シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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有機分析化学特論 | 2024 | 前期 | 水3 | 理工学研究科博士課程前期課程 | 不破 春彦 | フワ ハルヒコ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SG-BC5-6C30
履修条件・関連科目等
学部の有機化学系科目の内容を前提として講義を進めます。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
現代有機化学では、複数の測定法を用いて新規化合物の構造決定や立体構造解析を行うことがルーチン化されています。このため各種測定法の原理とともに、どの測定法を用いるとどんな情報が得られるのかを理解しておくことは非常に重要です。本講義では、これらの測定法の中から有機化学で多用される手法、特にNMR分光法を重点的に学び、自力で有機化合物の構造決定や立体構造解析を行うための基礎を身につけます。
科目目的
有機化学における分析法の背景・理論を理解して、実際の研究現場で使える知識を身につけることを目的とします。以下、それぞれの分析法における到達目標を示します。
・紫外−可視分光法:原理・Lambert-Beer則・発色団とその相互作用の理解
・赤外分光法: 原理・官能基ごとの特性吸収帯
・質量分析法:原理・イオン化法・同位体存在比
・核磁気共鳴分光法:原理・緩和・核種と磁気回転比・化学シフト・スピン−スピン結合と結合定数および分裂パターン・分子の動的挙動との関係・デカップリング・多次元および多核NMR(特殊測定)
・1Hおよび13C NMRにおける官能基ごとの化学シフト・スペクトルの解釈
このほかNMRの装置の実際についても随時説明し、使用上のコツや注意点について学んでいただきます。
到達目標
各種測定法の原理および得られる構造情報を説明できること、および、複数の測定法の結果を総合して有機化合物の構造決定や立体構造解析を独力で行えること。特にNMRについては、1次元だけでなく2次元スペクトルの解析法に習熟し、NMRを使いこなすことで自らの研究で遭遇する新規化合物の構造決定や立体構造解析を独力で行えるようになること。
授業計画と内容
第1回 紫外−可視分光法
第2回 赤外分光法
第3回 質量分析法
第4回 核磁気共鳴分光法1:NMRの基本原理・ベクトルモデル・緩和とシグナル強度
第5回 核磁気共鳴分光法2:核スピン・磁気回転比・化学シフトと基準物質・磁気遮蔽
第6回 核磁気共鳴分光法3:スピン−スピンカップリング・2nl + 1則・複雑なスピン系
第7回 核磁気共鳴分光法4:原子配置と磁気的等価性・Karplus式
第8回 核磁気共鳴分光法5:動的過程とNMR・シグナルの融合・温度可変NMR
第9回 核磁気共鳴分光法6:1H NMRの実際・重溶媒・残留プロトン・重水素交換
第10回 核磁気共鳴分光法7:13C NMRの実際・ブロードバンドデカップリング・DEPT
第11回 核磁気共鳴分光法8:多核NMR・特殊測定・二次元NMR
第12回 実践的な構造解析1:赤外分光法、質量分析、NMRを組み合わせた構造解析法
第13回 実践的な構造解析2:二次元NMRを中心とした構造解析法
第14回 実践的な構造解析3:二次元NMRを中心とした構造解析演習
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
本講義は原理の理解とデータ解釈の仕方に重点を置いています。講義を補完するかたちで、実際の研究活動で自分で合成した化合物の各種スペクトルを測定および解析する練習を積んでください。講義と研究が連動することで、各種分光法に対するより深い理解が得られ、上達も早いです。講義内容等に関する質問はいつでも歓迎します。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 70 | 各種測定法の原理および得られる構造情報を説明できること、および、複数の測定法の結果を総合して有機化合物の構造決定や立体構造解析を独力で行えること。 |
平常点 | 30 | 授業の終わりに、授業内容の理解度をresponで確認し、主体的に授業に取り組んでいるかを評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
期末試験(到達度確認)(70%)および平常点(30%)で評価します。
評価基準は、各種測定法の原理および得られる構造情報を説明できること、および、複数の測定法の結果を総合して有機化合物の構造決定や立体構造解析を独力で行えること。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
授業時間外でも授業内容に関する質問等に対応できるように、manabaの個別指導コレクションを用いる。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト:
「NMR入門−必須ツール 基礎の基礎」P. J. Hore著、岩下孝、大井高、楠見武徳 訳、化学同人、ISBN: 9784759820003
「有機化学のためのスペクトル解析法−UV、IR、NMR、MSの解説と演習」M. Hesse, H. Meier, B. Zeeh著、市川厚 監修、野村正勝 監訳、馬場章夫・三浦雅博ら 訳、化学同人、ISBN: 9784759811933
参考書:
「これならわかるNMR その使い方とコンセプト」安藤喬志・宗宮創 著、化学同人、ISBN: 9784759
その他特記事項
「有機分析化学特論」は大学院科目であり、学部科目ではありません。このため、中央大学大学院理工学研究科の特別選考入試(推薦または選考)に合格したM0学生および大学院生が対象です。学部4年次の単位としてカウントしてほしい学生は、学部科目「有機化学4」を履修するようにしてください。
なお、担当教員との連絡はemailやmanabaの個別指導コレクションでお願いします。
参考URL
https://sites.google.com/g.chuo-u.ac.jp/npc/