シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
生命科学特論 | 2024 | 前期 | 月3 | 理工学研究科博士課程前期課程 | 佐藤 智美 | サトウ トモミ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SG-AC5-6C16
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
昨今の少子高齢化社会では、自閉症などの神経発達障害やうつ病などの気分障害、認知症などの神経変性疾患が増加の一途を辿り、心の健康(メンタルヘルス)を保つことが、より健全な個人と社会を築く上で益々重要になっている。このメンタルヘルスのメカニズムを理解するためには、その基盤となる脳の発生や、構造と機能の基礎を習得しておく必要がある。この授業では、生命科学の中でも特に、神経発生学、神経解剖学、神経・脳科学に着目し、その基礎から応用までを概説する。脳の発生、神経細胞の産生、神経回路の形成、発達や機能までを説明し、生化学、分子生物学、分子遺伝学等の手法を用い、様々なモデル生物を活用して明らかにされた最近の研究論文を紹介しながら、その背景や実験手法、成果について解説する。また、これらの研究成果の臨床的意義や神経疾患との関連、創薬研究への応用についても考察する。
科目目的
この授業での学びを通じて、ヒトの脳の発生や構造と機能を知ることで、メンタルヘルスの分子機構や薬の作用機序について理解することを目的とする。
到達目標
この授業での学びを通じて、学生が薬害や創薬に関する課題を、脳の発生や構造と機能における分子機構の観点から解決する方策を提案できるようになることを目標とする。
授業計画と内容
第1回 神経科学・脳科学の概要
第2回 サリドマイドの主作用と副作用
第3回 サリドマイド催奇性の機構
第4回 サリドマイド作用機序の応用
第5回 神経発生・脳発生の基礎
第6回 脳の発生と進化
第7回 神経発生学・脳科学の研究手法
第8回 神経解剖学の基礎
第9回 神経発達障害と神経変性疾患
第10回 神経伝達とシナプスの機能
第11回 NMDA受容体と記憶・学習
第12回 神経とシナプスの可塑性
第13回 セロトニンと気分障害、不安障害
第14回 神経発生学・脳科学の総括
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
毎回授業前に授業資料の内容を確認し、授業後に参考文献中の授業に関連した項目について目を通した上で、授業後に出された小テスト、小レポートに取り組むこと。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
期末試験(到達度確認) | 40 | 脳の発生と構造・機能について基礎知識を理解した上で、メンタルヘルスに関わる疾患について、神経の発生や機能の観点から説明できるかどうかを評価する。 |
レポート | 20 | 授業後の小レポートで理解度を確認し、感想・疑問点の記述から主体的に受講できたかを評価する。 |
平常点 | 40 | 授業への参加、貢献度、受講態度の状況を基準とする。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
授業後に小テスト、小レポートを回収し、必要であれば、授業内で解説の時間を設ける。
アクティブ・ラーニングの実施内容
その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
理解度確認のため、その都度、意見や感想、疑問点について述べる。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストは使用せず、配布資料で代替する。
主な参考文献:
・Liquin Luo著 柚﨑 通介・岡部 繁男監訳 スタンフォード神経生物学 メディカル・サイエンス・インターナショナル 2017年
・Eric R. Kandel他編 宮下 保司日本語版監修 カンデル神経科学 第2版 メディカル・サイエンス・インターナショナル 2022年
・医療情報科学研究所編集 病気がみえる vol. 7 脳・神経 第2版 メディックメディア 2017年
・医療情報科学研究所編集 病気がみえる vol. 10 産科 第4版 メディックメディア 2018年
・医療情報科学研究所編集 薬がみえる vol. 1 第2版 メディックメディア 2021年
・東京大学生命科学教科書編集委員会編 現代生命科学 第3版 羊土社 2020年
・東京大学生命科学教科書編集委員会編 理系総合のための現代生命科学 第5版 羊土社 2020年