シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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環境応用微生物学 | 2024 | 前期 | 金2 | 理工学部 | 諏訪 裕一 | スワ ユウイチ | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SE-BI3-9C16
履修条件・関連科目等
この科目と補完的な内容の「生産応用微生物学」が後期に開講される。この科目と併せて受講することを強く勧める。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
「微生物」には真核生物である酵母や糸状菌などや原核生物である細菌(バクテリア)とアーキアが含まれ、広義にはウィルスも含まれる。この科目では、おもにバクテリアを対象として、その代謝、特にエネルギーを獲得するための代謝(異化)を軸に、それと微生物の棲息場所(niche)との関係、自然界から微生物を培養・分離する方法も含め、環境微生物の研究方法、さらに抗生物質や(食品製造などで活用される)物理化学的な殺菌・滅菌方法のメカニズム、遺伝子の水平伝播を講じる。
科目目的
生物が生存できる総ての環境において、微生物はその場に対応した機能を発揮して棲息している。どんな微生物が地球上のどんなところで、何を栄養にして棲息しているのかを理解する。そのために、微生物が持つ代謝の様式(特に異化)の驚くべき多様さを学ぶ。微生物はその棲息場所における物質循環を担っている。これこそが環境が維持されるメカニズムの本体である。こうした微生物機能の応用が環境浄化技術の科学背景となっていることを学ぶ。また、環境中の微生物の研究方法について、培養方法から最新のメタゲノムまで、その概要を学ぶ。
到達目標
「微生物」とはどんな生物を指すのか、大まかな分類を理解する。多様なエネルギー獲得代謝(異化)を学ぶ。微生物の生理学と棲息場所との関連を理解し、それが微生物を実験室で培養する方法を考え出す基盤であることを学ぶ。微生物学は顕微鏡と培養に代表される実験技術の進歩とともに発展した。微生物を検出し、数や種類を推定するための技法を学ぶ。当研究室では新規な微生物を単離して発見しているが、分離源での未知微生物の発見方法も含め、そのプロセスを理解する。遺伝子の水平伝播メカニズムを学び、それとバイオテクノロジー技術とを関連づける。
授業計画と内容
第 1回 微生物とは; 種類、多様性と分類、棲み場所と生存様式、生態系での役割
第 2回 殺菌、滅菌、消毒、食品加工での殺菌プロセス、食品保蔵、抗菌剤
第 3回 原核生物の細胞の表層構造: グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、アーキアでの特徴
第 4回 細胞の外側にある構造(莢膜、べん毛と走性)、内生胞子
第 5回 微生物の増殖と環境要因: 物理化学的条件、培地、制限栄養素、微量栄養素、培養
第 6回 微生物の異化の様式: エネルギー源(電子供与体と電子受容体)と炭素源
第 7回 物質循環と微生物(窒素循環を例に): さまざまな呼吸の様式(電子受容体)と微生物の棲み場所
第 8回 微生物の純粋分離: 選択培地と集積培養
第 9回 まとめと演習
第10回 微生物の系統解析(16S rRNA遺伝子と機能遺伝子),FISH法,定量PCR法;何が数えられるのか?
第11回 遺伝子の水平伝播: 形質導入、形質転換、接合、プラスミド、トランスポゾン
第12回 微生物群集構造解析方法: 培養法、クローン解析法、メタゲノム解析、各手法の限界
第13回 環境微生物分野における最新の研究事例
第14回 総まとめと総合演習
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
この科目を通じて、授業に関連する多数(100題程度)の演習問題を出題する。これは授業の復習と言うことになるが、各回の内容は、それ以前の回での内容を理解していることを前提としているので、大切な予習という面も強く持っている。そのため、課題を出題した際には、速やかに取り組むことが求められる。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 90 | 原則、期末試験の成績だけで評価する。定期試験問題のほとんどは演習問題から出題する。 |
平常点 | 10 | 質疑などの積極的な授業参加は高く評価したい。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
比較的高度な内容であるため、それを理解するには、授業を聴講し、演習問題に取り組むことが求められる。演習問題に取り組んだことを前提に、第5回、第10回および第14回にまとめと演習を行う。演習問題への質問は歓迎する。
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
調査研究を課すことがある。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト
別府輝彦著 新・微生物学[新装第2版] 講談社 ¥2,800(税別)
さらに,必要に応じて資料を配布する。
参考書
MT Madigan et al、 Brock Biology of Microorganisms 16th ed Global ed.、 あるいはKindle版
日本微生物生態学会 教育研究部会;微生物生態学入門 ¥6,750
T. フェンチェルら著,太田,諏訪ら訳;微生物の地球化学~元素循環をめぐる微生物学~第3版 ¥3,200
さらに,必要に応じて紹介する。