シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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防災工学 | 2024 | 前期 | 月4 | 理工学部 | 目黒 公郎 | メグロ キミロウ | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SE-SS3-3C10
履修条件・関連科目等
前提となる知識は特に要求しない。ただし、真剣にものを考える姿勢で受講すること。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本講義では、各種の自然の脅威(ハザード)によって生じる様々な現象を理解するとともに、それらが社会に与える負の影響(障害・被害)を最小限に抑えるためのハードとソフト対策、さらに発災時のタイミングを有効活用した「より良い復興(Build Back Better)」を実現する総合的災害管理について学ぶ。また防災の担い手である「自助・共助・公助」の関係と今後の在り方についても学ぶ。
また担当講師である目黒がこの講義の受講者に期待することは、防災工学の基本的な用語や知識を身につけることは当然として、将来確実にやってくる地震をはじめとする巨大ハザードから、自分と自分の最も大切なものを守る術を一緒に考えること、そしてエンジニアとしての重い責任を認識することである。
科目目的
適切な防災対策の立案と実施において最も重要な「災害イマジネーション」を身につけること。「災害イマジネーション」とは、ハザードと対象地域の地域特性(自然環境特性と社会環境特性から構成)と発災時の条件(季節や天候、曜日や時刻)を踏まえた上で、発災からの時間経過に基づいて、自分の周りで発生する状況を正しく想像する能力。この能力が最も重要な理由は、人間は自分が想像できないことに対して、適切に備えたり、対応したりすることは絶対にできないためである。
加えて、少子高齢人口減少、財政的な制約が厳しくなっていく中での今後の災害対策のあり方について理解する。
到達目標
講義の目標は、防災工学の基本的な知識を身につけることは当然として、以下の点を自覚すること。
エンジニアである自分達が「社会施設の性能を決めている」事実、その施設を自分や自分の家族をはじめとする多くの人々が毎日使い、運が悪ければ、性能の悪い施設を利用している時間帯に各種の災害が襲い、被害に遭ってしまうこと。自分達が構造計算し、設計・施工し、維持管理している構造物や施設が壊れて人を殺し、傷つけてしまうこと。自分の最も大切なものが自分達の手による施設や構造物の被害によって失われること。
授業計画と内容
下記の計画と内容に基づいて講義を実施する。
第1回 講義概要と我が国の災害(過去の大災害の教訓)
第2回 地域社会と都市防災
第3回 災害法制度の変遷と防災体制
第4回 防災対策の基本と災害対応の循環体系
第5回 気象災害とその対応
第6回 地震災害とその対応
第7回 津波災害とその対応
第8回 延焼火災とその対応
第9回 土木・建築構造物の安全性
第10回 建築物の耐震・免震・制振構造
第11回 土木構造物の耐震・免震・制振構造
第12回 被害軽減のための事前準備(防災マニュアル、災害情報)
第13回 都市における災害と復興(帝都復興計画)
第14回 情報とコミュニケーション、これからの都市防災
授業時間外の学修の内容
授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
災害イマジネーションを向上するための最終レポートを課すが、このレポートの作成にはそれなりの時間を要する。締切直前の対応のみでは完成しないので、課題を提示された時点から、講義で学習した内容を踏まえてしっかり取り組むこと。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 60 | 講義で説明した基本事項の理解度を確認する期末試験を行う。その結果を、成績評価の6割として換算する。 |
レポート | 30 | 災害イマジネーションを向上するための課題を出すので、その課題を期日までに提出する。 |
平常点 | 10 | 講義中に行う質問に対しての回答状況を見て評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
上記の基準で成績を評価するが、追加的に講義への出席状況を評価に加える(1割程度)。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
講義の中で、質問をして、回答してもらい、解説する。
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
講義の中で、積極的に質問をして、双方型、多方向型の授業をこころがける。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
これまでに世界の100ヶ国以上を訪問し、その中の約40ヶ国で、世界銀行、JICA、JBIC、ADB、UNなどの防災プロジェクトを実施。
国内では、内閣府本府参与、中央防災会議専門委員、関連省庁、地方自治体、ライフライン会社等の委員として、実際の防災対策の立案や制度設計に参画。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
上で説明した実務での経験を、授業の内容に組み込んで、説明・解説する。
テキスト・参考文献等
テキスト:
目黒公郎・村尾修:「地域と都市の防災」、放送大学教育振興会、¥3, 740
参考文献:
目黒公郎:首都直下大地震 国難災害に備える―関東大震災100年
防災対策の意識改革、コストからバリュー、そしてフェーズフリーへ、旬報社、¥1,760
内閣府(編):防災白書〈令和5年版〉 国立印刷局、¥3,190 (ただし、内閣府のWebサイトから閲覧可能)
その他特記事項
特になし。
参考URL
http://risk-mg.iis.u-tokyo.ac.jp/