シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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環境生物学実験 | 2024 | 前期複数 | 火3,火4,水3,水4,水5,水6 | 理工学部 | 諏訪 裕一 | スワ ユウイチ | 2年次配当 | 3 |
科目ナンバー
SE-BI2-9A13
履修条件・関連科目等
特になし。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
生命科学科での最初の実験科目である。実験操作のなかでもっとも基盤的な,マイクロ・ピペッターと電子天秤の使用方法,および無菌操作を,だれの手助けも無く各自が精確かつ安全に操作できるようにする。これらの基本技術を用いて,環境中の微生物(物質循環にかかわる微生物を対象にする)の培養と計数,環境微生物の系統解析のための16S rRNA遺伝子のPCR増幅,および増幅産物の精製を行う。これらを的確に行うには,基本技術のスキルを確実に修得している必要がある。PCR増幅した16S rRNA遺伝子の塩基配列を解読し,その結果を用いて,対象とした微生物の系統解析を行う。そこでデータベースの検索(BLAST検索)の基本を修得する。
科目目的
履修生にとって本科目が生命科学科での実験科目である。マイクロ・ピペッターと電子天秤の操作と無菌操作に習熟し,独力で操作できることが最初の目的となる。これを基盤にして,最終的には,それらの原理を十分に理解したうえで,PCRの操作と得られるデータの解析を独力で実施できるようになることを目指す。
到達目標
・マイクロ・ピペッターと電子天秤の操作と無菌操作に習熟する。
・それを独力で実行するために,実験プロトコルを予め作成することの重要性を理解し,実際に作成する。
・実験結果を正確に残すためには,実験後すぐに結果をまとめ,レポートを作成する必要がある。この点を理解する。
・実験プロトコルと実験レポートとは共通点が多く,実験プロトコルの作成はレポートを迅速にまとめるために必要なステップでもある。この点を理解する。
・環境微生物の培養を伴う(古典的な)計数方法を実施し,それが未知な微生物を単離する第一歩であることを理解する。
・予め作成した実験プロトコルを「暗記」し,マイクロ・ピペッターを非常に精確に操作しない限りPCRでDNAを増幅することはできない。PCRは初学者にはハードルの高い実験技法だが,それを成功させる。
・PCR増幅産物の塩基配列を解析し,それを基に,環境微生物の系統を解析する。
・この実験では、顕微鏡などの精密機械、高温高圧機器、火気、薬品(発がん性物質を含む)、微生物(感染性はないが)などを使用する。一連の実験を通して,安全な実験の実施のための規則を遵守し,操作手順を厳格に守ることの必要性を理解し,身につける
・環境に生息する生物(微生物を含む)を科学的に観察・測定・記録する手法の原理と実際を学び,環境における生命とそれが担う現象を科学的に見る眼を涵養する。
授業計画と内容
本科目は,実験科学としての環境生物学の基礎を修得するため,履修生が実験操作の原理の学修,操作の実施,実験で得られた結果の解析と解釈を主体的に行うアクティブ・ラーニング科目である。
第 1回 ガイダンス; 安全な実験操作,実験プロトコルと実験レポートのまとめかた
第 2回 マイクロ・ピペッターと電子天秤の操作,実験データの統計的取り扱い
第 3回 マイクロ・ピペッター操作の精度の検定
第 4回 培地調製の方法と注意点,滅菌の種類,操作
第 5回 無菌操作の説明と実際,培養による環境微生物の計数
第 6回 顕微鏡の操作,顕微鏡観察(環境試料)
第 7回 微生物細胞の顕微鏡観察
第 8回 PCRを用いた環境微生物の系統解析;実験系,PCRと電気泳動の原理と操作の説明,実験プロトコル作成
第 9回 PCR実験プロトコルの講評,問題点の指摘に基づく改訂
第10回 PCR反応液の調製と反応; 環境微生物の計数(データの取得)
第11回 PCRで増幅されたDNAの検出,精製(塩基配列の決定)
第12回 遺伝子(16S rRNA遺伝子;PCRで増幅されたDNA)の塩基配列に基づく環境微生物の系統解析
第13回 環境微生物の計数と系統解析レポートについて; 講評,それに基づく討論
第14回 総まとめ; 実験科学事始め。 知識を習得するだけの学習との違いを振り返ってみよう。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
・事前に実験書を十分に読んで内容を理解し,実験の手順書(プロトコル)を事前に作成することが必要である。
・実験レポートを作成することが必要である。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり1時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり2時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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中間試験 | 15 | 課題によっては,実験の前後に原理などの理解度を確かめるための筆記試験を実施する。その成績を評価に加える。 |
レポート | 70 | 提出されたレポートの内容,特に,実験の目的が明確になっているか,事実をきちんと記述しているか,図表の作成が適切であるか,データのとりまとめが適切であるかを重点とする。 |
平常点 | 15 | 実験をすすめるうえでの安全の確保,教員とTAに対する適切な確認と質問,適切な後片付けなどを高く評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
1回で完結する実験はなく,すべて関連した実験科目である。欠席分を補うことは困難であるため,毎回出席することが履修の前提となる。また、レポートの提出を義務付ける。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
提出されたレポート(あるいは実験プロトコル)はできるだけ速やかに目を通し,返却する。履修生が十分に理解していない点,改善すべき点をまとめ,授業中に講評を伝える。これをもとに,討議する。実験中の疑問については,躊躇なく教員かTAに質問願いたい。それには,すぐに回答する。
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション/実習、フィールドワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
遺伝子解析で活用する。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト
「実習の手引き」をテキストとして配布する。実験はこれに従って実施する。
参考書
杉山ら、新版 微生物学実験法、6,090円;
鈴木ら、微生物の分類・同定実験法、5,040円;
土壌微生物研究会、新編土壌微生物実験法、5,670円など
さらに授業に際し、必要に応じて紹介する。
その他特記事項
留学など,一般的な履修形態と異なる状況に至ることが分かっている場合、この科目の履修に先立って担当教員と十分に相談しておくこと。