科目ナンバー

SE-OC1-SN06

履修条件・関連科目等

全学年対象。特に履修上の条件はない。産業科学技術演習Aも併せて履修することを勧める。

授業で使用する言語

日本語

授業で使用する言語（その他の言語）

授業の概要

　科学技術の急速な進歩は、私たちのライフスタイルやビジネスの方法・社会のあり方の劇的な変化を引き起こしています。その一方で、気候変動などの地球規模での自然環境の変化も、私たちの環境に対する今までの考え方の是非を問いかけています。私たちは、将来の暮らし・ビジネス・社会をどのようにデザインしていく必要があるのでしょうか？
　SDGs（Sustainable Development Goals：持続可能な開発目標）は、全ての人類が発展を遂げながら生存を続けられることを目指して、国連で採択された17の目標です。これは、人類の「ありたい未来・あるべき未来」を表現したものともいえます。また、これは日本政府が提唱している未来社会のイメージ Society 5.0 とも対応しています。しかし、これらの課題をよく見ると、一つのアイデア・技術だけでは目標の実現は難しく、様々な分野・アプローチの取り組みを総合して進める必要があることもわかります。
　本講義では、日本を代表する企業・グローバルに活躍する企業の方々をお招きし、企業として、また、その一員として、どのような未来社会を築きたいと考え、ダイバーシティ（多様性）を生かすために男女共同参画など「G5: ジェンダー平等を実現」しつつ、どのように取り組みを進め、SDGsにも貢献しているのかをご紹介いただきます。
　また、そのようなトップ企業が、SDGsやSociety 5.0をどのように理解している人材を必要としているかもご紹介いただきます。

(参考)　 SDGsの17課題：
G1: 貧困をなくそう
G2: 飢餓をゼロに
G3: すべての人に健康と福祉を
G4: 質の高い教育をみんなに
G5: ジェンダー平等を実現しよう
G6: 安全な水とトイレを世界中に
G7: エネルギーをみんなにそしてクリーンに
G8: 働きがいも経済成長も
G9: 産業と技術革新の基盤を作ろう
G10: 人や国の不平等をなくそう
G11: 住み続けられるまちづくりを
G12: つくる責任つかう責任
G13: 気候変動に具体的な対策を
G14: 海の豊かさを守ろう
G15: 陸の豊かさも守ろう
G16 平和と公正をすべての人に
G17: パートナーシップで目標を達成しよう

科目目的

　ダイバーシティ推進・SDGs達成に先進的に取り組む企業が、どのような未来社会を築きたいと考え、ダイバーシティ（多様性）を生かすために男女共同参画など「G5: ジェンダー平等を実現」しつつ、どのように取り組みを進め、SDGsにも貢献しているのかを理解する。
　また、そのようなトップ企業が、SDGsやSociety 5.0をどのように理解している人材を必要としているかも理解し、自らのキャリア形成に活用できる知見を得る。

到達目標

[社会的責任の観点]
(1) 日本を代表する企業やグローバル企業が、どのような未来社会を実現する必要があると考えているか、その背景となる課題認識のロジックを理解する。
(2) 目標とする未来社会を実現するために、企業・その一員は、どのようなアプローチで実現を図ろうとしているか、課題解決の道筋のロジックを理解する。
(3) 課題解決の道筋が、SDGsの諸課題とどのように関連しているかを理解する。

[科学技術的観点]
(1) 目標とする未来社会を実現するために、どのような具体的な技術開発・製品開発・サービス開発・ビジネス開発が行われているか、開発の概要を理解する。
(2) SDGsの課題を解決するために、様々なアイデア・技術・知識が、科学技術分野の違いを超えてどのように組み合わされて取り組まれているかを理解する。
(3) 大学で学ぶ知識が、SDGsの課題解決の過程で、どのように利用・応用されているかを理解する。

