シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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文明の社会学 | 2024 | 前期 | 水3 | 総合政策学部 | 櫻井 秀子 | サクライ ヒデコ | 2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
PS-HC2-0005
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
現代文明の危機や破綻が取りざたされる今日であるが、その根源はどこにあるのか。これを読み解くために、本講義では、ギリシャ文明-近代文明-現代文明という文明の系譜をたどる一方、近代の歴史の表舞台において取り上げられることなかったイスラーム文明の近代文明に対するその功績と歴史的意義について考察する。そしてそのイスラーム文明もギリシャ文明、インド文明、中国文明との融合過程において醸成したことを明らかにし、文明衝突ではなく、融合の歴史と将来の文明間関係について考える。
科目目的
本講義の目的は、自身が自明視している現代文明の社会構造とシステム、その歴史、それを支える世界観を客観的にとらえ、現代文明社会がかかえる諸問題の根源を理解することである。具体的には、ヨーロッパ近代の世界観から導かれた、「他者認識」、「合理主義」や、産業革命を通じて「文明の利器」が多く生産され便利な社会を築いた一方で、その止まらない進歩主義がいまでは近代文明社会を危機に陥れている点を明らかにしていく。しかしそのような自明視を解くために、日本からみたヨーロッパ近代社会という関係を見るだけでは十分ではないことから、第三項的観点としてイスラーム文明の観点を導入し、近代文明をイスラームという第三項的観点からアプローチするとともに、イスラーム文明の固有性についても理解を深めることを目的とする。
到達目標
文明衝突ではなく、融合の歴史の観点から文明をとらえ、文明の衝突のみが際立つ現代文明を批判的に考察し、現代文明が直面する問題について考えるとともに、異文化・文明の理解を通しての自文化・文明を理解する方法を習得する。
授業計画と内容
第1回 オリエンテーション:講義の概要 文明に対する逆転のアプローチ
第2回 文明の転換ーアジアからヨーロッパへ
第3回 近代文明の誕生ー国民国家と資本主義
第4回 オリエンタリズム
第5回 三大啓典宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラーム教)
第6回 政教分離と近代合理主義
第7回 近代文明とイスラーム文明① 世界観(三位一体、タウヒード)
第8回 近代文明とイスラーム文明② 法・共同体・国家(国民国家、ウンマ)
第9回 近代文明とイスラーム文明③ 他者・存在・人間観(唯我独尊、
第10回 市場化社会と個の分断、漂流、公共性の喪失
第11回 脱人間化と社会関係の変化
第12回 共存在実現のための社会システム
第13回 社会的包摂を回復するための文明的転換
第14回 総括・到達度確認
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 60 | 講義内容の理解度 |
平常点 | 40 | 当日の講義出席によって得た知見の提示(授業時間内、リアクションペーパーによる) |
成績評価の方法・基準(備考)
コロナ等の不測の事態によって対面授業でなくなった場合には、成績評価の方法・割合は変更せざるをえないが、変更点についてはそのような事態になった時点で講義において説明する。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
<参考図書>
黒田壽郎『イスラームの構造:タウヒード/シャリーア/ウンマ』書肆心水、2004年
黒田壽郎『格差と文明:イスラーム、仏教、現代の危機』書肆心水、2016年
エドワード・サイード『オリエンタリズム』平凡社ライブラリー、1994年
ハミッド・ダバシ『ポスト・オリエンタリズム』作品社、2017年
ダグラス・マレー『西洋の自死:移民・アイデンティティー・イスラム』東洋経済新報社、2019年
佐伯啓思『近代の虚妄:現代文明論序説』東洋経済新報社、2020年
ジルベール・アシュカル(2004)『野蛮の衝突―なぜ 21 世紀は、戦争とテロリズムの時代になったのか?』
ジャレド・ダイアモンド(2012)『銃・病原菌・鉄―一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』(草思社)
川勝平太(2016)『文明の海洋史観』(中公文庫)
マイケル・ハミルトン・モーガン(2010) 『失われた歴史』(平凡社)
ハワード・R・ターナー(2001)『図説 科学で読むイスラム文化」(青土社)
この他、適宜、授業において紹介