シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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免疫とストレス | 2024 | 後期 | 木3 | 理工学部 | 渡邉 真弓 | ワタナベ マユミ | 3年次配当 | 2 |
履修条件・関連科目等
基本的な統計学、微生物学(医動物学)
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
心身共に健康な生活をおくるため、必要な基礎知識を医学のみならず生物学などの最新研究に基づき学習する。
科目目的
この講義の学びを通じて学生が、
(1) からだをまもる仕組みである免疫の働き、生きる力であるエネルギー生成系、
(2) 病気の成り立ち、病気の発症、あるいは、治るときのからだの反応のメカニズム
(3) 現代社会におけるさまざまなストレスが、こころやからだにおよぼす影響を理解し、
(4) 日進月歩の医療や医学の拡大、氾濫する玉石混交の医療情報に惑わされることなく、
(5) 自ら考え、心身ともに健康な生活を送る方法を提案できるようになることのみならず、
(6) 知識のみならず自ら実践することで、
(7) 自身のみならず周囲の人々も大病することなく健やかで豊かな人生を送ることで、よりよい社会の構築に貢献できること目標とする。
到達目標
本講座では、先ず、白血球と感染症について学んだ上で、体の仕組みである自律神経、内分泌、生きる力であるエネルギー生成系を学習する、さらに、豊かな生活をおくためスポーツと健康について考え、心と体を繋ぐ免疫のしくみについて学ぶ。そして、現代の医療について多大な進歩と多少の問題について検討し、食と健康、免疫の二層性についても考察する。さらに、全人的に腰痛、膝痛の成り立ち、加齢、移植、妊娠のメカニズムについて学び、これからの長い人生における様々なイベントについて考察する。さらに、わが国独自の伝統医学や生活習慣について概観することで、生活習慣や病気の予防について、氾濫する玉石混交の医療情報に惑わされることなく自らの考えを確立する。こうして、豊かで健康なよりよい社会の構築に貢献するとともに、自らは心身とも健康で穏やかな一生を過ごす。そのために必要な基礎知識を、医学のみならず生物学など幅広い国内外の最新研究に基づき多角的に学習する。
授業計画と内容
第1回 免疫とストレス (概論)
私たちの暮らしを豊かにするための多面的考察の中のーつとして「免疫とストレス」について学ぶ。免疫は生きる力と言い換えることができる。この「免疫とストレス」の関係を概説する。
第2回 白血球、感染症
ヒトは多細胞生物として進化したので、多くの特殊化した細胞から構成されているが、一つ一つの細胞はからだを守る働きをむしろ退化させている。単細胞時代のアメーバ様細胞を特殊化の流れから除き、 からだの防御細胞としたのが白血球である。
第3回 自律神経、内分泌
ヒトは活動と睡眠のバランスで生きている。我々の体調を無意識に準備してくれているのが自律神経である。自律神経の働きを学ぶことは自分を知ることでもある。
第4回 エネルギー生成系
皮膚、腸上皮、骨髓などを構成する細胞は分裂し続けるという特徴がある。逆に、多くの他の体細胞は分裂していない。このような細胞分裂の働きがエネルギー生成系と連動していることを学ぶ。エネルギー生成系には解糖系とミトコンドリア系がある。
第5回 スポーツと健康
運動中は、自律神経のうちの交感神経が活性化している。 運動により生きる力が高まると休息時にゆったりした体調をつくるので、逆に副交感神経が優位となる。 のような自律神経系の働きが健康と結びつくことになる
第6回 こころとからだを繋ぐ免疫学
こころとからだは密接な関係にあり、こころが原因でからだにさまざまな症状が現れることは少なくない。健康な生活のためストレスと上手につきあう方法、健康の基礎固めを考える。
第7回 医療について
からだを守る防御系は自律神経系の支配下にある。このため、私たちの生き方と防御系が連動している。万一、私たちの生き方があまりにも偏ると防御系の破綻の可能性が出現する。
第8回 食と健康
エネルギー生成、栄養素の代謝とその生理的意義について理解する。食事で摂取した栄養成分が体内で変換されるプロセスと健康をについて免疫学の面から解説する。嗜好品摂取についても言及する。
第9回 免疫の二層性
免疫のしくみには、外来抗原に対処する新しい免疫系(T細胞・B細胞)と異常自己に対応する古い免疫系(胸腺外分化T細胞、B-1細胞、NK細胞)がある。この2つの免疫系が構成する免疫系の二層構造のしくみを学ぶ。
第10回 腰痛、膝痛の成り立ち
運動器の障害は、要介護の状態のみならず、離退職のリスクともなり社会問題ともなり得る。腰痛、膝痛の慢性化の背景を知ることで、その予防法について考える。
第11回 加齢、移植、妊娠のメカニズム
私たち人間は真核生物であり、解糖系とミトコンドリア系の2つのエネルギー生成法をもつ。 その結果、ミトコンドリア系の出す活性酸素によって分子酸化が進み老化する。さらに、免疫学の観点より、移植、妊娠のメカニズムを学ぶ。そして、加齢、移植、妊娠が各人の生き様とつながっていることを学ぶ。
第12回 免疫と伝統医学、美容、健康(腰痛・「冷え」予防)
