シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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離散数学2 | 2024 | 後期 | 火5 | 理工学部 | 酒折 文武 | サカオリ フミタケ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SE-AN1-1B02
履修条件・関連科目等
離散数学1の履修と、高等学校での確率に関する知識を前提とする。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本科目では、グラフ理論, 確率, 離散型確率変数といった、離散数学の中のいくつかのトピックの基礎を、具体例を豊富に用いながら学んでいく。具体的には以下のようなことを学ぶ。
グラフ理論
グラフについての基本的な定義と概念について学ぶ。とくに、オイラー道、ハミルトン道の存在や、グラフの平面性などについて調べる方法を学ぶ。また、彩色グラフや木などについて基本的な定理を学習する。
確率
事象に関する定義や性質を再確認する。その上で、標本空間、事象空間について数学的にきちんと学習する。そして、確率には様々な定義があることを学び、その中でとくに測度論による確率の定義を学習する。
さらに、条件付き確率や独立性、ベイズの定理など、確率に関する重要な性質を学ぶ。
離散型確率変数
確率変数の定義を学び、とくに離散確率変数について詳しく学習する。離散確率変数の期待値と分散の定義、そしてその計算法について学ぶ。さらに、具体的な離散確率分布の性質と確率の計算法、平均や分散などモーメントの計算方法についても学習する。
授業は前期同様, 教科書代わりの配布資料に基づいて行われる。配布資料にはほぼ証明や計算過程は記されていないので、板書(動画)でそれらを説明しながら進める。オンライン授業となる場合は、ただ動画を垂れ流してみるだけでなく、手元でメモを同じように取りながら、理解を進めていってほしい。
科目目的
離散数学は、有限で離散的な構造を研究対象とする数学である。離散数学の範疇に含まれる分野は多岐に渡るが、その一方で、 「離散数学」と謳っている書籍のカバーする範囲は書籍によってかなり異なり、どこまでが離散数学の範疇と言えるのかはまちまちである。無限で連続的な構造を主な研究対象とする他の数学とは考え方が異なる部分も少なくない。
離散数学の各分野はデータサイエンスや計算機科学---すなわち情報・計算の基礎理論やコンピュータ上への実装に関する研究分野---の基礎をなすもので、高度情報化社会・AI時代にあって非常に重要性が増してきている。
離散数学2では、
・グラフ理論
・確率論
の2つの分野を入門的に扱う。どちらも離散数学の中核をなす重要な分野である。確率論は2年次以降の「統計数学」などにも繋がる。授業では適宜、データサイエンス・計算機科学での応用事例も紹介する。理論的基礎を身につけるとともに、必要な場面で活用できるようになることも目指す。
到達目標
具体的には、以下が皆さんの到達目標である。
・グラフ理論の基礎を理解し、それを用いて具体的な問題を解決できる。
・確率について様々な定義があることと、とくに測度論に基づく確率の定義を理解する。
・条件付き確率やベイズの定理などを理解し、自由に確率の計算ができる。
・離散確率変数の基本的な分布について、確率やモーメントの計算を行うことができる。
非常に奥が深く幅広い学問分野を短時間で扱うので、いくつかの性質は証明せずに紹介のみに留める。興味を持ったら、各自で調べて学びを深めることを期待している。大学の学習は「習ったか習っていないか」ではなく、自分で積極的に学んだかが重要である。
授業期間中随時、そして半期が終了した時に上の到達目標を振り返り、自分の理解度・達成度の自己評価に役立ててほしい。
授業計画と内容
第1回(対面)ガイダンス、グラフとは、道、連結
第2回(オンデマンド)隣接行列、オイラーグラフ、ハミルトングラフ
第3回(オンデマンド)平面グラフと領域、双対グラフ、オイラーの公式
第4回(オンデマンド) グラフの彩色、頂点の彩色、彩色数に関する定理
第5回(対面) ここまでのまとめ
第6回(オンデマンド) 木、全域木
第7回(対面)中間到達度確認
第8回(オンデマンド)事象、事象空間、確率の定義
第9回(オンデマンド)公理主義的確率
第10回(オンデマンド)条件付き確率、全確率の公式
第11回(オンデマンド)ベイズの定理、離散確率変数、確率関数、累積分布関数
第12回(対面)ここまでのまとめ
第13回(オンデマンド)期待値、分散、ベルヌーイ分布、二項分布
第14回(対面)幾何分布、ポアソン分布、確率母関数
第14回(対面)到達度確認
オンデマンド授業の回については、特設ウェブサイトにて100分の授業相当の動画や解説を行う。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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中間試験 | 40 | グラフ理論に関する各概念の基礎的な理解と、その応用力を問う。 |
期末試験(到達度確認) | 40 | 確率と確率変数に関する各概念の基礎的な理解と、その応用力を問う。 |
平常点 | 20 | 簡単な演習問題やミニッツペーパーにより、基礎的な概念の理解を問う。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
リアルタイムでの質問時間に補足や解説を行う。また、manaba での議論やフィードバックを行う。
アクティブ・ラーニングの実施内容
その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
計算演習を行なう。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト:特に指定しない
参考書:リプシュッツ「離散数学―コンピュータサイエンスの基礎数学」オーム社 1995 ¥2,916
講義資料を適宜配布する。
その他特記事項
講義内容や評価方法の詳細は第1回の講義内で説明する。授業に関する連絡や重要情報等は manaba に掲載するので、適宜確認すること。
参考URL
E-mail: sakaori@math.chuo-u.ac.jp