シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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基礎演習2 | 2025 | 秋学期 | 金3 | 法学部 | 中村 勝己 | ナカムラ カツミ | 2年次のみ | 2 |
科目ナンバー
JU-BS2-002S
履修条件・関連科目等
特にない
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
政治哲学、倫理学、政治学、思想史、経済学、法律学、社会学の話が出る。
テキストは年間を通じて4~5冊読むので、本を読む気のない学生は履修すべきではない。
100分の授業のうち、冒頭の30分で2人の学生にテキストのレジュメ(要約)に基づく口頭発表をしてもらい、その後に私のコメントが10分続く。残りの60分で参加者のコメント・議論を行なう。
成績づけは、出席と発言姿勢を重視する。
科目目的
政治哲学、思想史、政治学、法律学、経済学、社会学などの基礎知識を身につけ、人前で自分の意見を述べる姿勢を学び、3年次以降の専門科目・必修科目の学修に役立つことを目指す。
到達目標
学部学生に求められる水準の日本語文献を読解する力を身につける。担当したページを要約しプリントを作る力を身につける。人前で自分の意見を説明する経験を積む。相手の言うことを理解し、コメントする力を身につける。
授業計画と内容
(1)ガイダンス 履修学生の自己紹介 授業の進め方についての相談など
(2)テキストを使った授業 報告者2人の報告を受け教員のコメントを聞いたうえで全体で討論 A
(3)テキストを使った授業 報告者2人の報告を受け教員のコメントを聞いたうえで全体で討論 B
(4)テキストを使った授業 報告者2人の報告を受け教員のコメントを聞いたうえで全体で討論 C
(5)テキストを使った授業 報告者2人の報告を受け教員のコメントを聞いたうえで全体で討論 D
(6)テキストを使った授業 報告者2人の報告を受け教員のコメントを聞いたうえで全体で討論 E
(7)秋学期前半のふりかえり(到達度確認)
(8)テキストを使った授業 報告者2人の報告を受け教員のコメントを聞いたうえで全体で討論 F
(9)テキストを使った授業 報告者2人の報告を受け教員のコメントを聞いたうえで全体で討論 G
(10)テキストを使った授業 報告者2人の報告を受け教員のコメントを聞いたうえで全体で討論 H
(11)テキストを使った授業 報告者2人の報告を受け教員のコメントを聞いたうえで全体で討論 I
(12)テキストを使った授業 報告者2人の報告を受け教員のコメントを聞いたうえで全体で討論 J
(13)テキストを使った授業 報告者2人の報告を受け教員のコメントを聞いたうえで全体で討論 K
(14)後半のふりかえり(到達度確認)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 100 | 授業への出席および発言。何回かに1度回ってくるレジュメ(要約プリント)作成とそれに基づく口頭発表。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
基礎演習1の説明を参照してください。
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
基本的には実施しない。
ただし、レジュメ担当者は事前に教員にレジュメをメール送信しチェックを受けるので、その際にメールの何度かのやり取りを通じて学生は教員から個別指導を受けることになる。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストについて。
2024年度に読んだ本を以下に掲げる。
春学期
マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう--いまを生き延びるための哲学』鬼澤忍訳、ハヤカワ文庫
NHKスペシャル取材班『縮小ニッポンの衝撃』講談社現代新書
秋学期
前田健太郎『女性のいない民主主義』岩波新書
宇野重規『トクヴィル――平等と不平等の理論家』講談社学術文庫
小原雅博『戦争と平和の国際政治』ちくま新書
サンデルの本は、毎年度このゼミで取り上げている。功利主義、リバタリアニズム、カント倫理学、ロールズ正義論、アファーマティブアクション、アリストテレス正義論、コミュニタリアンの政治観など様々な考え方を学ぶ。
『縮小ニッポンの衝撃』は、やや大袈裟な煽りが感じられるところもあるが、日本社会は人口減少の過程に入り(毎年数十万人の人口が自然減で消滅している)、とりわけ地方社会の行政サービスの維持が困難になっている。その現実を学ぶために。
『女性のいない民主主義』
日本の若い男女のコミュニケーションを見ていると、かつてのような男尊女卑の雰囲気はほぼなくなっている。皆、優しくなったのだ。他方で、パブリックな領域(政治・行政・ビジネスなど)では女性の社会進出の割合が著しく低い(いわゆる先進国での比較)。『女性のいない民主主義』は、そうしたパブリックな領域での女性の社会進出(とりわけリーダー的地位への定着)の低さの原因と対策について議論している。