[ダイバーシティ（男女共同参画）・キャリアデザイン的観点]
(1) 産業界で活躍する技術者・研究者・企画担当者などのロールモデルに接することを通して、具体的なキャリアパスを理解する。
(2) 企業の中での仕事が、どのような専門性を持った人々との協力のもとに進められているのかを理解する
(3) ダイバーシティ社会・男女共同参画社会を実現するために、「G5 ジェンダー平等を実現しよう」を追求しつつ、どのように取り組みを進める必要があるかを理解する。

授業計画と内容

　2023年度より、各社ごとに、前期の集中講義形式で実施する。主として夏休み期間中に実施の予定である。

第1回　ガイダンス＋ミニ講演会
　ガイダンスと共に、ダイバーシティやSDGsに関する基礎的な理解のためのミニ講演会を実施します。

第2回～第5回【担当企業：IBM】
「地域社会における企業市民としての責任」（日本IBM）
　世界をより良い場所にしようと活動している企業はたくさんあります。それらの企業の国内の問題や世界の問題に対する取り組みを、ばらばらではなく、協力して進められるようにするための旗振り役が必要です。
　このような旗振り役として、IBMはグローバルに展開して活動してきており、例えば、日本の「高齢化社会の課題」での知見を他国の課題解決に活用したり、他国での知見を日本の課題解決に活用したりすることに取組んでいます。また、日本経済新聞社と日経BPの女性誌「日経ウーマン」による2020年「女性が活躍する会社ベスト100」では日本IBMは1位になりました。
　IBMで働く4名からそれぞれの専門分野について紹介を行い、SDGsへの考え方や取り組みについてお伝えしていきます。
『IBMの紹介＆企業における情報共有 ～AIで進化するデジタル環境～』
『Intellectual Property strategy in IBM（IBMの知的財産戦略）』
『IBMの最新の研究紹介と，グローバル企業の研究開発職のホンネ』
『サイバー攻撃から世界を守る! IBMの取り組みとセキュリティアナリストのお仕事』

第6回～第9回【担当企業：NEC】
「できたらすごいを社会に創る。」（NEC）
　近未来の状況は、「連鎖する資源・環境問題、持続可能な都市の模索、この力の向上と価値観の変容、パワーバランスの変動、テクノロジーの指数関数的進化、多様化する脅威と安全安心ニーズ」というグローバル・メガトレンドとして捉えることができます。
　生体認証、AI、5Gなど、デジタルの力が貢献できる範囲は、日に日に大きくなっています。しかし、このような技術の応用による解決策は構想するだけでなく、世の中へ実装し、すべての人に価値を体感してもらうことが重要です。構想から実装へ。共に明るい未来を描き、カタチにしていきましょう。
　NECは、「気づき、仲間づくり、価値づくり」というプロセスで、できたらすごいを社会に創り出すことを通じて、一人ひとりができることを今よりもっと広げていきます。
　このような取り組みが、SDGsの「Ｇ3 すべての人に健康と福祉を、G4 質の高い教育をみんなに、G5 ジェンダー平等を実現しよう、Ｇ10 人や国の不平等をなくそう、Ｇ13 気候変動の具体的な対策を」への貢献にどう結びついているかを紹介します。
「企業で輝くために」
「地球温暖化の予測 ―スーパーコンピュータの技術者としてー」
「人工知能、バイオメトリクスと持続可能な社会」
「ITを活用した授業スタイルの変革」

第10回～第13回【担当企業：三菱食品】
「食のビジネスを通じて持続可能な社会の実現に貢献する」（三菱食品）
　地球環境の保護を含む社会課題の解決と、持続可能な社会の実現に貢献することで、企業活動に係る全ての人々の人生を豊かにしていきます。人権及び多様な価値観・個性を尊重します。社員の健康、安全で快適な労働環境の実現、多様な働き方を尊重することで、ワークとライフの充実と個人の能力開発を促進します。国際ルールや関連する法令を遵守するとともに、公正で透明な企業統治を行います。ステークホルダーとの対話を積極的に行うとともに、企業情報を適時・適切に開示します。生活の基盤となる食のライフラインを担う企業として、食の安全・安心・安定供給を常に維持するため、社会や環境を意識したサプライチェーンを構築します。日本や世界各地域の豊かな食文化を育むことを通じて、全ての人が健康に暮らせる環境づくりに貢献します。
　このような取り組みの中で、例えば「G5 ジェンダー平等を実現しよう、G8 働きがいも経済成長も、G9 産業と技術革新の基盤をつくろう、G17 パートナーシップで目標を達成しよう」の課題にどう貢献していくかを紹介します。