漢方、鍼灸・マッサージ、乾布摩擦、湯治など伝統医療について免疫学的の観点より検証する。また、本邦における医療系資格について解説する。さらに、美容と健康は密接な関係にあることから、病気の予防のみならず、超高齢社会におけるエイジングについて全人的に考察する。「冷え」が体のみならず心の問題であることもにも言及し、各自、伝統医学の一例として灸を体験する。
第13回 生活習慣病、病気の予防
ストレスが生活習慣病の発症の大きな原因となることを理解し、生活習慣病を予防する可能性について考える。
第14回 総括・まとめ:未来免疫学の基盤構築の試行的考察
病気の成り立ち、病気の発症、あるいは、回復する際のからだの反応について復習して、各自、心身ともに健康な生活をおくるための考えをまとめる。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
予習用の教材は、最新のものを選択するため講義で随時お知らせします。復習では、講義の内容をより深く理解するため課題を課しますので、各自、実践してください。エビデンスに対する理解を深めるため外国語論文などの資料も紹介しますので、外国語で講義の内容を復習することもできます。心身ともに健康な生活の実践に努めてください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 30 | 講義を通じて得た知識(到達度)を最終回に確認する。 |
レポート | 30 | 講義を通じて学んだことを、卒業後、具体的にどう利用するかを記す。 |
平常点 | 40 | 講義の理解度を、小テストを通じて評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
免疫とストレスについての基礎知識を理解した上で、を自らは心身とも健康で穏やかな一生を過ごし、よりよい社会を構築するための指針を、免疫とストレスについてのエビデンスの観点から、科学的に説明できるか、自らの意見を明確に提示できるかどうかを評価します。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
1986.4 – 1995.4 The Development Bank of Singapore.,Ltd.(シンガポール開発銀行)外為・融資部
1995.5 – 1998.7 中化日本有限公司(東京)財務部
にて学生が卒業後に体験するかもしれない金融関係の職場に十年以上勤務し、ストレス由来の疾病に苦しんだ同僚に身近に接した経験、
1999.1 – 2003.3 銀座楽天堂薬局
2003.4 – 2007.3 新潟リハビリテーション専門学校鍼灸療法科
2007.4 – 現在 国際メディカル専門学校鍼灸科 鍼灸科
2001.4 - 現在 治療院 院長
医療系国家資格などを取得して [はり師(登録番号:118100号)、きゅう師(118001号)、あん摩マッサージ師(第115609号)、鍼灸マッサージ教員資格(第44号)、販売登録者(新潟県00280号)]、大学以外でも医療系学生に講義している内容に基づき、ストレスについて免疫学の観点から医学的にわかりやすく講義します。臨床経験などもできる範囲でご紹介します。(2022.4--現在 関西医療大学客員准教授)
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
実社会にはストレスあり、避けて通ることはできません。金融などの実務経験におけるストレスとの付き合い方、そして、現在は医療関係の仕事をしている経験を生かして、学生が、卒業後に直面するストレスと上手に付き合う具体的な手掛かりを紹介します。
テキスト・参考文献等
●「テキスト」は本学教授陣執筆の以下のテキストを使用します。電子版もあるので各自準備してください。
安保徹の免疫学ノート: 世界一わかりやすい健康免疫学
安保徹 (著), 吉村豊 (著), 小峯力 (著), 渡邉真弓 (著)
発売日 : 2022/9/26
ISBN-10 : 4862514677
ISBN-13 : 978-4862514677
●「准テキスト」
(1)
①安保 徹
②絵でわかる免疫
③講談社 (2001/6/13)
⑦ISBN-10: 4061538500、ISBN-13: 978-4061538504
(2)
①安保 徹
②病気になる体質を変える! 免疫健康学 (PHP文庫)
③PHP研究所 (2011/7/3)
ISBN-10 : 456967612X、ISBN-13 : 978-4569676128
●「さらに理解を深めるための参考文献」
(1)
①安保 徹
②免疫力はミトコンドリアであげる: 人はなぜ病気になるのか
③三和書籍 (2021/9/8)
ISBN-10 : 4862514413、ISBN-13 : 978-4862514417
(2)
①安保 徹
②安保徹の免疫学講義
③三和書籍 (2010/12)
⑦ISBN-10: 4862510949、ISBN-13: 978-4862510945
(3)
①安保 徹
②免疫健康学 (PHP文庫)
③PHP研究所 (2011/7/3)
⑦ISBN-10: 456967612X、ISBN-13: 978-4569676128
その他特記事項
予習用の教材は、最新のものを選択するため講義で随時お知らせします。復習では、講義の内容をより深く理解するため課題を課しますので、各自、実践してください。エビデンスに対する理解を深めるため外国語論文などの資料も紹介しますので、外国語で講義の内容を復習することもできます。心身ともに健康な生活の実践に努めてください。