域の捉え方(たとえば一般的には使用されないメッシュ単位(1㎢)での地域分析など)や、逆6次産業化、新しい公共の出現と機能、CSRとCSVと地域創生の関連性、地域資源の活用、耕作放棄地や廃校などの土地利用の転換、北海道、日本海側地域、九州、沖縄などの国土の末端地域の先端化、バイオマス・太陽光発電、地域イノベーション政策、産業クラスター、地域のグローバル化を取り上げます。
演習参加者は、各自、興味のあるテーマを選び、レポートを作成します。テーマが合致する場合には、懸賞論文への応募を行います。
現時点(ゼミ生のみなさんとの協議でゼミで取り扱うテーマは変更になる可能性があります)では以下のようなゼミ構成となる予定です。
1.ゼミの運営方法、ゼミ長の選任、ゼミ合宿の候補地の選定、名簿作成等を行います。
2.テキスト『地域創生のデザイン』の第一章をもとに議論を行います。
3.テキストの第一章のなかでできてくる「新しい公共」について各自調べて、発表します。
4.マイケル・ポーターの社会的共通価値(CSV)に関する論文を輪読します。どの論文を選ぶかについては、こちらで決めたいと思います。
5.国土審議会国土の長期展望委員会の最終報告(PDFファイル)をもとに、国土の将来について議論します。各自、ダウンロードしておいてください。
6.マイケル・ポーターの産業クラスター論についての論文または著書を読みます。どの論文にするかはこちらで決めますが、1回目のゼミの際に指示しますので、各自入手しておいてください。
7.テキスト『地域創生のデザイン』の第2章「官民一体で挑む武雄市の地域創生」をもとに議論します。この章は、現職の武雄市長による執筆です。市長からPPTを送っていただきましたので、ゼミの際に映写します。
8.テキスト『地域創生のデザイン』の第3章「『グローバル創業都市福岡』を目指して」をもとに議論します。本章の執筆者の久保さんからもPPTを送っていただきました。また、福岡市の武藤課長からも特別にPDFファイルをいただきましたので、こちらも映写します。
9.福岡市の事例を参考にして、札幌、仙台、広島、岡山、高松、金沢などの都市の地域特性について、分担して調べて、発表します。都市の面積、交通、産業、人口について調べてください。
10.テキスト『地域創生のデザイン』の第4章「医療機器産業による福島復興」をもとに議論をします。事前に読んでおいてください。
11.医療機器産業、医薬品産業の地理的分布について、厚生労働省の統計をもとに議論します。
12.テキスト『地域創生のデザイン』の第5章「光産業を支える光産業創生大学院大学」をもとに議論します。
13.地方の大学の戦略について、各人で調べた内容を報告してもらいます。
14.テキスト『地域創生のデザイン』の第6章「中部圏における航空宇宙産業クラスターの創出」をもとに議論します。
15.山﨑朗編著『クラスター戦略』有斐閣をもとに産業クラスター計画等について解説します。
16.テキスト『地域創生のデザイン』の第7章「環境モデル都市・飯田におけるエネルギーの自立戦略」をもとに議論します。
17.エネルギーの地産地消について、各自で調べた内容を発表してもらいます。
18.懸賞論文およびビジネスプランコンテストの参加について検討します。
19.テキスト『地域創生のデザイン』の第8章「北海道における新しい地域創生」をもとに議論します。
20.北海道における新しい地域創生について、近年の新しい動向について解説します。
21.北海道の東川町とコンタクトを取っていますので、北海道で人口増加率1位となった東川町の地域戦略について解説します。 東川町で大人の学校であるフォルケフォイスコーレを運営している地域おこし協力隊の方のお話を聞くかもしれません。
22.テキスト『地域創生のデザイン』の第9章「新結合によるコミュニティ産業の創出」について議論します。
23.テキストの9章を参考にして、都市型農業の再編および都市内農地問題について議論します。
24.就職希望先リストの最新版を発表してもらいます。必要となる資格、インターンシップ体験、公務員試験対策などについて指導します。
25.テキスト『地域創生のデザイン』の10章「本社機能の地方移転」をもとに議論を行います。
26.10章を参考にして、その後の本社機能の移転の動向について説明します。
27.自主学習の成果報告の書き方、まとめ方、テーマ設定、参考文献検索について指導します。
28.成果報告の内容について、PPTで報告してもらいます。残りの時間で、次年度の演習の進め方および合宿、プレゼン大会や懸賞論文、ビジネスプランコンテスト参加について話し合います。
【演習2】(3年次)<変更の可能性があります>
1.テキスト『プレミアム地域創生』の第1章「なぜいま地域創生のプレミアム戦略なのか」を基に議論します。
2.テキストの第1章のケースを参考にして、各自でプレミアムな地域創生について調べ、その結果を報告し、全体討議をします。
3.テキスト第2章「地域創生につながるプレミアム・マーケティング」を基に議論します。
4.テキストの第2章をのケースを参考にして、各自で各地のプレミアム工芸品を検索し、そのブランド価値の特徴について全体討議をします。
5.テキスト第3章「ななつ星に続け」を基に議論します。
6.テキスト第3章のケースを基に、各自で地方のD&S列車を調べ、その特徴と課題について全体討議をします。
7.テキスト第4章「公共空間の再生を通じた東京のプレミアム化」を基に議論します。
8.テキストの第4章を参考にしながら、世界都市東京の課題について全体討議します。
9.テキスト第5章「観光のプレミアム戦略」をともに議論します。
10.B級観光、ゼロドルツーリズム、観光公害についての記事を取り上げ、望ましい観光戦略のあり方について全体討議を行います。
11.テキスト第6章「第4次産業革命をプレミアム革命に」をともに議論します。
12.技術革新と地方創生について、リープフロッギングと関連づけながら、全体討議を行います。
13.テキスト第7章「日本酒と焼酎のプレミアム化への挑戦」をもとに議論します。
