シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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有機化学2 | 2024 | 後期 | 水3 | 理工学部 | 石井 洋一 | イシイ ヨウイチ | 2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SE-BC2-6B09
履修条件・関連科目等
「基礎有機化学」「有機化学1」の内容の理解を前提とするので、講義に先立ち、よく復習しておくこと。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本講義では、ハロゲン化アルキル、共役ジエン、芳香族化合物という、有機化学における重要な構造単位について学ぶ。これらはさまざまな機能性分子、天然化合物、医薬品などの部分構造として主要な役割を果たす。まず、ハロゲン化アルキルが炭素-ハロゲン結合の分極した性質に基づいて行う求核置換反応や脱離反応について、その特徴を理解する。続いて、アルケンのπ結合が共役したときに見られる特徴的な反応や性質について学ぶ。さらに、芳香族化合物を特徴づける「芳香族性」の意味を理解するとともに、芳香族化合物に特徴的な反応である芳香族求電子置換反応の起こり方と利用について論じる。
本科目は選択必修科目ではあるが、有機化学における主要な化合物群を扱うことから、基礎有機化学、有機化学1に続く有機化学の体系を理解するためには重要な科目と考えるべきものである。
科目目的
本講義では、ハロゲン化アルキルの求核置換反応と脱離反応、共役ジエンが示す特徴的な反応や性質、「芳香族性」と芳香族化合物の求電子置換反応を中心に、有機化学の基本をなす各種の反応の起こり方ならびに有機化合物の構造に関する基礎概念を習得することを目的とする。これらを通して、応用化学科のディプロマポリシーの中でも、知識獲得力・創造力・専門性を涵養する。
到達目標
(1) ハロゲン化アルキルの求核置換反応および脱離反応の起こり方を理解し、基質による反応性の大小や反応条件と反応生成物の関係を説明できること。
(2) 共役ジエンのπ電子系のもつ性質を理解し、非共役系アルケンとの違いを説明できること。
(3) 芳香族化合物の性質の基礎をなす「芳香族性」の考え方と芳香族求電子置換反応とを理解し、反応機構や反応生成物を説明できること。
(4) ハロゲン化アルキルの求核置換反応・脱離反応や、共役ジエンの付加反応・付加環化反応、芳香族化合物の求電子置換反応などを利用した多段階合成反応の組み立てができること。
授業計画と内容
第1回 アルカン、アルケン、アルキンの化学の復習
第2回 ハロゲン化アルキルの置換反応:SN2反応
第3回 ハロゲン化アルキルの置換反応:SN1反応
第4回 ハロゲン化アルキルの脱離反応:E2反応
第5回 ハロゲン化アルキルの脱離反応:E2反応の立体化学とE1反応、E1cB反応
第6回 置換反応と脱離反応の区別と合成反応への利用
第7回 ジエンの構造と性質:ジエンの相対的安定性と1,4-付加
第8回 共役ジエンの反応:Diels-Alder反応、紫外分光法(有機化学におけるスペクトル分析)
第9回 ベンゼンと芳香族性
第10回 ヒュッケル則とベンゼン以外の芳香族化合物
第11回 芳香族求電子置換反応
第12回 置換芳香環における置換基効果
第13回 多置換芳香族化合物の合成
第14回 芳香族求核置換反応と多環芳香族化合物の求電子置換反応
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
毎週の授業前後に、次の通り自己学習をするように。
(1) 各回の内容を教科書およびmanabaから配布されるノートpdfにより予習すること。ノートpdfに基づいて、各自が授業のためのノートを作成することを強く推奨する。
(2) ノートに従って授業の内容を復習し、理解を確認すること。
(3) 毎回の提出課題を解き、答案を作成すること。
(4) 授業で扱った範囲について、教科書の練習問題を解いて理解度を確認すること。
特に、(2)(3)のプロセスは最低限度の学習量として重要である。復習と毎週の提出課題で十分な理解が得られていないと思うときは、できるだけ早いタイミングで質問・相談することが望まれる。質問・相談はオフィスアワー以外の時間帯でも差し支えないし、簡単な内容であればmanabaの個別指導コレクションを利用してもよい。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 70 | 学期末試験の点数を70%の割合で考慮して成績を評価する。評価基準は「到達目標」であげた(1)~(4)が身に付いているかどうかに置かれ、(1)~(4)の各項目を30%, 20%, 30%, 20%の割合で評価する。 |
平常点 | 30 | 毎週の提出課題(宿題)の評点を30%の割合で考慮して成績を評価する。再試験履修者にも課題の提出を課す。これにより「到達目標」で上げた(1)~(4)の内容に関し、継続的かつ真摯に学習に取り組んでいることを測る。 |
成績評価の方法・基準(備考)
毎週の課題の提出状況は、期末試験での評価と強い相関があることが経験的に判明している。毎週の課題は必ず提出し、授業内容で理解できない部分を残さないように努めることが重要である。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
(1) 各回の資料・課題の解答などは、manabaにアップロードされる。
(2) 授業時間外の質問対応は、随時、教員研究室およびmanabaの個別指導コレクションにより行い、Q and Aとしてmanabaにアップロードしてクラス全体で共有する。
(3) 可能な限り授業の録画を作成し、病欠・公欠等の学生には授業直後から、それ以外の学生には約1週間後から公開する。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト:
「マクマリー有機化学(第9版)(上・中)」John McMurry著、伊東・児玉ら訳、東京化学同人、2017年、ISBN: 9784807909124; 9784807909131
必要に応じて以下の参考書を参照すると理解の助けになる。ウォーレン有機化学はやや高度な内容を含むが、特に有機化学に興味を持つ学生には勧めたい参考書である。
「スミス有機化学(第5版)(上・下)」 Janice Gorzynski Smith 著、山本尚、大嶌幸一郎 監訳、高井和彦、忍久保洋、依光英樹 翻訳、化学同人、2017年、ISBN: 9784759819380; 9784759819397
「ブルース有機化学(第7版)(上・下)」 Paula Yurkanis Bruice 著、大船 泰史、香月 勗、西郷和彦、富岡清 監訳、化学同人、2014年、ISBN: 9784759815849; 9784759815856
「ボルハルト・ショア―現代有機化学(第8版)(上・下)」K. Peter C. Vollhardt, Neil E. Schore 著、古賀憲司、野依良治、村橋俊一監訳、化学同人、2019年、ISBN: 9784759820294; 9784759820300
「ウォーレン有機化学(第2版)(上・下)」Jonathan Clayden, Nick Greeves, Stuart Warren 著、野依良治、奥山格、柴崎正勝、檜山爲次郎 監訳、東京化学同人、2015年、ISBN 9784807908714; 9784807908721
参考教材:
HGS分子模型A型セット(丸善)
有機化合物のスペクトルに関する参考書:
「有機化学のためのスペクトル解析法−UV、IR、NMR、MSの解説と演習(第2版)」 Hesseら 著、野村正勝 監訳、馬場章夫・三浦雅博ら 訳、化学同人、2010年、ISBN: 9784759811933
その他特記事項
中学校及び高等学校一種免許状(理科)の教員免許の取得において、本科目は2017年度以前入学生は必修科目、2018年度以降入学生は選択科目の一つである。
参考URL
ホームページ https://ishii-lab.r.chuo-u.ac.jp/
e-メール yo-ishii@kc.chuo-u.ac.jp