シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
認知脳科学 | 2024 | 後期 | 月3 | 理工学部 | 檀 一平太 | ダン イッペイタ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SE-HI1-CA01
履修条件・関連科目等
高校での生物学の履修が望ましいが、未履修の場合、参考書による学習を勧める。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
「我思う、故に我あり」という言葉が表すデカルトの実体二元論に基づけば、我々の住む世界は、物質や肉体といった物理的実体のみならず、精神的実体でもある。かつて、自然科学の研究対象は物理的実体のみであり、精神的実体の探求は哲学に委ねられていた。しかし、近年の認知、脳科学の発展は、精神的実体を科学研究の対象とならしめた。本講義では、精神的実体を探索するツールとしての認知・脳科学の研究成果を心理学との対比を通じて概観する。まず、講義の初等では、代表的な心理学研究のアプローチを紹介する。その後、心理学と神経学の歴史を概観し、「認知革命」の意義を考える。さらに、ヒトの精神活動を支える脳と神経の仕組みを学びつつ、その活動の表出を神経心理学的な視点から考察する。知識の羅列ではなく、認知心理学、脳科学の方法論を重視し、学生諸君が科学的探求の姿勢を身につけられるように配慮する。特に、ビデオプレゼンテーションの提出と相互閲覧により、受講者間の切磋琢磨を通して能動的な学習を実践する。
科目目的
本講義を通して、脳を異次元の抽象的存在と認識するのではなく、我々の思考と行動が脳に支配されていることを常に意識し、脳の観点から、思考と行動をとらえ直すという新たな「生きる姿勢」を身につけることを目的とする。
到達目標
本講義の目的は、我々人間を人間たらしめている思考、認知といった事象を、脳内で起こる過程ととらえ、科学の研究対象として、そのメカニズムを客観的に解析する新たな視点を身につけることである。また、心理学的な研究アプローチとの対比を通じ、精神的な過程を理解する、多角的な視点を身につける。最終的に、脳に支配される機械としての人間から脱却し、脳の特性を理解して脳を支配する・・・とまでは行かずとも、脳とうまく付き合える人間になるための術を学ぶ。
授業計画と内容
(1)ヒトの心を調べる実験心理学的アプローチ
(2)認知脳科学の歴史:心理学と神経学の発達
(3)認知脳科学の歴史:認知革命への道
(4)脳の構造:頭部組織、グリア、血液脳関門
(5)認知脳科学の歴史:学生プレゼンテーション
(6)脳の構造:脳幹、小脳、大脳基底核、辺縁系
(7)脳の構造:大脳皮質
(8)脳の機能:感覚系
(9)神経細胞の仕組み
(10)脳の構造と機能:学生プレゼンテーション
(11)シナプスの仕組み
(12)神経伝達物質と精神疾患、薬物:神経心理学的アプローチ
(13)神経伝達物質と精神疾患、薬物:学生プレゼンテーション
(14)到達度確認
授業時間外の学修の内容
授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
特定の予習は求めないが、講義期間中に、上記参考書をできるだけ読破することを強く推奨する。講義は、学習を促すための触媒であり、課題とそのプレゼンテーションを通した課外学習が本講義の本質である。これらをこなさない限り高評価は望めないので、覚悟して鋭意取り組むこと。また、授業に関連する英語論文(主としてレビュー)を配布するので、その内容をよく理解しておくこと。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
期末試験(到達度確認) | 30 | 授業内容の理解を確認する内容 |
レポート | 50 | ビデオプレゼンが主体 |
平常点 | 20 | 出席確認を兼ねた小テストを毎回行う。なお、欠席が3回を超えた場合、単位は認めない |
成績評価の方法・基準(備考)
アクティブラーニング化を促進するため、講義貢献点の加算がなされる。
達成基準:本講義で概説した認知脳科学関連のトピックについて、単なる暗記ではなく、論理的思考が可能になること。この結果、認知脳科学リテラシーが身につくこと。
注記:留学、教育実習、競技会出席、病欠等、正当な理由によって講義が受けられない場合は、代替措置を考慮するので、速やかに連絡すること。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)/ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
ビデオプレゼンテーションの活用
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
認知脳科学の産業応用として、食品認知に関する技術開発(独立行政法人食品総合研究所)、医療応用に関する技術開発経験(自治医科大学先端医療技術研究開発センター)を有する。また、本学においても、複数企業との共同研究を通して、ニューロマーケティング手法の応用を実践している。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
これらの経験を本講義にフィードバックする。
テキスト・参考文献等
特にテキストは設けない。レジュメ等を配布する。参考書として、以下を推奨する。
新・脳の探検(上)―脳・神経系の基本地図をたどる(講談社)、新・脳の探検(下)―脳から「心」と「行動」を見る(講談社)、ビジュアル版 脳と意識の地形図―脳と心の地形図(1) (2)(原書房)、言語の脳科学―脳はどのようにことばを生みだすか(中公新書)、言葉と脳と心 失語症とは何か(講談社現代新書)、脳の科学史 フロイトから脳地図、MRIへ(角川SSC新書)、心の脳科学―「わたし」は脳から生まれる(中公新書)、パブロフの犬:実験でたどる心理学の歴史 (創元ビジュアル科学シリーズ1)、第4版 カールソン神経科学テキスト 脳と行動(丸善出版)、心理学ビジュアル百科:基本から研究の最前線まで(創元社)
その他、参考図書を講義期間中に提示する
また、授業に関連する、総説を中心とした英語論文を配布する。これらの読解は必須。
その他特記事項
講義に関する資料はManabaにアップロードする。講義は日本語で行うが、参考資料に英語論文を配布するので、課題をこなすためには、英語を用いる必要が生じる。
今年度は、実験的にインタラクティブメディアの活用を模索する。
生物学未履修者については、「新しい高校生物の教科書―現代人のための高校理科」(講談社)による学習を強く推奨する。
参考URL
http://brain-lab.jp