シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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無機化学2 | 2024 | 前期 | 火3 | 理工学部 | 榎本 真哉 | エノモト マサヤ | 2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SE-BC2-6B06
履修条件・関連科目等
基礎無機化学および無機化学1を履修していることを前提とする。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
教科書として指定するシュライバー・アトキンス「無機化学(上)第6版」(東京化学同人)の「5.酸化と還元」「6.分子の対称性」について取り扱う。
また、6章に関連して、「無機化学3」では「7.配位化合物入門」についての講義があるが、配位化合物で重要な結晶場と配位子場について、概要を紹介する。
5章に関しては同時期に開講の「物理化学2」の内容を先に履修した方が理解が深まると考えられることから、まず前半で6章について取り扱う。
前半では、分子がもつ「対称性」について概説する。対称性を数学的に取り扱うための「点群・群論」について学び、分子軌道や分子振動、金属錯体の性質への応用を述べる。この内容は「無機化学3」で取り扱う「7.配位化合物入門」につながるものであり、配位化学の基本となる結晶場理論ならびに配位子場理論について簡単に紹介する。
続いて後半では、高校で学んだ酸化・還元の概念を復習し、無機化合物における酸化還元反応の重要性を述べる。次に、標準電位の定義を学び、反応混合物の組成と電池電位の関係を実例と共に学ぶ。続いて、ラチマー図、フロスト図、プルーベ図を学習し、各元素や化合物の安定性に関する定量的解釈について学ぶ。これらを基軸に化学工業における酸化還元反応を理解する。
科目目的
化学における重要概念である酸化・還元について、概念を把握し、化学反応の進行における定量的な取り扱いができるようになることを目的とする。
また現代の科学では保存則を構成する重要概念である対称性について、その概念の把握と化学への適用法について学び、化合物の振る舞いを定量的に記述できることを学ぶことを目的とする。
到達目標
・化学種から電子を奪う酸化及び電子を与える還元に一つの元素や化合物が酸化還元により多様な性質及び反応を示すことを熱力学的観点から定量的に説明できるようになること。
・温度やpH等外部の影響も含め各種酸化還元状態の安定性について定量的に説明できること。
・酸化還元が環境化学、化学分析、無機化学工業においてどのように応用されているか説明できること。
・金属錯体を含む多くの分子の形を、対称性の観点から「点群・群論」を用いて分類できること。
・指標表を用いて分子の物性や分子軌道がどのように形作られるかを判断できること。
授業計画と内容
第1回 序論:無機化学の位置づけ
第2回 分子の対称性:対称操作と対称要素
第3回 分子の対称性:指標表
第4回 分子の対称性:極性、キラル
第5回 分子の対称性:分子振動
第6回 分子の対称性:分子軌道の対称性
第7回 分子の対称性:金属錯体と結晶場、配位子場
第8回 酸化と還元:酸化還元反応と標準電位
第9回 酸化と還元:電気化学系列、ネルンストの式
第10回 酸化と還元:重要な酸化還元反応例
第11回 酸化と還元:錯形成、溶解性
第12回 酸化と還元:ラチマー図およびフロスト図による酸化還元反応の理解
第13回 酸化と還元:プールベ図による酸化還元反応の理解
第14回 酸化と還元:単体の化学的抽出
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
あらかじめ次回分を予習し講義により理解を深めると共に、復習に力を入れ次回までに不明な点を持ち越さないようにする。
manabaを通じた復習課題に取り組む。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 80 | 5章:酸化還元電位を通して、反応進行の可否や、化学種の安定状態を定量的に説明できることを評価する。 6章:様々な化学種を対称性の観点から分類し、対応する点群記号を付与できること、また点群に基づき、化学種の物性や分子軌道形成について説明できることを評価する。 |
その他 | 20 | 講義終了後、主にテキスト中に示されている問題について、各講義回ごとにmanabaを用いて解答し、各回の理解について評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
期末試験(到達度確認)(80%)、各回の課題(20%)を総合して評価し、60点以上を合格とする。
期末試験(到達度確認)についての補足:
5章は標準電位の表、6章は指標表や対称適合軌道の表などを適切に利用して解答する形式を含むことから、教科書持ち込みを前提とした出題を行う。教科書を持たずに期末試験(到達度確認)に臨んだ場合、解答できない可能性が高いので注意すること。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
教科書:シュライバー・アトキンス「無機化学(上)第6版」(東京化学同人)
参考書: F.Albert Cotton (著), 中原 勝儼 (翻訳) 「群論の化学への応用」(丸善株式会社)
その他特記事項
中学校及び高等学校一種免許状(理科)の教員免許の取得において、本科目は選択科目である。