シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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進化学 | 2024 | 前期 | 月4 | 理工学部 | 青木 誠志郎 | アオキ セイシロウ | 2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SE-BI2-9C12
履修条件・関連科目等
履修条件・関連科目等
生物学、科学全般、あるいは博物学などに興味がある方を歓迎します。高等学校で生物学と化学を学んでいた方が、講義を理解しやすいと考えられますが、これからでも生物学を学ぶ意欲があれば履修できるようにしたいと考えています。特に遺伝学と分子生物学の初学者のために、これらの分野に関する予習プリントをmanabaのコースコンテンツを用い配布します。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
生物研究には、生物を物質的・還元的に分けることで調べる研究の他に、人も含めた生物同士あるいは生物と環境の関係性を研究する分野があり、進化学は主に後者について扱う学問です。進化学では、"進化機構"と"進化史"が研究のための2つの柱として提唱されており、本講義ではその柱を基本に例えば、生物の多様性はなぜどのように生まれるのか?男女の違いや性はなぜ存在するのか?集団が協力するためには何が必要か?などの話題について考えていきます。関係する分野として系統学、集団遺伝学、分子進化学、生態学、ゲーム理論などにも触れつつ、様々な生物の例を具体的に挙げながら順次説明していきます。これらの説明を踏まえることで、生物の階層としての遺伝子-個体-集団についての理解を深め、様々な生物現象について、みなさんと一緒に考察したいと考えてます。
科目目的
この科目は、カリキュラム上の専門教育科目として位置付けられていることから、この科目での学習を通じて、学生が生物の関係性を進化から考える認識を深めるとともに、人間も含めた生物の相互作用に対する基礎的な知識を習得することを目的としています。
到達目標
生物の不思議を進化の観点から見つめて、今もその謎への研究が続いている現象、例えば"多様な生物はどのように分かれて生まれてきたのか?"、"男女の違いや性はなぜあるのか?いつ起源したのか?"、"生物が協力しあうのはなぜか?"、などの不思議について、科学的興味をもってもらうことを到達目標とします。また、DNA、生物個体、生物集団、生態系さらには化石にまで渡る、進化研究の方法について理解することを目指します。さらに"高等と下等"、"進化と退化"といった、社会における生物学への通説的な見方の問題点について考えることも、本科目の目標とします。
授業計画と内容
スライド原稿の配布と講義、毎週の宿題で行います。
第1回:イントロダクション・系統学入門
第2回:分子系統学
第3回:性選択1:同性内選択
第4回:性選択2:異性間選択
第5回:有性生殖の存在の不思議
第6回:性比
第7回:進化と多様性1:進化
第8回:進化と多様性2:変異
第9回:生物間相互作用1:利己的行動
第10回:生物間相互作用2:利他的行動
第11回:生物間相互作用3:協力行動
第12回:集団遺伝学1:Hardy-Weinberg平衡と移動
第13回:集団遺伝学2:選択、突然変異
第14回:集団遺伝学3:遺伝的浮動、非任意交配
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
宿題を毎回の授業で提示し、翌週あるいは2週間後までに提出していただきます。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 50 | 進化生物学についての基礎知識を理解した上で、進化を科学の観点から説明できるかどうかを評価します。 |
平常点 | 50 | リアクションペーパー、manabaの小テスト、授業態度を基準とします。 |
成績評価の方法・基準(備考)
評価方法:
学期末試験の結果(5割以上の正答を基準とします)を50%程度、宿題の提出を50%程度とします。質問などによる積極的参加を加点材料にします。
達成基準:
生物の間の関係性はどのように研究すれば良いのかについて、具体例をあげて説明できる。
生物を研究するにあたって重要とされる4つの視点、因果的要因(至近要因)、発生的要因、生存的要因(究極要因)、進化史的要因について説明できる。
進化の概念について社会通念と科学的考え方の違いを説明できる。
進化機構と進化史の解析方法について説明できる。
系統学的方法や生物間の協力関係の進化について説明できる。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う/その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
メールやmanabaを用いて質問を随時受け付けます。たまにZoomなどによるコミュニケーションをとることを考えています。
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト:
購入が必要なものはございません。必要な資料は全て授業中あるいはmanabaを通じ、配布いたします。基本的にScott Freeman, Jon C. Herron著 "Evolutionary Analysis" Person Education, Inc.をもとにして授業を進めます。
参考文献:
参考文献として、以下のような文献を適宜利用します。
ダーウィン「種の起原」岩波書店、光文社など
日本生態学会編「生態学入門」東京化学同人
Nicholas H. Bartonほか著「進化 分子・固体・生態系」メディカル・サイエンス・インターナショナル
メイナードスミス、サトマーリ「生命進化8つの謎」朝日新聞出版
グールド「ダーウィン以来」早川書店
ドーキンス「利己的な遺伝子」紀伊国屋書店
木村資生「分子進化を考える」岩波文庫
アクセルロッド「つきあい方の科学」ミネルヴァ書房
酒井、高田、東樹「生き物の進化ゲーム」 共立出版
巌佐庸「生命の数理」共立
以下の河田雅圭先生のホームページ なども参考になさってください。
http://meme.biology.tohoku.ac.jp/INTROEVOL/MIKATA/contents0.html
http://meme.biology.tohoku.ac.jp/INTROEVOL/index.html
その他特記事項
日常生活の中で、人間も含めた生物の現象に不思議を感じて科学や生物全体に興味を持ってもらい、いろいろ質問していただけると、さらに講義への理解が増すと思います。本講義を経験することで、皆さんの人生に「面白い!」と感じていただける何かが付け加わったならば、大変嬉しいです。