『トクヴィル――平等と不平等の理論家』
近年になり19世紀フランスの歴史家・思想家アレクシ・ド・トクヴィルの著作『アメリカにおけるデモクラシー』の再評価が進んでいる。20世紀に確立した政治構造や価値観がグローバル化の影響で急速に流動化している。そのため、投票率の低下・政治権力の私物化・ポピュリズムの台頭などの動向がもたらされている。そうした動向をどう分析し、どう向き合うべきか。そのヒントを『トクヴィル』に探る。
『戦争と平和の国際政治』
2022年の春以降ロシアのウクライナ侵略が始まった。当初、短期で終わると予想された戦争は今も続く(2025年1月現在)。2023年秋からはパレスチナへのイスラエルの軍事的攻撃が開始された。こうした戦争の開始は何を示しているのか。『戦争と平和の国際政治』は国際政治学、国際紛争論について詳しく解説してくれている。
参考文献は無数にある。とりあえず授業で引用ないし言及した文献は以下の通りである。
芦部信喜・高橋和之(補訂)『憲法 第五版』岩波書店、2011年
宇野重規『保守主義とは何か――反フランス革命から現代日本まで』中公新書
――『トクヴィル――平等と不平等の理論家』講談社学術文庫
NHKスペシャル取材班『縮小ニッポンの衝撃』講談社現代新書
大泉啓一郎『老いてゆくアジア――繁栄の構図が変わるとき』中公新書
岡本裕一郎『思考実験』ちくま新書
小熊英二『社会を変えるには』講談社現代新書2012年
長有紀枝『入門 人間の安全保障』中公新書、2012年
小野善康『成熟社会の経済学――長期不況をどう克服するか』岩波新書、2012年
加藤尚武『現代倫理学入門』講談社学術文庫
柄谷行人『世界共和国へ』岩波新書
川本隆史『現代倫理学の冒険』創文社
カント「理論と実践」、『啓蒙とは何か 他四篇』篠田英雄訳、岩波文庫所収
―――『永遠平和のために』宇都宮芳明訳、岩波文庫
―――『人倫の形而上学』加藤新平ほか訳、『世界の名著39』所収、中央公論社
久保文明・砂田一郎・松岡泰・森脇俊雅『アメリカ政治 第三版』有斐閣
駒木明義『安倍vsプーチン――日ロ交渉はなぜ行き詰まったのか?』筑摩選書、2020年
児玉聡『功利主義入門』ちくま新書
佐瀬昌盛『集団的自衛権――論争のために』PHP新書、2001年
カール・シュミット『政治神学』田中浩・原田武雄訳、未來社
白井聡『永続敗戦論――戦後日本の核心』太田出版、のち講談社+α文庫
――『国体論――菊と星条旗』集英社新書
政治・経済教育研究会編『政治・経済用語集 第2版』山川出版社、2019年
芹田健太郎・薬師寺公夫・坂元茂樹『ブリッジブック国際人道法〔第二版〕』信山社、2017年
全国歴史教育研究協議会編『日本史用語集 A・B共用』山川出版社
高橋和之編『世界憲法集』岩波文庫、2007年
高畠通敏「訳者あとがき」、ダール『ポリアーキー』所収
田中成明『法理学講義』有斐閣、1994年
ロバート・A・ダール『ポリアーキー』高畠通敏・前田脩訳、岩波文庫
ダール/高畠「【対談】ポリアーキーと現代の民主主義」、ダール前掲書所収
ジョセフ・ナイ・ジュニア『国際紛争――理論と歴史』田中明彦・村田晃嗣訳、有斐閣、2017年
ジョセフ・ナイ『アメリカの世紀は終わらない』村井浩紀訳、日本経済新聞出版社、2015年
ロバート・ノージック『アナーキー・国家・ユートピア』嶋津格訳、木鐸社
ハイエク『科学による反革命』佐藤茂行訳、木鐸社
長谷部恭男『戦争と法』文芸春秋社、2020年
ハーバマス『他者の受容』高野昌行訳、法政大学出版局
ハミルトン、ジェイ、マディソン『ザ・フェデラリスト』斎藤眞・中野勝郎訳、岩波文庫
前田健太郎『女性のいない民主主義』岩波新書2019年
前泊博盛編著『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』創元社、2013年
丸山眞男「超国家主義の論理と心理」、のち『超国家主義の論理と心理他八篇』古谷旬編、岩波文庫所収
――「日本ファシズムの思想と運動」、のち古谷旬編、岩波文庫所収
――「軍国支配者の精神形態」、のち古谷旬編、岩波文庫所収
見田宗介『現代社会の理論』岩波新書、1996年
宮澤俊義・芦部信喜(補訂)『全訂日本国憲法』日本評論社、1973年
宮本雄二『日中の失敗の本質――新時代の中国との付き合い方』中公新書ラクレ、2019年
ブランコ・ミラノヴィッチ『大不平等――エレファントカーブが予測する未来』立木勝訳、みすず書房2017年
J・S・ミル『自由論』山岡洋一訳、日経BPクラシックス
藻谷浩介・河野龍太郎・小野善康・萱野稔人『金融緩和の罠』集英社新書
森功『官邸官僚――安倍一強を支えた側近政治の罪』文藝春秋
森村進「最小国家」、森村進編著『リバタリアニズム読本』勁草書房 所収
山崎雅弘『日本会議――戦前回帰への情念』集英社新書、2016年
山本章子『日米地位協定――在日米軍と「同盟」の70年』中公新書、2019年
カール・レーヴィット「シュミットの機会原因論的決定主義」、カール・シュミット『政治神学』所収、未來社