第14回　まとめ、補習、レポート提出など

（注：担当企業の都合により内容が変更となることがあります。）

授業時間外の学修の内容

授業終了後の課題提出

授業時間外の学修の内容（その他の内容等）

授業内容を踏まえ、各自レポート課題に必ず取り組むこと。

授業時間外の学修に必要な時間数／週

・毎週１回の授業が半期（前期または後期）または通年で完結するもの。１週間あたり４時間の学修を基本とします。
・毎週２回の授業が半期（前期または後期）で完結するもの。１週間あたり８時間の学修を基本とします。

成績評価の方法・基準

成績評価の方法・基準（備考）

担当各社から出されるレポート課題と平常点を総合して評価する。
できるだけ毎回出席して授業参加することを期待していますが、必ずしも、出席回数（感想・質問の提出回数）やレポート提出回数で、足切りをするわけではありません。

課題や試験のフィードバック方法

授業時間内で講評・解説の時間を設ける／授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う／その他

課題や試験のフィードバック方法（その他の内容等）

企業の皆さんの利便性も合わせて考えて、manabaとともに、他の情報共有・コミュニケーションのためのアプリを使ってフィードバックを返す場合もあります。

アクティブ・ラーニングの実施内容

その他

アクティブ・ラーニングの実施内容（その他の内容等）

　本科目は講義科目ですが、各回の話題・ご担当の方の進め方により、講義中に一部で「グループで意見交換」を行う場合もあります。

授業におけるICTの活用方法

クリッカー／タブレット端末／その他

授業におけるICTの活用方法（その他の内容等）

　オンライン授業の場合、オンライン会議のプラットホーム CISCO Webex meetings（中央大学の標準的なプラットホーム）を用いて実施する予定なので、PC、タブレット端末、スマホなどで、授業に参加してください。（注：タブレット端末やスマホでは、オンライン会議で使える機能に制限があるため、可能であれば、PCでの授業参加を推奨します。）
　授業中には、Webex meetingsのBreak out sessionの機能を用いて、グループワーク（グループに分かれて意見交換）をする場合もあります。
　各回の授業の話題・概要は、1週間前をめどにmanaba等でお知らせします。また、授業の資料は、manabaを利用して当日までに掲示します。また、課題の提出、感想・質問の提出にはmanabaを利用します。
　授業の記録映像（録画）をとるかどうかは、各社の担当の方の判断にお任せしています。記録映像がある場合でも、その視聴は、中央大学の Google drive を用いて、学内限定・受講生限定です。

実務経験のある教員による授業

はい

【実務経験有の場合】実務経験の内容

本科目の担当教員全員が、企業で、研究者・技術者・企画・人事などの業務を担当されている方々で、兼任教員としてご出講戴きます。

【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容

企業で、研究者・技術者・企画・人事などの業務と、SDGs実現やダイバーシティ推進をどう結び付けて取り組んでいるかなどをお話しいただきます。

テキスト・参考文献等

SDGsに関する基礎知識：
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
https://www.un.org/sustainabledevelopment/ （英語）
https://www.un.org/sustainabledevelopment/sustainable-development-goals/ （英語）
Society 5.0に関する基礎知識：
https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html
男女共同参画に関する基礎知識：
http://www.gender.go.jp/about_danjo/society/index.html

その他特記事項

授業の初回には、ガイダンスと共に外部講師をお招きして、SDGsに関する基礎的な理解のためのミニ講演会を実施します。
　本科目は「産業キャリア教育プログラム」の一環として実施する。同プログラムの規定の単位数を修得すれば、通常の成績証明とは別に、同プログラムを修得した証明書Certificateを発行する。

参考URL