14.日本酒の高級化、輸出増加について、統計データをもとに各自で調べ、全体討議を行います。
15.各地で生産が活発化しているローカルウィスキーについて各自で調べてたうえで、全体討議を行います。
16.テキスト第8章「市民が進める「まちなか」のプレミアム化」をともに議論します。
17.新しい公共について各自で調べ、新しい公共の役割と機能について全体討議をします。
18.テキスト第9章「里山・里海を守れ!」をもとに議論します。
19.日本の過疎対策について解説し、それをもとに全体討議を行います。
20.テキスト第10章「グローカル教育のプレミアム戦略」をもとに議論します。
21.各自で各地の新しい教育機関を調べたうえで、それらについて発表し、全体討議をします。
22.東川町のフォルケフォイスコーレについて調べ、全体討議を行います。
23.東川町でフォルケフォイスコーレを実施している地域おこし協力隊の話を聞き、議論します。日程は前後する可能性があります。
24.テキスト第11章「プレミアム地域創生の実現に向けて」をもとに議論を行います。
25.各自で応募可能な懸賞論文を探し、懸賞論文のテーマを決定します。
26.懸賞論文の章立て、節立て、キーワード、参考文献について議論します。
27.ゼミ合宿の調査先について検討を行います。
28.ゼミ合宿先での調査内容、ヒヤリング先について決定します。ゼミ合宿の検討については日程は前後する可能性があります。
【演習3】(4年次)
1.卒業論文のテーマ設定について討論します。
2.卒業論文のタイトルを決定します。
3.卒業論文の章立て、節立て、キーワード、参考文献を決定します。
4.卒業論文の第1章について各自に報告してもらいます。
5.卒業論文の第2章について各自に報告してもらいます。
6.卒業論文の第3章について各自に報告してもらいます。
7.関連する分野の外部講師の話を聞きます。日程は前後する可能性があります。
8.卒業論文の第4章について各自に報告してもらいます。
9.懸賞論文について各自で検索し、卒業論文に関連する分野の公募があれば、応募に向けての指導を行います。
10.卒業論文の全体像について各自に報告してもらいます。
11.卒業論文に関連する地域のヒヤリングについて、ゼミ合宿またはオンラインによる調査を実施することについて討論します。
12.ヒヤリングの内容、方法についえ全体討議を行います。
13.卒業論文について2回に分けて報告会を行います。PPTを使用してください。2年生と3年生も参加しますので、しっかい準備してください。
14.卒業論文の報告会の第二回を実施します。PPTを使用してください。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
指定されたテキストや資料は事前に読んでおいてください。
授業終了後の課題や夏休み、冬休み、春休みの課題に取り組んでください。
また、懸賞論文に応募しますので、各自あるいはグループで授業終了後に取り組んでください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
レポート | 20 | 夏休みと冬休みに課題レポートを書いてもらいます。それぞれ10点分となります。 |
平常点 | 80 | 単に出席するだけでなく、積極的にディスカッションに参加し、PPTによるプレゼンなども評価の対象となります。懸賞論文については、テーマが合致しない可能性もありますので、とくに成績には反映しません。 |
成績評価の方法・基準(備考)
演習の参加度(発表、質問等)およびパワーポイントによる発表と1,200字のゼミレポート2回をもとに総合的に評価する。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
懸賞論文等の作成過程において、アドバイスを必要とする場合には、メールでのやり取りを行いますので、いつでもメールしてください。
レポートについても、演習中にフィードバックを行います。また、懸賞論文の構成等の相談はwebexで行います。
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション/実習、フィールドワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
タブレット端末/その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
メールおよびWEBEXでの双方向のミーティングを中心に行いますが、manabaのレスポンも活用します。詳細情報はmanabaに掲示しますので、アクセスしてください。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
中央省庁や地方自治体職員などの政策担当者との交流会を行うことを考えています。多摩キャンパスにお呼びできない場合には、官庁や公社・公団などを訪問、またはオンラインで懇談することになります。その際には、失礼にならないように服装等に気をつかってください。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト
山崎朗編著『地域創生のデザイン』中央経済社 、2015年
参考書
1.山崎朗他著『地域政策 改訂版』中央経済社、2023年
2.山崎朗・久保隆行『インバウンド地方創生』ディスカバー・トウェンティワン、2015年
3.山崎朗・久保隆行『東京飛ばしの地方創生』時事通信社、2016年
4.山﨑朗・鍋山徹編著『地域創生のプレミアム戦略』中央経済社、2017年
5.山﨑朗編著『地域産業のイノベーションシステム』学芸出版社、2019年
その他特記事項
『日本経済新聞』や『ダイヤモンドONLINE』、『東洋経済ONLINE』の関連する記事を読んでください。
参考URL
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/kaisai.html